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▶️【偽典】関西人とツッコむ! VRMMO ~この辺、“鬼”がよぉ育つ~  作者: あいお明
 [第3章]ゴブリン・ライフは どこへ 行く...?
49/57

041. イース市と、川と、濃ゆ〜い桃色

 作中5日目、水曜日です



 ◇


 ジンジュです。

 昼飯食ってログインしたら、いきなり右目に水入りましたぁ!


「 ア ッ メ ッ マ ッ !! 」


 ……いやいや、変な声出しとる場合(ちゃ)うわ!

 雨や、()れる。どっか屋根ある(とこ)〜……



《異人「ボーゼ」が、次のご神託(ワールド・メッセージ)を有効にしました》

『異人「ボーゼ」率いるレイドPT「やったね!墓荒らし!! ……なむなむ」が、アインツ北郊(ほっこう)「忘れられし地下墓地」を踏破(とうは)しました』

《従者「とがの」の〈引っ掻き〉がLv.3になりました》

《従者「はっさく」の〈調合〉がLv.4になりました》

《異人「ボーゼ」より、伝言(メッセージ)が届いています。伝言を見ますか?》

《抵抗に失敗しました》

《抵抗に成功しました》



 だぁ~、通知邪魔〜ッ !!



 ◇


……てなわけで、冒険者組合(シーカーズ・ユニオン)イース出張所からこんにちは〜。


 いや〜(まい)った、ここ軒下(のきした)て概念ないんやな。雨()けには建物(たてもん)の中入るしかない。

 ほな自動的にここや。俺ここしか、イースの建物知らんからな〜。


 で〜、皆さん考えることは一緒みたいで。混んどるけど、受付(カウンター)()いとる。

 依頼掲示板は見えん。前に人多すぎる。

 けど、依頼見んと(しゃべ)っとっての人ばっかりや。


「で、今日どうしよ?」

「そうだなぁ……」

「今どこなの?」


 その場で話し込んどる人らと、おれへん誰かと喋っとる人らがおる。PT(パーティー)チャットか何かかな……?


「うわ、なんか暑くね?」

「ホントだ」


 今入ってきた知らん異人(プレーヤー)さんのやり取りに、思わず(うなず)く。

 せやねん。ここ、何か()し暑い !! 混んどるから……?



 ◇


 ん〜、まずは伝言見るか〜。


『今どこ?』

『組合出張所の中入っとけ

 雨やし        』



 (おんな)し事考えたっぽい。

 んで、(あい)っ変わらず反応が早い。俺がログインして即、伝言2件も送ってきとる。



 いやまあ、


「お前が遅すぎるだけやろ」


て言われたら、その通りやねんけどな。

 オ〜、打鍵(タイピング)(ムズカ)シイネ〜!



 まして音声入力とか、思考入力とか、ねぇ……



 ◆


 あ、小学校の校外学習で、AI技術博物館て所に行った時、


OK(オッケー), Butler(しつじ). TV(テレビ)消して〜」

(かしこ)まりました、照明(でんき)OFF(オフ)にいたします」

「「「『うわぁ !!? 』」」」


てなった話は……別に()らんな。



 ◇


 とりあえず返信〜。


         「組合の建物入った

          お待ちしており申す」


……っと。



 そこでちょうど、入口の戸がまた開いて。友達2人が入ってきた。


「お、おったおったー」


 こっち見て、顔が明るなった森人(えすとっきゅー)と、なんか首を90度(かし)げた狼獣人(ボーゼ)の2人が。


「よぉ〜……お前どないしたん?」

「パチ●コでスった……」

「「おい未成年」」


 ボーゼの笑えん冗談に、えすとと2人でツッコむ。

 真似(まね)をしてはいけない。危なすぎる。


 んで、本人はお構いなしに、自分の(ふところ)(さぐ)っとる。


「で〜、何か事件?」

魅了(チャーム)スライムて魔物がおってな……あ、これこれ」


 ボーゼが紙1枚見せてきた。どれどれ……


―――――

                           冒険者組合アインツ総支部

                                聖暦1XXX/XX/XX


冒険者各位


[継続クエスト]チャームスライム を 保護 しよう !


