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【偽典】関西人とツッコむ! VRMMO ~この辺、“鬼”がよぉ育つ~  作者: あいお明
[第2章]行動範囲(エリア) を 広げよう !
34/46

028. 俺らと、暗闇に棲む者と

 お待たせしました。連載再開です m(_ _)m



 ◆


 階段降りたら、地下墓地の地下1階。通称“B1(びーいち)”。



 あ! やせい の ゾンビ が あらわれた !!


「う゛~」


 ……動き(おっそ)。しかも獲物を探す不審者のそれ。

 ほな()(まなこ)か? と思いきや、むしろ目は(うつ)ろ。

 何や気味悪いな~……


 とりあえず、いっつも通り【鑑定】さしてもらおか~……


《「ゾンビ」1体と交戦中です》


 え?

 いきなり[交戦中]やて? やる気満々やな、おい。

 勘弁(かんべん)してぇな……


 しゃ~ない、大盾(かま)えて、ボーゼに借りた伐採(ばっさい)()持って……ゾンビのけ()った !?


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~!」

「「げぇ !? 」」

「ヤバい、仲間呼ばれた!」


 奥の十字路から、足音が近づいてくる。10体ぐらい敵の応援が……来るよ……


「あ゛ー」

「う゛ー」

「「「『あ゛ー』」」」



 ……()~ね~、先頭俺やねんけど?



 ◇


 またまた、時を戻そう。

 ジンジュです。友達に連れられて、兎やらスライムやらと地下墓地に突っ込みました。


 寄り道しすぎて最後尾。通常運転(いっつもどおり)やね……

 入ってすぐ階段。()りよったら、下からバサバサ~、て羽音(はおと)がする。


「ぴす !? 」

「「きゅえ !? 」」


 前を行く兎やスライムらを(おど)かしながら、音は近づいてった。複数の黒い影と一緒に。

 一応立ち止まる。何や? て(おも)たら、コウモリやった。“▽リトル・バット Lv.4”やて。


「キャウ !? 」


 ……1匹当たった! フニャッと、おでこのど真ん中に。

 まんま飛んでったから、良かったけどさ~。


「大丈夫け? 鈍臭(どんくさ)いな~……俺自転車(チャリ)(ちゃ)うのに」

「お前なー、まず自分の心配せぇや」

「あ、ホンマやな」


 文句(ブー)垂れたら即、横の森人(エルフ)にツッコまれた。友達その①、えすとっきゅー。略してえすと。

 ん~……異常はなさそう。ケガとか毒とか。



 ほな、てことで、階段下りる。(おど)()があって……


「え? 左曲がるん ?? 普通右やろ~…… ??? 」

「そうか? 冒険者組合(ユニオン)とか図書館と(おんな)し、時計回りに上がる階段やけど」

「あ、たしかに。 ……でも(なーん)か気色悪いな~」

「そうなんや。気にしたことなかったなー」


 ボーゼの反論に納得、はした。けど何か、スッキリせぇへんな~……



 はい、階段下りて地下1階。

 真っ暗やね。目ぇ()らさな……てとこで、ゾンビ系異人(プレーヤー):“さいでら”さんが一言。


「あ、ここ階段バラバラでな。真っ直ぐ(ドーンて)行った突き当たりに、次の階段が」

「「「早い早い」」」

「「見えへん見えへん」」


 異人5人でツッコんだ。

 全員、【暗視】て技持っとる。けど「一瞬で視界確保!」て便利な(もん)ちゃう。


 そういやここ、人間族(ヒューマン)おれへんのか。

 いや、1人遅れて来るらしいけど。いつになるやら……?



 ◇


 よし、慣れた~! てことで、周りを見てみる。


 今おるんは、階段室の一番下。そこからまっすぐ、土壁で囲まれた一本道が見える。下への階段はこの先らしい。

 途中、交差点が3か所……いや、ここ出てすぐ十字路やから4か所か。


「順番どないする?」

「きゅ?」

「ほな2個目まで俺ら、3個目まではスライムら、あとは皆さんで」

「りょーかい!」

「きゅ、きゅきゅ!」


 さいでらさんとブンタンくん――スライム6匹のリーダー格――と(しゃべ)っとる(ウルフ)獣人(ビースター)。彼がボーゼ、友達その②や。

 なんかこう、複数PT(パーティー)がこういう(とこ)行く時、「1区画ごとに先頭代われ」てマナーがあるみたいで。その順番決めとった。


 て、いきなり俺先頭?

