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【偽典】関西人とツッコむ! VRMMO ~この辺、“鬼”がよぉ育つ~  作者: あいお明
[第2章]行動範囲(エリア) を 広げよう !
30/45

025. 俺らと、小鳥と、猫と……あと図書館

 ブクマに……リ、リアクション!


 ありがとうございます !! m(_ _)m



 ◆


 ジンジュです。

 ちょっとだけ、標準語で失礼しますわ~。



 ありのまま、今起きたことを話すぜぇ……

 俺ら3人、アインツ市立図書館に来た。兎3羽とスライム6匹連れてな。


 入館手続きして、中庭でボーッとしてたんだ。そしたらボーゼのコーヒーに、真っ白い何かが飛び込んできたんだ。


「はぁー !? 」

「何や何や~ ?? 」


とか言って見たらよぉ、()っちぇえ鳥だ。


 何を言っているか分からねぇだろうが、大丈夫だ。俺にもさっぱり分からねぇ……


「ぴぃ~や」


 しかも変な鳴き声してやがるぜ。何だァこいつ?



 ……おっと、話はそこで終わらねぇ。

 さらに視界を黒い影が横切r……いや上から下へ落ちてったんだ。

 思わずそっち見たら、そいつ黒猫だったんだよ。図書館の屋根の上から飛び降りたみてぇだ。


「あらすみません、ウチの小鳥がご迷惑を……」



 おい嘘だろ !? こいつ(しゃべ)んのかよ !!



 ◇


 少々、時を戻そう。

 図書館の前にまず、冒険者組合(シーカーズ・ユニオン)・アインツ総支部に寄るとこから。


 ボーゼ、えすと、俺、兎3羽、スライム6匹で歩く。

 今日は()いとる(当社比)、ヤッター! ……とか思いながら(ドア)開けてん。ほな鼻を突く、化学的(ケミカル)(にお)い。


「きゅお、きゅお」

「きゅい~~……」


 んで、スライムらが入るん嫌がっとる。身を(よじ)ったり波打たせたり……


「きゅう……」

「「き゛ゅ゛え゛え゛え゛え゛え゛」」

「きゅ、きゅきゅ !? 」


 吐 い た 。

 ポンカンとデコポン、スライム2匹がゲボ吐いた。


 脇におったブンタンくん――ウチのスライムのリーダー格――が、ふらふらな2匹を支える。とっさに触手伸ばして。

 ほんで、3匹に駆け寄る主人(えすと)


「だっ、大丈夫かー !? 」

「きゅきゅ、きゅきゅ !! 」


 ……を横目に、ボーゼが一言。


「1回戻るど!」

「了解」


 とりあえず、噴水へ引き返す。

 ブンタンくん含め、他の(スライム)らも“まだ吐いてないだけ”やから。建物から離れたほうがええ。


「ぴす、ぴす……!」

「ふんふんす!」


 一方で、レティシア・ダイス・とがのの兎3羽は、調子悪そうには見えん。

 薬臭いんを嫌がってか、後ろ足で地団駄(じだんだ)踏んどるけど。



 ……この感じ、虫()けならぬ“スライム除け”か?