(※桃色のスライムの正面、左側面、背面が描かれている)


 冒険者組合(以下「本組合」)では、特定希少魔物(モンスター)の個体数管理を行っております。

 つきましては、特定希少魔物「チャームスライム」(以下「本種」)の保護にご協力

いただきたく存じます。


 本種は胞子(ほうし)()き散らし、吸い込んだ生物を誘引(ゆういん)()(しょく)する危険生物です。このため、

アウストル東方共和国においては「指定外来種」として、見つかり次第捕獲されています。

 一方、他の大陸4か国では希少な在来種として「絶滅(ぜつめつ)危惧(きぐ)種」に指定され、保護対象に

もなっています。


 組合では以上の5か国より、本種の保護等の業務を受託しております。保護した個体に

は、発信器を装着して見守る形を取っています。

 しかし、まれに発信器を紛失、または破損した個体や、発信器を持たない新個体が出現

します。


 そのような個体を見かけた際には、最寄りの本組合施設にご報告の上、保護業務に

ご協力ください。

 詳細は組合各施設の受付まで。



                    記

1.受付日時  毎週月曜日〜風曜日 06:00〜18:00

2.受付場所  本組合各施設(アインツ総支部、および各支部・出張所等

       (一部の国・地域を除く)


                                   以上

―――――



「お役所でしょうか? いいえ、誰でも」

「「金子(かねこ)◯ゞ(すず)そんなこと言わんねん!」」


 ボケが(つう)じた。(ボク)(うれ)しいだ。

 ……ネタはさておき。


「ほんで〜? これが何……」

「見つけて即連れてったら、バチクソ怒られてん。『密閉容器に入れましょ、って言いましたよね !? 』て」


 はは〜ん。午前中1人ん時に、調子乗ってやらかしたんか。素晴らしいボーゼっぷりやな。


「んで、こちらが(くだん)のチャームスライムでございます」

「「ワオ! 出た !! 」」

『きゅゆ !? 』


 思とった以上に濃ゆ〜い桃色(どピンク)や。どピンクのスライムが、透明な飼育ケースの中で波打っとr……ちょと待てぇ〜い!


「異世界て、んな飼育ケースまであるん……?」

「なー、ビックリするよなー」

「大丈夫。明◯の板チョコとか、2Hの鉛筆とかもある」

「待てボーゼ、それ何て現代日本?」

「てか2H !? 異世界人(こっちのひと)丈夫すぎん ?? 」


 でぇ〜い、ツッコミ追っつかん!


「まあ『魔法は偉大なり』てことで。あとは運営に言うて、俺に言われても困る」

「「そらせやな……」」


 や〜しっかし、魔法は便利ていうか、都合が良すぎるていうか……



……いやいや、そんな話しに来たん(ちゃ)う。

 どピンクの【鑑定】結果も気になるけど、もう収納袋の中。



 そろそろ本題、聞かしてもらおか〜。



「ほんでボーゼ=サン? 今日は何したいんやっけ ?? ここで延々(えんえん)駄弁(だべ)っとってええんか〜 ??? 」

「お、せやせや。イース川で(ヌシ)釣るんやったわ」

「えー、また釣りかーい……」


 ボーゼの答えに、えすとがめっちゃ嫌っそ〜な顔しとる。(コイツ)は“長時間黙って待つ”んが苦痛やからな。

 それより、問題はお天気。


「ええの? 当分雨っぽいけど〜」

「大丈夫、確認は取っとぉ。“主に雨は関係ない”てな」

「アッメッマッ !! 」

(やかま)しわ。 ……あと、雨やと途中の敵も少ないからな。絶好の釣り日和(びより)!」

「「釣り日和とは」」


 あ、そうそう。ボーゼは海釣り派や。彼の(じもと)に、川らしい川はないんやて。

……てことは、結構歩くんかな〜?