 お、ボーゼこっち来た。


「ジンジュ、先頭よろしく」

「やっぱり。嫌~ね~」

「まーまー、俺らもおるし」

「ぴすぴす!」

「ふんす!」

「ぷう……」


 えすとに続いて、レティさん、ダイスくん、とがのの兎3羽も声? かけてきた。

 (たの)もしな~。


「ありがとうねぇ~、頑張るわ」



 無理はしない、やるなら無茶まで。 ……それが俺らの方向性や。



 ◇


 スライムらはスライムらで、ゾンビ系の皆さんはゾンビ系で、それぞれ打合せしとってやな。

 ……ん? はっさくとあまなつさんが喋っとる。


「きゅう、きゅうきゅう」

「きゅいきゅい。 ……きゅい~?」


《従者「はっさく」が〈光魔法〉を取得しました。残りSP:1》



 な に ご と ???



 え? 俺な~んもしてないで ??

 今何がどう……あ、もしかして“技の教え合い”とかするんかな? 仲間内で。


「きゅお? きゅおきゅお!」

「きゅう……きゅうきゅう、きゅう」

「きゅい、きゅいきゅい~」


 2匹の横から、さらにこなつさんが割り込んで……


「ハァ? 〈調合〉?? 何でお前まで ??? 」

「きゅお!」


 ご主人のボーゼにツッコまれとる。

 ……うん。教え合い、あると思います。詳しい条件とかは知らんけど。

 まあええやん、そのほうが面白(おもろ)いし。



 ……おっとアカンアカン、それより今は地下墓地や。



 ◇


「ほな行くコ !! 」

「「「『()~ッ!』」」」


 もろもろ決めて、円陣(えんじん)組んで。通知が来た。


《異人「ボーゼ」がレイドPT名を変更しました。

  「やったね!墓荒らし!! ……なむなむ」》


「おま……適当言うただけやのに~!」

「面白いこと言うやつが悪い」


 まあええわ、()よ行こ。

 先頭誰~? 俺 !! あととがの。


 で、すぐ後ろにボーゼ、えすとと兎2羽。

 さらに後ろにスライム6匹、最後尾はさいでらさんらの「ぞんび~ず」5人。


 えすとの光魔法で、前を照らして(もろ)て……ほな行ってきま~す。



 階段室を出た途端、道の奥で影が動く。


 あ! やせい の ゾンビ が あらわれた !!


「う゛~」


 ……動き(おっそ)。しかも獲物を探す不審者のそれ。

 ほな()(まなこ)かと思いきや、むしろ目は(うつ)ろ。何や気味悪いな~……


 とりあえず、いっつも通り……


「【鑑定】~」

「【鑑定(ふす)】」


《「ゾンビ」1体と交戦中です》

《抵抗に成功しました》

《従者「とがの」「はっさく」が抵抗に成功しました》


―――――

ゾンビ(♂) Lv.7 [交戦中]

(分類)魔物/人型

 徘徊する、人型の腐乱死体。彷徨う亡者(アンデッド)の一種。

 生前より力強くしぶとい。だが動きは遅い。


 HP:100%   MP:―

―――――


 ゑ?

 いきなり[交戦中]やて ?? こっちから【鑑定】す(しかけ)る前に ???

 やる気満々やなおい、勘弁してぇな……


 しゃ~ない、大盾構えて、ボーゼの伐採斧持って……ゾンビのけ反った !?


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~!」

「「げぇ !? 」」

「ヤバい、仲間呼ばれた!」


 奥の十字路から、足音が近づいてくる。10体ぐらい敵の応援が……来るよ……


「あ゛ー」

「う゛ー」

「「「『あ゛ー』」」」


《「ゾンビ」11体と交戦中です》


 ご丁寧に通知まで。いや多いわ間抜け野郎(ポティトゥ)

 んで、近づいてくるゾンビの皆さん、結構グロい。さいでらさん()より、さらに顔色が悪い……どころか、体のあちこち光らせとる人おるやん。


「お~……世界が光に満ちておる」


 一見きれいやねんけど、嫌な予感が……


「「「『……ハッ! “グロフィルター:全年齢”』」」」


 なるほど、グロフィルター。やっぱあるんや、そういうの。

 つまりその下は「見せられないよ!」てか。


 どう見てもOUT(アウト)です。本当にありがとうございました。


 で、光ってない所もボロッボロ。足の指とか明後日(あさって)のほう向いとる人おるで。5人ぐらい。


 ……どうして歩けてるんですか?


