035. 巨ゾンビさんと、俺のフォーリン・ダウン
またまた今回短めです(当社比)
◆
ジンジュです。
地下墓地の地下2階で、敵のゾンビに囲まれた!
……と思たら、下から巨人のゾンビ? さんが来て一言。
「姫様、よくぞご無事で…………いや
誰?」
「「「『こっちのセリフ !!!!! 』」」」
なんか、俺のほう見ながら言うとってやねんけど。
いやいやいや何なにナニ怖い怖い怖い!
今度は何に巻き込まれるん、俺…… ???
◇
とりあえず、まずは周り見て……安全確認、ヨシ! たぶんね……。
んで、俺らから挨拶すべきやんな~。え~と、丁寧な標準語……
おほんッ!
「初めまして、異人のジンジュと申します。お騒がせしてすみません」
「あぁいえ、こちらこそご無礼を。墓守のベドルジヒです」
巨ゾンビさんはそない言うて、軽く会釈しとってや。
……床ミッシミシ言わしながら、やけどな。
しもた、頭上げるん早すぎた…………
さておき、巨ゾンビこと「ベドルジヒ」さん。
豪快に床突き破ってきたった割には、所作が丁寧な人やと思う。
俺らみたいに気ぃ急けてはないし、声も低うて落ち着いた感じ。
よぉ知らんけど、偉いさん違う? ただの墓守さんには見えん。
なんせデカい。そういう銅像みたいに、胸から上だけやのに。
身長3m弱ぐらいありそう……。
……あ、そういや「人」やないか。少なくとも今は。
日本語面倒くさ……
で、ベドルジヒて、どこのお名前なんやろ?
……いやいや、そんなことより。
「えすとっきゅーです、助けていただいてありがとうございます!」
「こちらこそよろしく……失礼、少々お待ちを」
俺・ボーゼに続いて、えすとに挨拶しようとしたベドルジヒさんが、周りをぐるんと見渡した。
「うるさいですね……【影の捕縛】・彷徨う亡者」
「を゛?」
「「う゛あ゛ー゛ ?? 」」
いつの間にか俺らを囲んどった、敵ゾンビが数体。
彼らの足元から、半透明の黒っぽい紐が延びて、その手足を絡め取っていく。
「あ痛ッ !? 」
「わわわ、え、ちょっ !? 何これ……?」
ただし、さいでらさんら「ぞんび~ず」の皆さんも巻き込まれとる。
「む、そちらにも居られましたか! 申し訳ございません !! 」
すぐ解除したったみたいやけど。
……今の技、もしかして魔法? 「グツグツ」て音したし。
「「あ゛ー」」
「「「『を゛ー』」」」
てか敵さん多いな! まだ来るんけワレェ?
「落ち着きませんね。場所変えましょうか?」
「ですね、そこの階段室とか?」
「分かりました、ではそちらで」
ベドルジヒさんとボーゼが勝手に合意して、向こうで合流することになった。
異議なし。
ほんで、ベドルジヒさんが引っ込んだ大穴を、思わず覗きこんだ。
踏み台か何かを折り畳む彼の周りに、見えるだけで4~5体のレッサーレベナントが。
もちろん捕縛済み。
「……あまなつ、【光の魔球】頼む!」
「きゅう! 【光の魔球】・2連」
アッしもた、ボーッとしとった! 早よ向こう行かな。
……て、急に立ったんが不味かった。
足元がズズ、て沈んだ。
……と思とったら、大穴の淵からボロボロ崩れだした。
「あら? あららららあら !? あら ?? あららあら !?? あら ??? あらァ~ッ !!? 」
後退りしたけど、一瞬で追い越されて、崩落に巻き込まれた。
ヤバい、逝んでまう……いや待て!
「【ガード】!」
大盾構えて、ナントカ受け身っぽい姿勢を取る。
これで何とかなれ! 頼む !!
……て思いながら、目ぇ閉じた。
◇
着地の衝撃は、思たより早よ来た。
しかも「ちょっと痛いな」ぐらいの軽さやし、何かに引っ掛かって宙に浮いとるみたいに感じる。
あとなんか、やたら中華風の香辛料の匂いがする。
何やろ……?
