033. また進化 ~俺のちゃうで?~
早い所ではもう7月だそうです、キリバスとか
……えぇ~い!(投稿ボタンポチー)
地下墓地の地下2階。下へ行く階段室への途中です。
敵のゾンビを倒して、安全地帯で休憩中。
で、とがのが進化できるんやて。回復も安全確保もしたし、早速やってみよか~。
《「とがの」の「ラビット」への進化を始めます》
通知と同時に、とがのが白く光りだした。
ラビット、ね。東の街ら辺で見た、あんな感じに進化するんか~。
……せやな。一回り大きなって、耳が伸びた。いかにも兎! て感じの輪郭や。
で、10秒ほどで光が消えて、薄~い牛柄の野兎が、姿を現した。
《「とがの」の進化を完了しました。以下の条件が満たされています》
《「とがの」の職分が選べます》
《「とがの」の種族スキル〈小兎〉が、〈兎〉に更新されました》
《「とがの」の種族スキル〈引っ掻き〉が開放されました。SP:2で取得できます》
「ふんす! ふんすッ! ふんふん !! 」
「きゅい !? 」
「ちょお待て、何でそんな興奮しとん?」
やたら鼻息荒く、その辺をぴょこぴょこ跳ね回るとがの。
いや、はっさくらも妙に盛り上がっとったけどさ……この子は今にも、誰か蹴飛ばしそうなんよな~。
ちょっとおかしい。大丈夫かこれ?
「ぷう……ぷう……」
「ふんす!」
「んぷうッ !!? 」
「「大丈夫か !? 」」
居眠りしとる橙色の小兎……にわざわざ駆け寄って、尻を蹴り上げるとがの。
普通にアカンかったわ……。
ん~、ダイスくんも心配やけど……とりあえずとがのを落ち着かせるには、どないしたら……
あ、せや。あれ試すか~……
「【鑑定】~」
【鑑定】結果は……うん、一昨日のレティシアさんと一緒やな。以下略。
「……ふす ?? 」
で~、【鑑定】食ろた瞬間て、背筋ゾワッとするんよな。
とがのもそうみたいで、「な、何? 急に…… ??? 」て感じでこっち見てくる。
「あ゛~゛焦った……落ち着いてくれてよかった~……」
「きゅいきゅい……」
「……ふす?」
……あぁ待て待て、ダイスくんは?
「ぷう! ぷうぷう !! 」
「【光の癒し】……はいはい分かった、分かったから落ち着けー」
地団駄踏みながら、鼻鳴らしとる。めっちゃ機嫌悪そう……。
まあ、そんな元気やったら、あとは大丈夫か。
ほな、とがのに目線合わせて。教育教育教育……
「で~、とがのさん。今自分が何したか分かっとぉ?」
「ふす……」
お、自覚あるっぽい。なら話が早い。
「ムシャクシャして、何も悪ない相手を蹴飛ばいた……て話で合うとぉ?」
「……ふす」
とがのは気まずそうに頷いた。だいたい合うとるみたいやな。
「ええか? 痛めつけてええんは“味方を危険に晒すヤツ”だけやぞ。今の俺とかな。 ……あとその前に、ちゃ~んとダイスくんに謝ってこい。ええな?」
「ふ、ふす」
とがのは勢いよく頷いて、ダイスくんのほうに駆け出した。
……なんか、やっとまともなこと言えた気ぃする。
◇
あ、そうそう。
「ふす、ふすふす!」
「……ぷう」
とがのに謝られたダイスくん、興味なさそうに欠伸しとる。「何を今さら?」てとこなんかな……?
「ぴすぴす……」
黒い兎も遠巻きに様子見とるだけやし。
とがの、お前も人望……いや兎望(?)ないタイプか……
「……一緒に頑張ろな~」
「きゅい?」
あ。
とがのの耳だけ、こっち向いとる。
「怖っ……」
とか言うとったら、スライムが2匹寄ってきた。
「「きゅえーい」」
「きゅい~、きゅいきゅい!」
ポンカンくんとデコポンくんや。
2匹とも、はっさくと同しくらい大きなっとr……いや気持ちデカいな、はっさくより。
あと、はっさくの反応的には……
「お、君らも進化したんか~」
「「きゅえきゅえー」」
「おめでと~、大きなったな~」
「きゅえーい」
「きゅえきゅえ」
陽気で人懐っこい子らや。自然とこっちも笑顔になるわ~……
「「きゅえ~い」」
「きゅいきゅい」
ポンカンくん・デコポンくんは次行った。
「ふすふす」
「きゅい~」
「お帰り~」
入れ代わりに、とがのが戻ってきた。
「……ちゃんと頭下げたな?」
「ふす!」
「了解、お疲れさ~ん」
まあ、ダイスくんは許してないやろけど。しゃ~ないな。
謝罪の肝は「許す/許さん」やない。「自分の非を認めて、けじめをつける」こと……やと、俺は思う。
……え? 「謝ったんだから許せよ!」??