 ◇


 広場に出て、噴水まで戻った。噴水池で、スライムらが水飲んどる。


「「きゅえーい」」

「きゅお」


 6匹の中でも弟分・妹分らしいポンカン、デコポン、こなつ。3匹は水に()かっとる……というより浮いとる。

 気持ちよさそうで、何より……


「きゅきゅ」

「きゅう……」

「きゅい~」


 残るブンタン、あまなつ、はっさくの3匹。噴水池を縁取(ふちど)る石の上で、彼らは体を休めとった。ぐで~っ、て(とろ)けとる。

 で、それぞれ触手を伸ばして、噴水池の水を吸い上げとる。


 こっちも大丈夫そやな、よかった~……



 で、ボーゼが一言。


「すまん! スライム除けしとってなん()せとったわ」

「あ~、やっぱり」


 ボーゼが一同に謝る。

 ここアインツやと、“スライムの大移動”は夏の風物詩なんやて。毎年1回必ず来る、と。

 で、“森の掃除屋”なスライムらは、街もきれいにしてくれるらしい。街の人、結構歓迎しとる。


 やからって、ホイホイ家に上がり込まれても困るわな。

 やからスライム除け。薬品使(つこ)て、“この先立ち入り禁止!”て教えとくわけや。



 ……なるほど、理屈は分かる。けど組合までそれやるんか。公共施設やろうに。

 難儀(なんぎ)やな~……


「ほな行くコ……?」

「ぴすぴぃす!」

「ふす」


 呼びかけたボーゼに返事するけど、動かへん兎ら。

 スライムらと一緒に、噴水で待っとくつもりらしい。


「ほな、ちゃちゃっと行ってくるわー」

「きゅきゅ!」



 ◇


 はい、てなわけで明日の予定、決めてきました。

 前から気になっとった、“地下墓地の探索・浄化”て依頼に挑戦しま~す。目的の地下墓地は、アインツの北北西にあるそうです。


 16歳、真夏の大冒険。

 (きも) (だめ) し で っ せ ェ ~ !!


「クソーッ!!」

ジンジュ(こいつ)に喋らすんやなかった……!」


 組合出て早々、えすととボーゼが頭抱えとる。

 う~ん……「今さら()やんでももう遅い」とか言うたらええんかな? こんな時。


「ったく、こいつ言わせておけばー」

「そらお前、言わせるからやぞ~? 坊主(ぼうず)

少年(ぼうず)聖職者(ぼうず)を“坊主”呼ばわりするの図」

「……とか言われてまっせ~?」

「彼は“ぼうず”ですか?」

「いいえ、ボーゼで~す」


 ……言い切ってから、3人顔を見合わせて一言。


「「「何言うとんねん俺らは……」」」



 またつまらぬ茶番(もの)()ってしまった……



 閑話休題。図書館行こ図書館。



 ◇


 アインツの中央広場から北北西へ。市立図書館です。


 石造りの立派な建物入って、入館手続き……て言うても、まだ昨日の今日や。冒険者組合員証(シーカーズ・カード)を魔水晶に(かざ)すだけ。

 わぁ(まぶ)しい! 以外は楽でええわ~。


 あとはぞろぞろ引き連れて中庭へ。これ大丈夫なんや……ありがたや~!


「ほあ~……拙者(せっしゃ)特に何もしてないけど、今日もお疲れ~……」

「「早い早い早い」」


 ……せやな、まだ目的の本も見てない。けどログインして十数分のうちに、2回も気絶させりたらさ~……やる気()うなるわ。

 やのにうっかり座ってもた……


「あ゛~動きたない…………本棚が来いや……」

「ファンタジーかホラーかどっちやー?」

「ほんまそどぅおぉぉい !? 」

 

 でろでろ駄弁(だべ)っとったら、ボーゼのコーヒーに、真っ白い何かが飛び込んできてん。


「はぁー !? 」

「何や何や~ ?? 」


とか言うて見たらさ、小っちゃい鳥や。

 マグカップから出てきて、軽く水分飛ばしてから、鳥さん一言。


「ぴぃ~や、D'you(ぢゅ) know(のう) what I(わらい) mean(みーん)?」

「キェアアア(シャアベ)ッタアアアアア !? 」

「「喧しいわ(じゃかまっしゃ)」」


 ネット民の悪い癖が出とるっぽい、ボーゼにツッコみつつ。

 この鳥さん、今英語かなんか喋ったったよな? 異人(プレーヤー)でっか ??



 ……とか言うとったら、今度は視界を黒い影が横切r……いや上から下へ落ちてった。

 思わずそっち見たら、黒猫……?


「あらすみません、ウチの小鳥がご迷惑を」

「「「ゑ……?」」」


 二足歩行やと……?

 何なにナニ怖い! アンタも喋るんか !?


「ボーゼさんと、えすとっきゅーさんですよね? 申し遅れました。(わたくし)、“そばぎり”と申します」


 一礼する黒猫さん。なんか蕎麦(そば)にこだわってそうやね。

 “蕎麦切(そばぎ)り”言うんは、蕎麦(めん)の別の言い方や。蕎麦湯とか蕎麦ボーロとかと区別して、そない言う時がある。


 ……ん? そういやボーゼのライバル“県北の人”て、たしかそb……


「で、こちらの鳥が“そばがき”、私の兄です」

「「「……んん !!? 」」」


 マジで? 県北のめっちゃゲーム上手い人 ?? ホンマに ???


