029. 俺らと、……地獄か?(地下1階)
先月末更新予定だった番外編ですが、勝手ながら6月以降に延期させていただきます m(_ _)m
詳細は決まり次第お伝えします。
ところで、4人中3人ベース弾けるバンドって何なんすか……?(何か見た)
◇
ジンジュです。友達と地下墓地に突っ込んで、ゾンビ系の異人さんらと知り合いました。
んで、早速下りた地下1階で、敵ゾンビと戦いました。
やる気満々で怖かった。なむなむ……
勝てたからええんやけど、色々面倒くさい相手やわ。
で、奥へ行ったらさらに強いんが、らしいです……あっ通知。
《「ゾンビ」4体を討伐しました。以下の条件が満たされて……》
《Lv.8になりました》
《〈火魔法〉〈生活魔法〉〈従魔法〉以上3スキルのレベルが上がりました》
《従者「とがの」「はっさく」が、それぞれLv.9になりました》
《「とがの」の〈蹴り〉〈器用強化〉〈体力強化〉以上3スキルのレベルが上がり……》
《「はっさく」の〈光魔法〉〈生活魔法〉〈危機察知〉〈精神強化〉以上4スキルのレベルが上が……》
……せやった。山盛り通知来るんやった。
じっくり見た~い! けど俺1人違うし。
ここ安全地帯でもないからな~。あとであとで。
◇
進路に4つある十字路の、2つ目を過ぎた。ここからは、ブンタンくん率いるプチスライム6匹と交代。
彼らが前に出て、俺ら3人と兎3羽、さいでらさんら「ぞんび~ず」の5人、の順に続く。
「きゅえ?」
「きゅえ~?」
「「……きゅえ~い!」」
先頭のプチスラ2匹、ポンカンとデコポンが、何か見つけたっぽい。
……ん~、奥から今、何か聞こえたような?
「……う゛~」
ゾンビや。あんなに倒したのに、まだ出てきてなんや……
とか思とったら、スライムらが動き出した。リーダー格のブンタンくんが、他の子に指示出しよる。
「きゅ、きゅきゅ!」
「きゅうきゅう」
「きゅい~」
まずはあまなつさんとはっさくに一言。
はっさくが頭上に触手出して、親指立てとるから、すんなりOKしたみたい。
「きゅきゅ、きゅきゅ」
「きゅおー?」
次は問題児、こなつさん。さっきゾンビ溶かして食うとった子な。
何かご不満っぽいけど……
「きゅきゅ?」
「きゅお……」
あっさり引き下がった。何か釘刺されたな?
で、ブンタンくんのほうは……
「きゅ、きゅきゅ!」
「「きゅえ~い」」
先頭の2匹と合流して前進。ゾンビのほうへ飛び跳ねていく。
「【挑発】!」
「「【挑発】」」
「【鑑定】~」
《「ゾンビ」1体と交戦中です》
《抵抗に成功しました》
《従者「とがの」「はっさく」が、それぞれ抵抗に成功し……》
「……う゛~?」
通知が来てから、ゾンビがこっち向いた。と思たらのけ反って、
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~ ッ !」
仲間を呼んだ。
念のため、俺らも武器を構えとく。さっきみたいに、今度は俺らが手伝わなアカンかも……?
「う゛ー」
「あ゛~」
《「ゾンビ」3体と交戦中です》
増えたんは2体だけ。合わせて3体。レベルは7から8やて。
対して、スライムらはレベル8~9。こっちが有利やな。
俺らは武器を下ろした。
前に出たプチスラ3匹は、1対1でゾンビに張り付いた。
「きゅきゅ!」
「う゛~ !? 」
ブンタンくんは1体目の足元に張り付いて、すっ転ばした。
「きゅえ?」
「きゅえ~?」
「「あ゛ッ゛!? 」」
その奥で、ポンカンくんは2体目の腰に、デコポンくんは3体目の肩に張り付いた。
そこから2匹が、それぞれ間際の壁に触手を伸ばして張り付いた。
「「あ゛ァ゛ッ゛!! 」」
「「きゅえ~い」」
2体のゾンビが壁に叩きつけられる。そこに……
「【光の魔球】」
「【光の魔球】~」
「【火の魔球】ー」
はっさくらの魔法が襲いかかった。
「「「あ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛~ !! 」」」
《「ゾンビ」1体を討伐しました》
《従者「はっさく」の〈光魔法〉〈生活魔法〉両スキルのレベルが上がり……》
ほな手ぇ合わせて。なむなむ……
いや~、スライム強いな~ !!