 昔読んだ怪談本に、“人の形したボロ雑巾(ぞうきん)”とか書いてあってビックリしたけど、ホンマにそんな感じ。



 ……嫌~ね~、先頭俺やねんけど?



「【光の破魔矢(ライト・アロー)】、ゾンたんインしたお!」

「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

「「喧しいわ(じゃかまっしゃ)クソ犬ぅ~」」

「ちょ、俺味方 !! 」


 小ネタ(いつものボーゼ)は置いといて。


 最初のゾンビは、光魔法が当たった(とこ)から溶けるように消えてった。(ちゃな)い高音を発しながら。

 弱点4倍てやつか。結構効くんやな~。


「よし、火魔法と光魔法ぶち()けたれ!」

「きゅ、きゅきゅ!」

「おっけー、【増幅(ブースト)】・4倍(カルテット)……」


 ボーゼの指示で、えすとが魔法を撒きにかかる。

 で、ブンタンくんが他のスライムらに指示出しよる。

 ほな、ゾンビと当たる前に、俺も魔法を1発。


「【光の魔球(きゅう・きゅきゅう)】」

「【光の魔球(きゅい・きゅきゅい)】~」

「【火の魔球(ファイア・ボール)】……う~わ、めっちゃ燃えるやん !? 」

「生ゴミの割に?」

「「こらこらコラ」」


 さいでらさん、まさかの失言。


 さておき、敵ゾンビは大炎上。メラァ、みたいな音した。初めて聞くわ、そんなん。

 ほんで鼻をつく、()げ臭いそよ風。


 ……あ、燃え尽きた。

 “CRITICAL(クリティカル)!”、いただきました。なむなむ……



 ほな次!



 ◇


《「ゾンビ」12体と交戦中です》


「う゛ー」

「あ゛ー」

「「「『う゛ー』」」」

「倒したのに増えたーッ !! 」

「「(じゃかま)っしゃ野球部ぅ……」」


 7体も増えた。面倒(めんど)くさ……


 ただ、ここの敵ゾンビに“連携”て概念はないらしい。同族やられてもお構いなく、こっちに()よる。

 そろそろ大盾で受けなアカンぐらいまで、な。


 ……うん。燃えるんボーッと見とったん、悪手(あくしゅ)やったね。

 やっちまったぜ !!


「これ【ガード】? 【受け流し】?? 」

「なるべく【受け流し】。(シシ)ぐらい重たいからな!」

「りょ~か~い」

「おー、せやせや、【光属性付与(ライト・エンチャント)】」

「あざ~っす」


 ボーゼの助言とえすとのバフで、準備はばっちり! ……たぶんな。

 っしゃ~、来いやぁ~!


 目の前のゾンビが、右腕を大きく振りかぶって……


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~ッ !! 」

「ふす!」

「【鑑定】、【受け流し】、どぅおぉ~!」


 ……(おんもっ)た !? ホンマに猪の突進みたいな威力やな!

 それで折れてない、右腕がヤバい。頑丈すぎやぞゾンビ~ !!


 で、当のゾンビはずっ()けて、兎3羽にボコられとる。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~ !! 」

「ぴすぅ !? 」

「ふんす……」


 まあでも、元の筋力が全然ちゃうからな~……あっさり吹っ飛ばされた。

 しゃ~ない。起き上がろうとする、ゾンビの後ろ頭を(ねろ)て、伐採斧を……


「【叩きつけ】、でぇ~ッ !! 」

「あ゛~ !? 」

 

 ぬぅ。“CRITICAL(クリティカル)!”出えへん。人の急所とかないんか?