 ()〜ね〜、現実(リアル)は「夕方から雷雨(らいう)」らしいのに。

 ()よ帰れたらええな〜……。



 ◇


 てなわけで、イース市の「(ひがし)総門(そうもん)」を出た。街や農地を(おお)う、外側の土手の出入口や。

 ここまで歩いて20分ぐらい。検問はすぐ終わったわ〜。



 で〜、今俺は足軽装備の、あの(わら)(みの)羽織(はお)っとる。

 結局雨で濡れるんやけど、ないより大分(だいぶ)マシやな! ()めとったわ……


 友達2人はフード付きの外套(コート)や。高そう……



 ほんで今、えすとが【召喚】しよる。仲間のスライムらを、街のほぼ反対側から。


「ほな動くなよー……【召喚(サモン)】・“ブンタン”!」


 えすとの足元に魔法陣が浮かび上がって、水色のスライムらが出てきた。

 【召喚】が使えるブンタン、あまなつ、はっさくの3匹や。


 んで、3匹がさらに他のスライムや兎らを呼ぶ、と。


「【召喚(きゅきゅ)】・“ポンカン(きゅきゅ)”“デコポン(きゅききゅ)”!」

「【召喚(きゅうきゅ)】・“こなつ(きゅうきゅう)”“レティシア(きゅうきゅきゅ)”!」

「【召喚(きゅいきゅ)】・“とがの(きゅいきゅい)”〜」


 1匹だけ名前呼ばれんかった橙色の鼠(ダイス)……もおるn、あら通知。



《従者「はっさく」が、従者「とがの」ら2名の【召喚】に成功しました》



「よし、全員(そろ)たな?」

「きゅ!」

「持つ(もん)持ったな ?? 」

「ぴすぴす!」

「ほな行くコ !! 」

「「あ~い」」


 小鬼(おれ)を先頭に、狼獣人(ボーゼ)森人(えすと)兎2羽(レティシア・とがの)鼠1匹(ダイス)スライム6匹(ブンタン・はっさくら)……敬称略。

 合わせて12名の珍道(ちんどう)(ちゅう)で、街道(かいどう)を東へ。



 ウチの(じょせい)陣――兎2羽とスライム2匹(あまなつ・こなつ)――が、ボーゼの背負(せお)とる収納袋をめっちゃ気にしながら。



「……きゅゆ !? きゅゆきゅゆ !!! 」


 いや、もう1匹おったわ。

 しかも声()れとるし。そら気にするわ……



 ◇


 イース市の東には、草原が広がっとる。東にはしばらく何もなさそう。

 あ、街道と、奥に見える土手以外は。



 アインツ市と(ちご)て、イースには広い農地がある。大量の水を確保しとる証拠や。

 つまり近場に、デカい川か(みずうみ)がある。


 んで、ボーゼは


「イース川で釣り」


とか言うとった。



 ほなあの土手が、イース川の堤防(ていぼう)……なんかな?



 あと南に森、北に台地が見える。それぞれが東へ、延々続いとるように見える。



「あ~はいはい……なるほど。これが大陸か〜! 理解した」

「「んな大げさな……」」


 これって、私の感想ですよね? 何故(ナズェ)(ニルァ)むんです(ムンディス) !?



 さておき、今日は人も魔物も少なめらしい。


 街の周りには、彩り豊か(カラフル)(ラビット)十数羽が。

 その先の草原には数十匹のスライムが、それぞれ点在しとる。



 いや、よぉ見たら点在するスライムの中に、数頭の(ホース)()れが混ざっとんな?

 でも雨のせいか、元気そうなスライムらに囲まれて、めっちゃ居心地悪そう。



 んで、空暗いな〜。まだまだ雨降りそう……



「あ〜……ホンマに景色変わらへんな〜」

「おー? 後ろ見てみ」


 えすとにツッコまれて、思わず振り返る。

 イース市を(かこ)う土手が、ふた周りぐらい小っちゃく見える。


 確実に東へ、進んどるんやな〜……。



 ◇


 イースの組合から歩くこと、小一時間。街道が坂に差し掛かる。

 土手に上がるらしい。


 坂上がって、その土手の上に出た。目の前は橋、その下はデカい川や。

 (はば)広うて深い。底が見えん。隣町の加◯川よりデカそう。


 いや知らんけど。


「◯古川の人帰られへん」

「「は?」」


 えすとがボケよった?

 何それ ?? 野球ネタ ???