「嘘やろ、このチビが ?? マジで ??? 」

「D'you know what you(わちゅ) mean?」

Of(おふ) course(こーす) I(あい) know(のう). ……腹立つなこいつ !! 」


 “アンタ何言ったか分かってる?”“もちろん分かってる”

 ……標準語に訳したら、多分こんな感じ。つまりボーゼと「そばがき」さん(推定)は……


「「ケンカすな、仲ええのぉ?」」

(にい)さん、(あお)りすぎです。挨拶(あいさつ)が先でしょう?」

「「はい……」」


 出会い(がしら)に、互いをおちょくり合ってました。



 何しとんねん……



 ◇


 それより気になるんが2点。

 まず、そばがきさんの喋り方。ミュージカルみたいな、妙な節回(ふしまわ)しがついとるんやけど?


 ほんでもう1個は……


「あのー、すんませんけど……何かこう、本人確認みたいなもんは……?」


 えすとが今()いたこれ。ホンマに本人か?

 いや、そもそも俺は話でしか知らん人やから、確認もクソもないけど。


「ぴぃ……あ。“ファンフリ”に、よぉ()んさった」

ありがとうございます(アザーッス)。 ……ガチの但馬弁(たじまべん)や」


 そばがきさん確定、やて。


 んで、標準語に訳したら「よく来なさった」てとこか。へぇ~……

 俺らやと「よぉ来たったな~」とかって言い方になる。(おんな)し県内やけど。


 あと、そばぎりさんの喋り方。俺らとか大阪の人よりも、岡山とか名古屋の人に似とる。けど別物……て印象やな。

 俺らと同し県内やけど。奥が深いなぁ……


「そちらの方は“初めまして”ですよね……?」

「おっと失礼しました。ジンジュです、よろしくお願いします」

「こちらこそ」


 そばぎりさんが話しかけてきたから、丁寧な標準語(ソトヅラ・モード)発動。ほんで一礼。

 俺らより年下らしいけど、しっかりしとってやな~。


 ……とか思とったら、横からえすとが一言。


「せや、猫やからって語尾に“ニャ”とかつかへんねんなー?」

「そんなことないですニャ~ン」

「「取ってつけたように……」」


 ……ん !?