目ぇ開けたら、巨人にキャッチされてました。
地面から1.5mぐらいの高さで、うつ伏せや。ちょっと怖いな~……
んで、視界の右下に、彼の体が見える。
そのまんま振り返った。やっぱり、ベドルジヒさんや。
「大丈夫ですか?」
「アッはい、ありがとうございます!」
「いえいえ、ご無事で何よりです。 ……下の階は危ないので、上にあげますね」
「お願いします~」
……うん。床に転がっとるレッサーレベナントさんらが、一段とレベル高いからな~。
26とか28とか、勝てる気せえへん……
◇
地下3階から地下2階に上げてもろて、お礼言うて。
即、階段室に駆けだす。
手前でボーゼ・えすとの友達2人と、とがの・はっさくの2匹が待っとった。
「【火の魔球】!」
「を゛あ゛ァ゛ !? 」
どさくさ紛れに、向こうから来るレッサーレベナント1体を牽制しとく。
「すまん、お待たせ~ッ!」
「おう、早よ入れ早よ入れ」
「ふんす!」
んで、入るなり一礼。
「お待たせしました~ッ! 無事です !! 」
「お疲れさ~ん、災難やったね……」
「きゅきゅ、きゅきゅ」
とか言うとったら、通知が来た。
《「レッサーレベナント」2体を討伐しました。以下の条件が満たされています》
《Lv.10になりました。進化できます》
《〈鈍器〉〈防御〉〈火魔法〉〈下剋上〉以上3スキルのレベルが上がりました》
《称号〈大物を喰らいし者〉が〈大物どもを喰らいし者〉に更新されました》
《従者「とがの」の〈引っ掻き〉がLv.2になりました》
《従者「はっさく」がLv.11になりました》
《「はっさく」の〈縄〉〈光魔法〉両スキルのレベルが上がりました》
《「はっさく」の称号〈大物を喰らいし者〉が〈大物どもを喰らいし者〉に更新されました》
「……またえらい山盛り来たァ~ !!? 」
「慣れろ安全」
「無茶言うな~」
◇
とりあえず通知を読み直そう……としたら。のしッ、のしッ……て地響きが近づいてった。
んで、階段からベドルジヒさんが、ぬるっと顔を出した。
「お待たせいたしました。皆様お揃いでしょうか?」
「はい。お手数おかけしてすみません」
「いえいえ、こちらこそ急に押し掛けてしまいまして……」
ん~……
ボーゼの言葉遣いが丁寧やと、緊張感あるな~……。
「皆様にお伺いしたいことがございますが、よろしければその前に、少々お時間を頂きたく……」
「お気遣い、痛み入ります……」
話し終わったボーゼがこっち来て、小声で一言。
「お前ら何ボーッとしとんねん。早よ回復せぇ」
「「あっホンマや」」
「あと進化もな。 ……おぉい、こなつ!」
そない言うて、ボーゼは末っ子スライムを呼びに行った。
俺ははっさくに【光の癒し】かけてもろて、いつもの「中級MP回復薬」を呷る。
「んぶぇ~、めちゃ酸っぱ……」
「ふす……」
「きゅい……」
何回飲んでも慣れんな、これも。
さて。
ほな進化さしてもらおか。
何がどないなるんやろな~……?
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
次回更新は8/20(水)頃の予定です。
やっとや、やっと主人公が進化する……!()
【追記】
・大いに加筆しました
(2025/08/16)
・一部修正しました
(2025/08/19)
――【おまけ】ジンジュくんの現状――
ジンジュ Lv.10 【進化できます】
種族:ミニゴブリン (幼鬼/下位鬼族) 男
属性:土
職業:【正業】冒険者(闘士) 【副業】―
所持金:420マニ
SP:8
HP:100%
MP:100%
状態:正常
スキル:8
〈鈍器 Lv.7〉〈防御 Lv.4〉〈受け流し Lv.4〉〈火魔法 Lv.4〉
〈生活魔法 Lv.5〉〈従魔法 Lv.5〉〈解体 Lv.3〉〈鑑定 Lv.1〉
(控え:5)
〈危機察知 Lv.2〉〈下剋上 Lv.4〉〈体力強化 Lv.4〉〈筋力強化 Lv.4〉
〈敏捷強化 Lv.3〉
(種族:2)
〈投石 Lv.3〉〈幼鬼〉
称号:5
〈駆けだしの冒険者〉
住民からの信頼度が微増する。
〈副神シトリーの祝福〉
幸運のステータス値が微増する。
また、知力と精神の取得経験値が微増する。
〈大物どもを喰らいし者〉
人類NPC、および同族NPCからの信頼度が少し上がる。
〈生還者〉
HPが0になる攻撃を受けた際、HP残り1%で耐える確率を微増させる。
〈毛玉の主〉
物理攻撃の被ダメージが微減する。
(控え:3)
〈邪道〉
現在は無効。相手への急所・弱点攻撃の与ダメージが微増する。
〈処刑人〉
現在は無効。急所攻撃の命中率が微増する。
〈水玉の主〉
現在は無効。物理攻撃、および水属性の被ダメージが微減する。
従者:2名(定数2/〈従魔法〉)
とがの Lv.10
ラビット(兎/下位兎族) ♀
HP:100% MP:―
はっさく Lv.11
スライム(下位粘体族) ♂
HP:100% MP:100%