喧しわ、甘ったれ。首洗て出直せ。
◇
ほな〈兎〉スキルこと、種族特性をチェ~ック。
説明見よう!
―――――
〈兎〉
草原に現れる、小ぶりな兎。大人だがこのサイズ。
器用ですばしっこい。魔法は使えない。
○種族特性
【夏毛/冬毛】高い保温性を誇る
・暑さや濡れにやや弱い
【その他】
・視覚:視野は広いがド近眼
・聴覚:鋭い
・嗅覚:やや鋭い
○個体特性
・特になし
―――――
「ん~……どっか変わったか~ ?? 」
「ふす……?」
「きゅい~?」
特に変わってない、っぽい?
……いや。「大人でもこのサイズ」が、「大人だが……」になっとる。細かいけど。
まあでも、そんなもんか。
◇
はい次、「職分選べ」やて。
《以下から「とがの」の職分を選んでください
▶️闘士
― 》
「ふす~ !!? 」
「おいおい、ほぼ一択やんけ……」
「きゅい~……」
また鼻息荒いとがの。まあ、そら怒るで~……。
「で、一応聞くけど……闘士でええ?」
「ふんす!」
即、力強く頷くとがのやった。
《職分「闘士」が選ばれています。このまま決定してよろしいですか?》
はい、お願いしま~す。
《「とがの」の職分を「闘士」に設定しました》
◇
ほな次、〈引っ掻き〉てスキル。
「……要る?」
「ふすふす!」
意外と興味津々やな……
なら早速。
《従者「とがの」が〈引っ掻き〉を取得しました。残りSP:4 》
で、説明見よう!
―――――
〈引っ掻き Lv.1/30〉
相手を【引っ掻く】動作を補助するスキル。
他の動作にも応用できる……かも?
技一覧
【引っ掻く】
爪などを用いて、相手に擦り傷、または引っ掻き傷を与える。
―――――
応用? 何に使えと ??
……あ、穴掘りとか ???
分かんね……
「ふすふすふす……」
……ん? とがのが地べた掘っとる。
ホンマに掘れるんや、固そうに見えてんけどn……
「あっ待て !? 何しとん !!? 」
「ふす !? ふすふ、す……?」
無意識やったらしい。本能くすぐられたんか……?
◇
あ、せや。ついでに見とこ、とがののステータス。
―――――
とがの Lv.10
種族:ラビット(兎/下位兎族) ♀
属性:―
職分:闘士
SP:4
HP:100%
MP:―
状態:正常
スキル:3
〈回避 Lv.5〉〈採取 Lv.3〉〈鑑定 Lv.1〉
(控え:8)
〈闇魔法 Lv.1〉〈生活魔法 Lv.1〉〈下剋上 Lv.3〉〈器用強化 Lv.4〉
〈体力強化 Lv.4〉〈筋力強化 Lv.3〉〈敏捷強化 Lv.4〉〈人類共通語 Lv.1〉
(種族:5)
〈噛みつき Lv.4〉〈引っ掻き Lv.1〉〈蹴り Lv.8〉〈危機察知 Lv.3〉
〈兎〉
称号:4
〈鬼の従者〉
物理攻撃、および土属性攻撃の与ダメージが微増する。
〈大物を喰らいし者〉
人類NPC、および同族NPCからの信頼度が微増する。
〈食べ物の恨みを抱く者〉
空腹時の与ダメージが微増する。
〈人間不信〉
人類NPCからの信頼度が微減する。
―――――
お~、成長しとるな~……
でも引き続き、「MP:―」。やからまだ、魔法使えんみたいやな……。
◇
話変わるけど。
今の俺らん中で、兎2羽、スライム6匹、あと俺がほぼ同しレベルで固まっとる。
で、進化まだなんがダイス、こなつ、俺……てとこ。
末っ子っぽい顔ぶれで、最弱決定戦?
