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【偽典】関西人とツッコむ! VRMMO ~この辺、“鬼”がよぉ育つ~  作者: あいお明
[第2章]行動範囲(エリア) を 広げよう !
40/46

034. これ、後でファーベルさんらが困るやつ……(地下2階)

 予告通り、前話の番外編(7/7更新分)を掲載終了としました。

 あしからずご了承ください m(_ _)m



 ◆


「こちらジンジュ。地下墓地の地下2階を潜行(せんこう)(ちゅう)

「誰に何言うとんねん?」

「何や、映画の()すぎかー?」


 しもた、声に出とった! 友達2人にツッコまれたやんけ~ !!



……てネタはさておき。

 9人と9匹の集団の、一番後ろからコンニチハ!


 次の階段への途中、3つある安全地帯(あんち)の3つ目を出た(とこ)……まで来てもた。

 何がヤバいって、とがのが進化してからここまで、敵らしい敵が出て来てないんよな~。


「ふす……?」



 ……いや、ハイゾンビ・ファーベルさんらが作業しとったし、ハイゾンビ・ジョガーさんらにも追い越されたり、すれ(ちご)たりしたで?

 けど、


「お早うございま~す」

「お疲れ様で~す」


とか言うとったら、あっさり通れたし。

 (マウス)とか、普通のハイゾンビとかは出て来えへんかった。



 ◇


 そんな感じで、いよいよ次の階段室が近い。あと2回、右に曲がったら……なんやて。


「これ、後が怖いやつ……?」

「「せやな」」


 ボーゼとえすとっきゅー――すぐ前を行く友達2人――に聞いたら、答えが食い気味に返ってきた。

 いや、何があるん……?


「ここの突き当たり曲がった所が、まぁーヤバい。用心しとけよー」

「せやせや、あの辺どっちから行っても面倒(めんど)くさいしな」

「え~……何かあるん?」

「「そら内緒」」

「鬼ッ !! 」


 鬼はお前やろ、てツッコミは無しでお願いします。



「とりあえず、いっつも通り盾は出しとけ」

「は~い」



 借りとった伐採(ばっさい)()は、礼言うてボーゼに返した。やっぱ刃物は(しょう)に合わん。

 右手に石、左手に大盾持っといて……。



 ◇


 問題の角を曲がって……5歩進んだ所で、通知が来た。


《「レッサーレベナント(♂)」1体と交戦中です》

《抵抗に成功しました》

《従者「はっさく」が抵抗に成功しました》

《従者「とがの」が抵抗に失敗しました。状態異常【恐怖】が付与されます》


「ぴす! ぴすぴすぴす !! 」

「ふす……ふす……」

「ぷうぷう!」


 兎らが前見て、一斉に震えだした。

 な、何かおる~ !?


「を゛ー? 【鑑定(をーをー)】」


《抵抗に失敗しました》

《従者「とがの」「はっさく」が、それぞれ抵抗に失敗しました》


 ……ん、見えた。アイツか!

 ほぼ人間、て感じのゾンビ系魔物さんや。顔色が悪うて、ちょっと動き遅いだけ。


 ほんで、何か力湧いてきたな。〈下剋上〉スキルの出番か?



 とりあえず、やられたらやり返そか~。


「【鑑定】……とがの、またお願い」

「ふ、ふす……【鑑定(ふす)】!」


 ありがとうねぇ。

 んで、結果は~……


―――――

レッサーレベナント(♂) Lv.28 ピッチャー[交戦中]

(分類)魔物/人型

 進化を(かさ)ねた、人型の腐乱死体。彷徨う亡者(アンデッド)の一種。

 力強くしぶとい。が、まだまだ動きは遅い。


 HP:100%   MP:―

―――――


 わぁ、レベル高ぁい……

 しかも動きも早い、今までの敵ゾンビよりは。


 でも、俺より早よ動けるわけやないみたい。

 あとMPなし。つまり魔法は使えん!



 ……逆転の目はあるな?