◇
4つある十字路の、3つ目を過ぎた。次の十字路の向こうが、下への階段室や。
ここでまた、並び替え。
ついに「ぞんび~ず」の5人が前へ。その後にプチスラ6匹、俺らが続く。
んで、ちょっと進んだら。
「う゛~」
早速奥からゾンビが現れた。
対する「ぞんび~ず」の皆さんは……?
「殴り合いじゃあ~ !! 」
「「「おーッ !!! 」」」
さいでらさんの掛け声で、拳を高く突き上げとった。やる気満々。
……て雰囲気が、向こうにも伝わったんかな?
「……う゛あ゛!? あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ァ゛~ !!! 」
のけ反って仲間を呼ぶ敵の声も、なんか震えとる。
《「ゾンビ」12体、および「ハイゾンビ」5体と交戦……》
《抵抗に成功……》
《従者「とがの」「はっさく」が抵抗に成功……》
「「「う゛~」」」
「「「『あ゛~』」」」
奥からゾンビがワアッと出てきた。レベルは7から11。10になったら進化できる、てとこかな?
で、周りのゾンビより1拍早いんが、たぶんハイゾンビなんやろな。
「さあ~来いッ!」
ただ、迎え撃つ「ぞんび~ず」も、ゾンビ系やねん。
やから緊迫した絵面やのに、スローモーションに見えて……顔がにやけてくる。
すんません……
「3体、4体……1体足りない」
「どーしたボーゼ?」
友達のボーゼとえすとが、急に喋りだした。
「合わせて17体、にしては少なない? て思て、ハイゾンビ数えとってん。で、何回数え直してもさ……1体足りない」
「皿屋敷かー?」
「1枚足りない……アホ!」
「いやボケたんお前やろー」
とか言うとるうちに、「ぞんび~ず」とハイゾンビ4体がぶつかった。殴り合いや。
小柄なカーラさんとハルトくんが、上手く敵1体を挟み撃ちしとる。
「中身入りの力、思い知れェ!」
「あ゛ァ゛~ !? 」
ベチャ! ゴキッ !! グチャッ !!! みたいな、結構えげつない打撃音が響いとる。
まるで後ろからも聞こえるかのようn……
「ん? 後ろ~……?? 」
思わず振り返ったら、何かがピカピカ光っとる。
よお見たら、白く光る大槌や。ゾンビらしき人影を薙ぎ倒しながら、大槌の持ち主がこっちに近づいてくる。
ていうても、あの人もまだ人影や。こっち来るまで、もうしばらくかかりそう。
「げぇ、ついに来たか」
ボーゼが吐き捨てた。噂の「ひゃくまんべ」さん、らしい。
……とか呑気な話しとったら、さいでらさんが一言。
「ボーゼくん、そろそろ奥お願い!」
「了解! ……まんべさん、どないします?」
返事ついでに訊くボーゼ。
「ん~……放置で! 眠気覚まし !! 」
「わかりやした」
世界よ、これが鬼や。俺なんぞ小鬼でしかない。ええな?