妙やな、俺長男やのに……
……とか思とったら、ボーゼが声かけてきた。
「そろそろ出るぞ」
「あ、了解」
たしか先頭、交代やったな。スライムらに。
「きゅ、きゅきゅ?」
「出て左なー、まっすぐ行ったら戻ってまうから」
リーダー格のブンタンくんが、えすとに訊いとった。
「きゅきゅ、きゅ!」
「きゅい!」
で、はっさくが呼ばれとる。
「きゅいきゅい~」
「行ってら~、気ぃつけてな」
「ふんす、ふすふす!」
「きゅい~」
ほなまた、大盾と伐採斧持って……
「ほな行くコ !? 」
「「「『応ーッ !! 』」」」
ボーゼの合図で出発する。俺は一番後ろ。
◇
向かい合う2柱の女神の彫刻に、軽~く一礼してから部屋を出る。
んで、目の前のT字路を左へ。
「道なりに行ったら行き止まり、て。どんな構造やねん……」
「さあな。ダンジョンでも拵える気やったんかー?」
「ツッコむなツッコむな、所詮ゲームやぞ?」
ボソッと呟いたら、前のえすととボーゼに拾われた。
さては緊張感が足らんな?
ま、動けたらええか。
「きゅきゅ、きゅ!」
「「きゅえ、きゅえーい」」
「……ん゛~。」
お? また前に「ハイゾンビ・ファーベル」さんがおってやな。
皆さん順番に、挨拶しよってや。
ほな元気よく行きましょ~。
「「「お邪魔しま~す!」」」
「ん゛。」
“邪魔すんねやったら帰って~”て言われんと済むんが、ありがたくもあり。
ちょっと寂しくもあり……
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
地下墓地編、もうちょっとだけ続くんじゃ……
次回更新は7/7(月)、短い番外編の予定です。
本編は7/20(日)頃になりそうです。ゆるゆるお待ちあれ……
【追記】
・サブタイトルを変更しました
(2025/07/15)
・一部修正しました
(2025/07/15)
――【おまけ】――
レイドPT「やったね! 墓荒らし……なむなむ」の現状
【PT「お城と……横顔新○線や~」メンバー】
○リーダー
ボーゼ Lv.25
ウルフ・ビースター(狼獣人/獣人族) 男
HP:100% MP:100%
従者:1名が所属
レティシア Lv.15
ラビット(兎/下位兎族) ♀
HP:100% MP:―
○副リーダー
えすとっきゅー Lv.24
エルフ(森人族) 男
HP:100% MP:100%
従者:1名が所属
ダイス Lv.9
ミニラビット(小兎/下位兎族) ♂
HP:100% MP:―
○その他のメンバー
ジンジュ Lv.9
ミニゴブリン (幼鬼/下位鬼族) 男
HP:100% MP:100%
従者:1名が所属
とがの Lv.10
ラビット(兎/下位兎族) ♀
HP:100% MP:―
以上6名/定員7
【PT「きゅきゅきゅーきゅ・きゅーきゅきゅ」メンバー】
○リーダー
ブンタン Lv.10
スライム(下位粘体族) ♂
HP:100% MP:100%
※異人「えすとっきゅー」の従者
○副リーダー
あまなつ Lv.10
スライム(下位粘体族) ♀
HP:100% MP:100%
※異人「ボーゼ」の従者
○その他のメンバー
はっさく Lv.10
スライム(下位粘体族) ♂
HP:100% MP:100%
※異人「ジンジュ」の従者
ポンカン Lv.10
スライム(下位粘体族) ♂
HP:100% MP:100%
※異人「えすとっきゅー」の従者
デコポン Lv.10
スライム(下位粘体族) ♂
HP:100% MP:100%
※異人「えすとっきゅー」の従者
こなつ Lv.9
プチスライム(下位粘体族) ♀
HP:100% MP:100%
※異人「ボーゼ」の従者
以上6名/定員7
【PT「ざ・ぞんび~ず +α」メンバー】
○リーダー
さいでら Lv.23
レッサーレベナント(屍人族/下位不死者) 女
HP:100% MP:―
○副リーダー
あだしの Lv.22
レッサーレベナント(屍人族/下位不死者) 女
HP:100% MP:―
○その他のメンバー
ひゃくまんべ Lv.25
ヒューマン(人間族) 男
HP:100% MP:100%
トリベノ Lv.22
レッサーレベナント(屍人族/下位不死者) 男
HP:100% MP:―
カーラ Lv.8
ハイゾンビ(屍人族/下位不死者) 女
HP:100% MP:―
ハルト Lv.7
ハイゾンビ(屍人族/下位不死者) 男
HP:100% MP:―
以上6名/定員7
○その他のメンバー
(該当なし)
計18名/定員25