 分かんね……



 ネタはともかく。

 予想通り、この川が目的の「イース川」や。左右両側の、石造りの橋の端っこに、こう書いた銘板(めいばん)が取り付けてある。


 左が


The() Greater(グレーター) Bridge(ブリッジ) of(オブ) Eath(イース)

     イース大橋   」


で、右が


 「   Eath River(リバー)

     イース川   」


やて。



 英語なんや? ふ~ん……



 ◇


 俺らは街道から右に()れて、土手道を下流へ。


「お、この辺やったな。そろそろ(はな)したろか」


 ボーゼが背中の収納袋を下ろして、その場にしゃがむ。

 袋から出した飼育ケースの中には、あのチャームスライムと、底に(うっす)ら積もった薄茶色の粉末が……


「きゅゆ! きゅゆきゅゆッ !! 」

「おっとぉ……」


 チャームくん(仮称)は跳ねとる。地団駄(じだんだ)踏むみたいに、ぴょんぴょん、て。

 薄茶色の粉末が、ぶわぶわ舞い上がる。


 ケースを押さえながら、ボーゼが言う。


「マスク要るな。あまなつ・こなつ(おまえら)、これ押さえといて」

「きゅおきゅお!」

「きゅう」


 ケースに寄ってきたスライムらのうち、2匹が呼ばれた。

 青紫のほう(こなつさん)が「待ってました!」とばかりに、ケースの上に飛び乗る。

 水色のほう(あまなつさん)淡々(たんたん)と、ケースの一角に張り付いた。


 でもチャームくん(仮)は(あきら)めない。



「きゅゆ !? きゅゆきゅゆ〜 !?? 」


 ますます激しく暴れる彼(性別不明)を見て、牛柄の(とがの)が動く。

 ケースの前に駆け寄って、例の仁王(におう)立ちしながら一言。


「【鑑定(ふんす)】?」

「きゅ、きゅゆ……」



 一発で(だま)らせた。(こわ)……



「きゅゆゆ……きゅゆ……」


 いやアカンわ。チャームくん、めっちゃ粉出しよるぅ。

 ストレス感じたら胞子飛ばすタイプか。


 難儀(なんぎ)やな〜……



「はいこれマスク」

「お、あざーっす!」

「ありがと〜。 ……ところで【鑑定】〜」

「「ひどい」」


 ボーゼにマスク渡されて、即つけて。

 (やかま)しい彼を【鑑定】してみた。結果は〜……?


―――――

チャームスライム(♀) Lv.21

(分類)魔物/??型

 自然界の掃除屋。雑食。

 空腹・恐怖などのストレスが()まると、()(りょう)の胞子を出す。吸い込んだ者を()(りょう)(まど)わせて、捕食や逃走を(はか)る。


 HP:100%   MP:100%

―――――



 元気な(おんなのこ)です! そら失礼〜。

 ほんでレベル高いし、胞子は厄介(やっかい)やし……



 戦わんと()んでよかった〜 !!



 ほんで、ボーゼが飼育ケースを開けて、チャームちゃん(仮)を土手道に下ろした。


「森へお帰り」

「「元気でなー……いや森どこ?」」


 南に見えとるで? 見えとるけど、ちょ〜っと遠いな〜。

 で、チャームちゃんのほうは……


「きゅゆー !! きゅゆきゅきゅゆきゅゆゆーッ !!! 」


 ブッチブチにキレ散らかして、その辺に胞子を撒き散らしながら、川に飛び込んだ。



 迷惑ぅ〜……



 んで、浮いてきたと思たら、水面すれすれを飛ぶかのように動きだした。


「あの胞子さ〜、川の水まで魅了するん?」

「「無理無理」」

「やんな〜」


 ほなアレか、【◯の魔球(なんとかボール)】の上に乗っとるやつやな。一昨日(おととい)も見た。

 あと、チャームちゃんはそのまんま川渡って、向こう岸の土手を越えてった。



 スライムて、こんなデカい川渡れるんや。初めて見た――――



「加◯川の人帰れたなー」

「「さっきから何なんそれ?」」


 胞子集めながら、(なぞ)(つぶや)くえすと。

 彼にツッコミ入れながら、俺らは釣りの準備に取りかかる。さ〜て、何釣れるん〜?



 てかその胞子、何に使うんやろ ?? 媚薬(びやく)とか…… ???



 お読みいただき、ありがとうございます〜 m(_ _)m

 次回更新は11/20(木)頃の予定です。ジンジュくん、川のヌシとご対面……?


 あとお時間があれば、スマホの画面を時々横にして読んでみてください。

PC(パソコン)等の人はすみません……)



【追記】

一部加筆/修正しました

(2025/12/30)



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