◇
さいでらさんらと殴り合うハイゾンビ4体に、奥のゾンビ十数体が追いついてきた。
つまり手ぇ足りてない。俺らの出番や。
「奥の敵、順番にやろか。ブンタンらは待機」
「「了解」」
「ぴすぴす!」
「きゅきゅ!」
はい、ほなやろか。
こういう時、まず俺が敵を引き付ける。とがのにも手伝うてもらおか。
「【鑑定】、とがのもお願い」
「ふす、【鑑定】!」
一番手前のゾンビを引き付けた。
ここで魔法、やない。あえてボーゼが、大盾を構える。
「フンッ!」
「「いや放るんかい」」
結局、いつも通り持ち上げてぶん投げとった。
けど、効果は抜群や。ゴヂャァッ! みたいな音立てながら、あのゾンビが倒れる。
「あ゛あ゛~ッ !! 」
ほなそこに、後ろのゾンビらが群がってくる。
「「「『う゛~』」」」
「「「『あ゛~』」」」
……あ、ヤバい。絵面と音がグロすぎる。ギャグで中和せな。
え~と、おでこの前で、両手の人差し指を突き合わせて……
「Wow, 共食イ~」
「嫌な○T!」
ボーゼはツッコんだ。えすとは?
「最低ー! 食べ方がぁ、グロテスクぅー !! 」
……不謹慎極まりないネタは置いといて。
ゾンビの皆さん、共食いに夢中や。ここに、えすとやスライムらの魔法をぶち込んだら……?
「【光の魔球】・2連!」
「【光の魔球】~」
「「「『う゛あ゛あ゛あ゛あ゛~ !? 』」」」
光魔法3発で、5体のゾンビが溶けて消えた。効きすぎ~……
《「ゾンビ」10体、および「ハイゾンビ」5体と交戦中です》
でも敵、ま~た増えとるんよな~。
やからえすとが畳み掛ける。
「【光の破魔槍】・2連!」
「「「『……あ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛~ !! 』」」」
白く光る2本の棒が、合わせて5体のゾンビを串刺しにする。
棒はそのまま、溶けるゾンビらと一緒に消えてった。
えぐ……怖…………
「っし、ウチの勝ちやァッ!」
「俺も終わりましたぁ!」
お、さいでらさんとトリベノさんがハイゾンビに勝った。お疲れ様です!
《「ゾンビ」6体、および「ハイゾンビ」3体と交戦中です》
ち ょ お 待 て !!
地味に増えんな。
「どこや~、どこにおる? 1拍早いやつ !? 」
「……おったぁー、一番奥!」
えすとに言われて、道の奥を見る。たしかに1拍早い……だけやない。
なんかこう、背筋がピーンて伸びとっt…… 目 ぇ 合 う た ???
《抵抗に失敗しました》
「う゛ー、あ゛ーあ゛ー」
「「「『う゛~』」」」
あのハイゾンビの一言で、手前のゾンビらが、一斉にこっち向いた。
指示役てやつか。ほんで狙いは俺。
弱いから狙われる、そらしゃ~ない。
ただ、手前のボーゼやさいでらさんらを無視して、わざわざ俺を狙たんは……
「チッ、俺らを舐めよって……! 【鑑定】、【テイム】!! 」
―――――
ハイゾンビ(♂) Lv.11 コマンダー[交戦中]
(分類)魔物/人型
進化した、人型の腐乱死体。彷徨う亡者の一種。
ゾンビより力強くしぶとい。だが動きは遅いまま。
HP:100% MP:―
―――――
やっぱ指示役やな。続きはあとで読も。
……はい。統率が取れたところで、ゾンビはゾンビです。動きが遅いまんま。
【受け流し】もええけど、ここは【叩きつけ】で押し返したい所や。積極策、てやつやな。
大盾も伐採斧も、鈍器として使えるんやから。
「えすと~、【光属性付与】お願いしてええ?」
「おっけー、ほな石も1個くれ」
「石? 何で ?? 」
「指示役の頭に当てたれ。一矢報いる、ってなー」
「石だけに? 喧しわ……」
駄洒落はさておき、即やってみた。
「フンッ!」
「……う゛あ゛ッ゛!? 」
石ぶつけたら、HPも3割ぐらい減りよった。
ありがとう、えすと。ありがとう、光魔法。
……スカッとした所で本題。目の前まで来たゾンビに、まずは左手の大盾を……
「【叩きつけ】、だあァ~ッ!」
「う゛っ゛!? 」
怯んだ相手に、次は右手の伐採斧。狙うは家康の首、ただ1~つ!