「う゛を゛を゛を゛を゛を゛を゛を゛を゛を゛!!!!!」

「来るで! 構えとき !! 」

「「「『はいッ !!! 』」」」


 ピッチャーさんが雄叫(おたけ)びを上げると同時に、さいでらさんの指示が飛ぶ。

 で、両側の壁がミシミシ言うて、ヒビ入りだした。2(にー)4(しー)6(ろー)8(はー)、と……


「う~わ、マジか……!」

「ふす、ふす!」


 呆気(あっけ)にとられとったら、さいでらさんやボーゼらの叫び声が聞こえてきた。


「上から来るで~ !! 」

「床にもヒビ入りよぉ、気ぃつけェ!」

「マジぃ !? そんなん聞いてない !! 」


 うわホンマや……上から3体、下から2体出てきた!

 ここまで来たら、嫌でも分かる。


《「レッサーレベナント」6体、および「ハイゾンビ」14体と交戦中です》

《従者「とがの」が抵抗に成功しました。状態異常が解除されます》


 敵の包囲網(ほういもう)()け出せ。

 なお、〈下剋上〉スキルは使えるものとする。


「さよか。ほなやったらァ~!」

「ふんす !! 」



 ◇


 さて……「包囲網」て言うてもたけど、正確にはちょっと(ちゃ)う。

 なぜか? 上と後ろがガラ()きやからや。


 後ろ空いとるんは「嫌なら帰れば?」て所かな?

 一方、上については“天井高い”んがミソや。



 体の大きい種族でも通れるように、この地下墓地は天井が(たこ)うなっとる。

 けど、俺らも敵も基本人間や。身長2m(メートル)もあれへん。やから俺らの頭上には、1mちょいの空間がある。


 ほんで今、敵も味方も梯子(はしご)は持ってない。天井にへばりついとる奴もおらん。

 でもへばりつける奴らはおる。ここに策がある。


「ほな頼むで、はっさく~」

「きゅい~」

「……フンッ !! 」


 俺らはまず、6匹おる味方のスライムらを、天井に()り上げた。


「きゅお」

「「きゅえーい」」

「きゅい!」


 彼らは触手を伸ばして、器用に天井に取りついた。

 そこなら敵の手は届かん。ゾンビは空飛べんし、壁も登れん。あと魔法も使えんからな。


 せいぜい、放り投げた石が当たるかどうか? や。


「を゛を゛を゛を゛を゛を゛!!」


……とか言うとったら、さっきの“レッサーレベナント・ピッチャー”さんが一石(いっせき)(とう)じた(物理)

 これは当たるか……?


「……きゅい~、きゅいきゅい」

「きゅきゅ、きゅン゛ッ゛ !! 」


 はっさく、ナイスキャッチ! で、石渡されたブンタンくん――リーダー格の子――が放り返す。


「ん゛を゛ッ゛!?!?」


 んで、さっきの“ピッチャーさん”に直撃。死球(デッド・ボール)というか、ピッチャー返しというか……



 いやエグ……



「きゅ、きゅきゅ!」

「きゅお! 【火の魔球(きゅお・きゅきゅお)】」

「【光の魔球(きゅい・きゅきゅい)】~」


 さらにスライムらが、魔法を放りよる。


「「う゛を゛を゛を゛ッ゛!?」」


 食ろたピッチャーさんら2体が倒れ……へんな。

 さすが格上、しぶとい……


「【光の癒し(きゅう・きゅうきゅう)×2(きゅう)

「「う゛を゛を゛を゛を゛を゛を゛~゛ッ゛!!!」」


 あっ倒れた。【光の癒し(ライト・ヒール)】で倒れた。容赦(ようしゃ)ねぇ……



「う゛を゛、う゛を゛!!」

「「「『を゛~!!!』」」」

「……しもた、ボ~ッと見とった~ !! 」


 前のほうで、別のレッサーレベナントが声を出す。指示役(コマンダー)さんや。

 んで、残り17体の敵ゾンビが動きだした。


「殴り合いやぁ~ !! 」

「「「『()~ッ !!! 』」」」


 さいでらさん率いる“ざ・ぞんび~ず (プラスアルファ)”。気合い入れよる6人に、敵7体が向かう。


「きゅ、きゅきゅ!」

「「きゅえ~い」」


 天井のスライムらを狙う敵7体。投げた石、お仲間にも当たっとるけど…… !!