 待て、ボーゼとそばがきさんは……


「ほんで? 元気しとったかチビっ子 ?? 」

「元気元気~、西と南を行ったり来たりだよ。で? 鉄砲玉(とびだしぼうや)こそ何してんの ?? 」


 早くも不穏。茶番やろうけど酷い。

 これが煽り愛、いや煽り合いか……


(さそ)とった友達来たからさ、レベル上げ。ついでに仲間が増えたよ、やったねガキちゃん!」

「それが小鬼(ミニゴブ)小兎(ミニラビ)、プチスラ……一揆でも起こすのかお前?」

「普通に冒険するだけやけど ?? そんなん煽って何がおもろいねん……」

「じゃあ赤穂浪士(あこうろうし)?」

「赤穂義士(ぎし)て言え、怒られるど ??? 」


 播州人(おれら)のイメージ悪すぎひん? んないちいち反乱起こさへんて。

 少なくとも俺は体制の犬(ゆうとうせい)やし。わんわん。


 いやホンマに。「熊がかわいそう」とか、んな怖いことよう言わん……


 あと、赤穂の人に“赤穂浪士”て言うんはマジでアカン。困ったときは「赤穂義士」。

 覚えてや、テストには出えへんけど。


「んな話どうでもええわ。お前何なん、その歌劇(ミュージカル)みたいな喋り方 ?? 」

「仕様だってさ、鳥系異人(プレーヤー)の。 ……運営の意地悪(いじわる)! 僕知らないもん !! 」

「突然の幼児退行(わかがえり)……」


 ボーゼはツッコんだ。必ず、あのチビ鳥の謎を解き明かさねばならぬと決意した。ボーゼには遠慮が分からぬ。だが(※自主規制(ピー))には、人一倍敏感であった」

「「聞こえてますよジンジュくん ??? 」」


 急に、ボーゼとそばがきさんがこっち見て、一言。笑顔て怖いんやな~……


「あれ~ !? 声に出とった ?? 」

「おいおい()んだわアイツ……」

「合掌……」


 この後俺は、一発ずつどつかれました。えすともそばぎりさんも、特に助けてくれんかった。

 やむなし。(くら)凡人(ボン)は、かぷかぷ笑ったよ。


「まあええねん、図書館でケンカする奴がおれへんならそれで」

「嫌味か。もっと普通に止めんかい」


 はい、ですね。



 ◇


「で? お前ら結局何しに来てん ?? 」


 ボーゼにツッコまれたんは、俺と小鳥(そばがきさん)。順番に答える。


「俺は昨日の続き。『基礎魔法学概説』を読みに来てん。駄弁りすぎただけや」

「僕は“知り合いいないかな~?”と思って。この体、本借りるどころじゃないからね。あわよくば見せてもらおう、と」



 てなわけで、時間の許す限り読んどいた。途中までやけど。

 分厚いし、図鑑も見直したからな。


日刊(デイリー)クエスト「本を読もう!」をクリアしました》

《従者「とがの」「はっさく」が『アインツ公国動物図鑑』を読破しました。以下の条件が満たされて……》

《「とがの」「はっさく」の〈動物知識〉が開放されました。それぞれSP:3で取得できます》

《「はっさく」の〈人類共通語〉がLv.2になりました》



 ほな帰ろか。

 明日たのしみ(・・・・)やな~……



 お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m

 次回更新は3/1(土)頃の予定です。肝試しでっせェ~!!


 空を飛べるかわりに、喋りが半強制歌劇(ミュージカル)になる。

 でなければ「ぴーちくぱーちく」、それが「ファンフリ」の鳥族です。

(異議は認める)



【追記】

・一部加筆/修正しました(2025/08/18)

・下記【おまけ】を差し替えました(2025/02/24)


 危ねぇ、忘れてたぜ……



――【おまけ】――

 レイドPT(パーティー)「お化けとは何か? その答えを求め文字数」の現状


 【PT「お城と……横顔新○線や~」メンバー】

○リーダー

ボーゼ Lv.23

 ウルフ・ビースター(狼獣人/獣人族) 男

 HP:100% MP:100%

 備考:長音(「ー」、「~」など)を端折りがち

 従者:1名が所属

レティシア Lv.13

 ラビット(兎/下位兎族) ♀

 HP:100%   MP:―

 備考:鳴き声は「ぴすぴす!」など


(サブ)リーダー

えすとっきゅー Lv.22

 エルフ(森人族) 男

 HP:100% MP:100%

 備考:長音は「ー」

 従者:1名が所属

ダイス Lv.8

 ミニラビット(小兎/下位兎族) ♂

 HP:100%   MP:―

 備考:鳴き声は「ぷう」など


○その他のメンバー

ジンジュ Lv.7

 ミニゴブリン (幼鬼/下位鬼族) 男

 HP:100% MP:100%

 備考:長音は「~」

 従者:1名が所属

とがの Lv.8

 ミニラビット(小兎/下位兎族) ♀

 HP:100%   MP:―

 備考:鳴き声は「ふす」など


以上6名/定員7


 【PT「きゅきゅきゅーきゅ・きゅーきゅきゅ」メンバー】

○リーダー

ブンタン Lv.8

 プチスライム(下位粘体族) ♂

 HP:100%   MP:100%

  ※異人「えすとっきゅー」の従者

 備考:鳴き声は「きゅきゅ!」など


○副リーダー

あまなつ Lv.8

 プチスライム(下位粘体族) ♀

 HP:100%   MP:100%

  ※異人「ボーゼ」の従者

 備考:鳴き声は「きゅう」など


○その他のメンバー

はっさく Lv.8

 プチスライム(下位粘体族) ♂

 HP:100%   MP:100%

  ※異人「ジンジュ」の従者

 備考:鳴き声は「きゅい~」など


ポンカン Lv.7

 プチスライム(下位粘体族) ♂

 HP:100%   MP:100%

  ※異人「えすとっきゅー」の従者

 備考:鳴き声は「きゅえーい」など


デコポン Lv.7

 プチスライム(下位粘体族) ♂

 HP:100%   MP:100%

  ※異人「えすとっきゅー」の従者

 備考:鳴き声は「きゅえーい」など


こなつ Lv.7

 プチスライム(下位粘体族) ♀

 HP:100%   MP:100%

  ※異人「ボーゼ」の従者

 備考:鳴き声は「きゅお」など


以上6名/定員7


○その他のメンバー

(該当なし)


計12名/定員25



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