 ……とか思とったら、横から青緑色の(かたまり)が飛んでって、ゾンビの頭に(おお)(かぶ)さった。


「ま゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~ !? 」

「きゅお!」


 くぐもった悲鳴を上げながら、ゾンビの頭は輝きはじめ、やがて形を失った。

 それでもなお暴れ続けるゾンビの体から、じわじわ首が失われていく。


「……きゅお♥️」

「えぇ~……」

「ふす……」


 ご (まん) (えつ) 。

 体小っちゃいから、正直()めとったけど。

 こなつさん、うちのスライム6匹で一番ヤバいな?


「きゅい !? 」

「きゅ、きゅう……」

「「「きゅえぇ……」」」


 他の子らの反応も、よろしくない。森の掃除屋(スライム)は何でも食えるけど、やから何でも食う……わけやないらしい。

 こなつさん? 踊り食いしとるそれ、人様の死体(ゾンビ)やからな ?? 将来が不安すぎる。


 ……まさか、昨日のデカブツにでもなる気か? あの


「てけり、り~」


とか言うとった蛍光(けいこう)グリーンに。


「おいジンジュ、何見とん……」


 さすがのボーゼも固まった。

 ……あ、せやった! まだ敵ゾンビ途中やん。


「すまん、話は後や。先そっち終わらせよか」

「おぉ、せやった」



 ◇


 え~と、敵ゾンビはあと5体。うち2体がこっちに来よる。虚ろな視線の先は、首から上を失った同胞(ゾンビ)

 ……ん !? 右手も()うなった! こなつさん ???


「う゛ー」

「あ゛ー」


 ヤバいヤバい、言うとる場合やなかった。斧置いて、足元狙て……


「【鑑定】、【受け流……いや【叩きつけ】、らぁッ !! 」

「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」」

「ふんす、ふんふん!」

「……ぷう」


 2体まとめて転かした所に、とがのとダイスが飛びかかる。


「「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! 」」


 2羽が振り払われて、飛び退()いた所で……


「【光の魔球(ライト・ボール)】」

「【火の魔球】」


 とどめの魔法……あっクソ、俺のギリ足らん!


「【着火(バーン)】!」



 “CRITICAL!”、いただきました。なむなむ……



 お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m

 ヤバい子が出てきましたね……()


 次回更新は4/30(水)頃、番外編の予定です。

 本編は5/5(月/祝)頃更新となる見込みです。ゆるゆるお待ちください……



【追記】一部加筆/修正しました

(2025/06/29)



――【おまけ】ジンジュくんの現状――

ジンジュ Lv.7

 種族:ミニゴブリン (幼鬼/下位鬼族) 男

 属性:土

 職業:【正業】冒険者(闘士) 【副業】―

 所持金:420マニ

 SP:5

 HP:82%

 MP:7%

 状態:正常


 スキル:8

 〈鈍器 Lv.4〉〈防御 Lv.3〉〈受け流し Lv.4〉〈火魔法 Lv.2〉

 〈生活魔法 Lv.3〉〈従魔法 Lv.3〉〈解体 Lv.3〉〈鑑定 Lv.1〉

(控え:5)

 〈危機察知 Lv.2〉〈下剋上 Lv.3〉〈体力強化 Lv.4〉〈筋力強化 Lv.3〉

 〈敏捷強化 Lv.2〉

(種族:2)

 〈投石 Lv.3〉〈幼鬼〉


 称号:5

 〈駆けだしの冒険者〉

  住民からの信頼度が微増する。

 〈副神シトリーの祝福〉

  幸運のステータス値が微増する。

  また、知力と精神の取得経験値が微増する。

 〈大物を喰らいし者〉

  人類NPC、および同族NPCからの信頼度が少し上がる。

 〈生還者〉

  HPが0になる攻撃を受けた際、HP残り1%で耐える確率を微増させる。

 〈毛玉の主〉

  物理攻撃の被ダメージが微減する。

(控え:3)

 〈邪道〉

  現在は無効。相手への急所・弱点攻撃の与ダメージが微増する。

 〈処刑人〉

  現在は無効。急所攻撃の命中率が微増する。

 〈水玉の主〉

  現在は無効。物理攻撃、および水属性の被ダメージが微減する。


 従者:2名(定数2/〈従魔法〉)

とがの Lv.8

 ミニラビット(小兎/下位兎族) ♀

 HP:87%   MP:―

はっさく Lv.8

 プチスライム(下位粘体族) ♂

 HP:95%   MP:65%



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