「【叩きつけ】、でぇ~ッ !! 」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~ !! 」
外れた。けど頭には当たった。「CRITICAL!」いただきまして、まずは1体!
……あと3体と、指示役か。1体こっち来るな……転けた !?
「う゛あ゛~」
「ふんす、ふんす!」
とがのがしつこく、ゾンビの足元を蹴飛ばしとる。
よろしい。今すぐ君をこの生き地獄から解放してあげよう。
「【叩きつけ】、らぁ~ッ !! 」
首めがけて、大盾の底を叩きつけた。また「CRITICAL!」や。
《「ハイゾンビ」1体と交戦中です》
お、ついに指示役だけ……あれ? おれへんやん !?
「は? 何どいやそれ ?? 」
「「きゅえー……?」」
「ちょっと~? どこいてはる~ ?? 」
皆さん、ざわついとってやな……
◇
「おった! 後ろや !! 」
さいでらさんに言われて、バッと振り向いた。
2人分の人影が、こっちに近づいてくる。
誰かがパッと、光魔法の明かりをそっちに向けた。
手前の人は、白いローブを着た男や。柄がえすとと一緒やから、坊さんか。
で、バカでかい斧を担いどる。推定「ひゃくまんべ」さん……が、口を開く。
「お疲れさんでーす。 ……これ、どないしよ?」
そない言うて指差された、後ろの人影が問題や。
たぶん彼が、今交戦中のハイゾンビ。白髪が肩まで伸びとる、お爺ちゃんや。
けどその見た目に、なんか見覚えがある。たしか、理科の資料集。
「……ダ・ヴィンチ?」
脚を閉じ、両腕を大きく広げた姿勢のまま。
お爺ちゃんは佇んどった。
静かに、地面から50cmぐらい上で――――
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
次回更新は5/20(火)頃の予定です。なんか出た……
【追記】一部加筆/修正しました
(2025/06/30)
――【おまけ】ジンジュくんの現状――
ジンジュ Lv.8
種族:ミニゴブリン (幼鬼/下位鬼族) 男
属性:土
職業:【正業】冒険者(闘士) 【副業】―
所持金:420マニ
SP:6
HP:64%
MP:5%
状態:正常
スキル:8
〈鈍器 Lv.4〉〈防御 Lv.3〉〈受け流し Lv.4〉〈火魔法 Lv.3〉
〈生活魔法 Lv.4〉〈従魔法 Lv.4〉〈解体 Lv.3〉〈鑑定 Lv.1〉
(控え:5)
〈危機察知 Lv.2〉〈下剋上 Lv.4〉〈体力強化 Lv.4〉〈筋力強化 Lv.3〉
〈敏捷強化 Lv.3〉
(種族:2)
〈投石 Lv.3〉〈幼鬼〉
称号:5
〈駆けだしの冒険者〉
住民からの信頼度が微増する。
〈副神シトリーの祝福〉
幸運のステータス値が微増する。
また、知力と精神の取得経験値が微増する。
〈大物を喰らいし者〉
人類NPC、および同族NPCからの信頼度が少し上がる。
〈生還者〉
HPが0になる攻撃を受けた際、HP残り1%で耐える確率を微増させる。
〈毛玉の主〉
物理攻撃の被ダメージが微減する。
(控え:3)
〈邪道〉
現在は無効。相手への急所・弱点攻撃の与ダメージが微増する。
〈処刑人〉
現在は無効。急所攻撃の命中率が微増する。
〈水玉の主〉
現在は無効。物理攻撃、および水属性の被ダメージが微減する。
従者:2名(定数2/〈従魔法〉)
とがの Lv.9
ミニラビット(小兎/下位兎族) ♀
HP:79% MP:―
はっさく Lv.9
プチスライム(下位粘体族) ♂
HP:85% MP:27%