「……チッ、【ガード】!」


 うわウッッザ! こっちにも飛んでくる !!


 で、俺らのほうに来る敵は8体。ハイゾンビ6体と、下から来たレッサーレベナント2体や。

 合わせて22体と、いざ勝負 !!



 ……おい待てや、またしれっと増えとぉぞ?



 ◇


 6体は手ぶら、2体は両手剣、(くぎ)バット……


「釘バットぉ~ !? 漫画か !!! 」

「「ツッコむなツッコむな」」

「を゛?」


 あれ()けたほうがええよな?

……とか思とったら、なんか釘バットの人に(すご)まれた。腹立つ。


「あ゛ァ゛~゛? 何どいやワレ ?? (つぶ)すど ??? 」

「「「『(がら)悪っ……』」」」

「を゛を゛を゛を゛を゛~゛ッ゛!!!」


 味方のツッコミはさておき。敵来たからやる。

 挑発は準備のあとで。播州紳士(ばんぞく)作法(マナー)です。


「【鑑定】、【着火(バーン)】! ……よっと」

「「を゛!? 」」


 突っ込んできたレッサーレベナント2体をかわして、後ろに回り込む。

 あと、火付けもお忘れなく。物理的にも、精神的にもね。



 ここで一句。


  気をつけろ ゾンビは急に 止まれない

                  ジンジュ



「……あーすまん、【光属性付与(ライト・エンチャント)】・ダブル」

「あざ~っす。 ……フンッ!」


 えすとの呪文で白く光りだした石を、遅れてきたハイゾンビの足元に放る。足止め。

 で、白く光る大盾を横に倒して、両手に持ち替える。


「どぉら()ねやァ゛ッ゛!! 」


 両手剣と釘バットの、背中に【叩きつけ】た。

 ……「CRITICAL(クリティカル)!」2体分、いただきました。


(うっそ)ぉ……マジで?」

「弱点4倍、不意打ち、〈下剋上〉……まあ行けるかー」


 えすともちょいビックリしとった。


 ……いや、(ちゃ)うねん。ぶつかったのにびくともせぇへんからさ~。

 そんな効いとったんや……



 いやいや、雑談は後や。ハイゾンビは?


「ぴすぴす!」

「ふすぇい!」


 兎らに翻弄(ほんろう)されとる。動き追っついてないもん。

 でも兎らは兎らで、トドメ刺せてない。まあガタイと筋力の差は埋めれんよな~。


 あとなんか、とがのから聞いたことない鼻息が……今する話ちゃうな。


「【光の破魔矢(ライト・アロー)】」

「【光の破魔槍(ライト・ランス)×2(ダブル)……クソッ、ギリ耐えよったー!」


 ボーゼとえすとは、新手のレッサーレベナント2体に魔法を浴びせとる。

 けど強敵やな。串刺しでも、一発では倒れへんか~……



 待て待て、倒したそばから増えんな !!



《「レッサーレベナント」7体、「ハイゾンビ」12体、および「ゾンビ」1体と交戦中です》


「あ゛ー」

「上から来るぞ!」

「「「『マジか !! 』」」」


 なんか上の階っぽいゾンビまでおる! もう無茶苦茶やな……

 しゃ~ない、1体1体相手してこか。まずは目の前のハイゾンビを……


「【着火(バーン)】、【受け流し】、よいさ~ッ!」


 受け流した所で、異変に気ぃついた――



 ◇


 今、俺の周りは音に満ちとる。

 ドチャ、グチャ……みたいな打撃音から、(くう)を切るヒュンヒュン、魔法(がら)みのグツグツ、パチンて音まで。


 そん中に、聞き慣れんのが混ざっとる。ドゥンドゥンドゥン……て、低うて小っちゃい音や。

 まあでも、さっきのハイゾンビが先や。


「【叩きつけ】、であ~ッ !! 」


 とりあえず、【受け流し】たハイゾンビに、大盾ごと突っ込んだ。

 ……「CRITICAL!」、いただきました。



 ほんで、低音のほうは……なんかドンドンドン、て。ちょっとデカなった?


「……ん? 何の音 ?? 」

「え、何か聞こえる?」

「はい。何かドンドンドン、て。低く小っちゃいのが」

「そ~そ~、さっきからしてる!」


 えすととさいでらさんも気ぃついたみたいや。


「……お前分かる?」

「うん、ちょっとずつデカなりよぉかも~」

「マジか、全然分からん……」


 ボーゼには分からんみたい。まあ、ゲーマーは耳悪なる……て聞くし。


……とか思とったら、


「きゅう !? きゅうきゅう !! 」

「「きゅえ~ !!? 」」


 スライムらが騒ぎだして、


「音に合わせて揺れだしたで~ !? これ何~ ?? 」


 音が地響きに変わってきた。


「を゛? を゛?? 」


 戦うどころやない雰囲気になってきた所で、次は兎らが騒ぎだす。


「んぷう !? 」

「ふす! ふす!」

「ぴすぴす !? 」

「ん? 何で中華料理(ちゅうか)……?」


 ボーゼ、急に何言うt……あ、


「何か(にお)う~?」

「せやな。今、腐臭にナントカ(ジャン)っぽいのが混ざりだしてな」

「さよか…………ん~、そっちは分からん……」


 あっヤバい。ズシンズシン揺れて、もう立っとれん……


「姫゛ッ゛、 姫゛~゛ッ゛!! どこにおられるので……む、そちらか !? 」


 下、の階か……? 何か声するぞ ??

 何かこっちに近づいてtt……


ミシミシミシ……

ドゴォンッ !!


「「「『どぅわあぁぁぁァ !?!!? 』」」」


 床に開いた穴を、大きく広げて。

 土煙の中から、ゾンビの巨人? が姿を現した。


「姫様、よくぞご無事で…………いや

誰?」

「「「『こっちのセリフ !!!!! 』」」」


 彼と目ぇ()うとんのは、俺や。



 いやいやいや何なにナニ怖い怖い怖い!


 今度は何に巻き込まれるん、俺…… ???



 お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m

 次回更新は8/8(金)頃の予定です。ついに……ついに主人公の進kいやなんか来たぁ!!?



【追記】

・一部修正しました

(2025/07/20)

・サブタイトルを追加しました

(2025/07/20)



――【おまけ】ジンジュくんの現状――

ジンジュ Lv.9

 種族:ミニゴブリン (幼鬼/下位鬼族) 男

 属性:土

 職業:【正業】冒険者(闘士) 【副業】―

 所持金:420マニ

 SP:7

 HP:78%

 MP:86%

 状態:正常


 スキル:8

 〈鈍器 Lv.6〉〈防御 Lv.3〉〈受け流し Lv.4〉〈火魔法 Lv.3〉

 〈生活魔法 Lv.5〉〈従魔法 Lv.5〉〈解体 Lv.3〉〈鑑定 Lv.1〉

(控え:5)

 〈危機察知 Lv.2〉〈下剋上 Lv.3〉〈体力強化 Lv.4〉〈筋力強化 Lv.4〉

 〈敏捷強化 Lv.3〉

(種族:2)

 〈投石 Lv.3〉〈幼鬼〉


 称号:5

 〈駆けだしの冒険者〉

  住民からの信頼度が微増する。

 〈副神シトリーの祝福〉

  幸運のステータス値が微増する。

  また、知力と精神の取得経験値が微増する。

 〈大物を喰らいし者〉

  人類NPC、および同族NPCからの信頼度が少し上がる。

 〈生還者〉

  HPが0になる攻撃を受けた際、HP残り1%で耐える確率を微増させる。

 〈毛玉の主〉

  物理攻撃の被ダメージが微減する。

(控え:3)

 〈邪道〉

  現在は無効。相手への急所・弱点攻撃の与ダメージが微増する。

 〈処刑人〉

  現在は無効。急所攻撃の命中率が微増する。

 〈水玉の主〉

  現在は無効。物理攻撃、および水属性の被ダメージが微減する。


 従者:2名(定数2/〈従魔法〉)

とがの Lv.10

 ラビット(兎/下位兎族) ♀

 HP:67%   MP:―

はっさく Lv.10

 スライム(下位粘体族) ♂

 HP:92%   MP:43%



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