024. スライムらと、【召喚】の謎
「いいね」が……欲しかったッ…………ガクッ
メンテナンス中「な○う」
◇
ども、ジンジュです。
プチスライムの「はっさく」らが仲間になりました。
てなわけで、彼のステータスとか見たいんやけど。その前に1個、ボーゼに訊いとこ。
「この後どっか行く~?」
「いや、特には」
はい。ほな早速~……
―――――
はっさく Lv.8
種族:プチスライム(下位粘体族) ♂
属性:水
SP:10
HP:100%
MP:100%
状態:正常/友好/待機
スキル:5
〈縄 Lv.2〉〈火魔法 Lv.4〉〈生活魔法 Lv.6〉〈採取 Lv.3〉
〈調合 Lv.2〉
※「初期スキル」欄より、あと3つ取得できます
(控え:―)
(種族:5)
〈水魔法 Lv.5〉〈物理耐性 Lv.2〉〈光合成 Lv.4〉〈消化促進 Lv.3〉
〈粘動体〉
称号:2
〈大物を喰らいし者〉
人類NPC、および同族NPCからの信頼度が少し上がる。
〈小鬼の従者〉
物理攻撃、および土属性の与ダメージが微増する。
(控え:―)
―――――
とがのと比べて、いきなり色々持っとる。なんかこう、“生き残り”感強いな~……
いやまあ、西の森にもボスとかおるやろし、その先にも色々おるんやろ。
全部やないにせよ、強いのと戦わな、ここまで来れんかったはず。
……撫でとこ。
「……きゅい?」
あとこのゲーム、全体的にスライムのほうが賢そうやな~。兎やら狼やらよりも。
下手しい俺よりも。
……実は俺、「頭ええな!」とは言われるけど、「賢い」て言われたことないんよな~。
あ、もしかして、お互いに技を教え合うたりするんかな?
ここのスライム、結構協力し合うみたいやし。昨日の“スラの斜塔”とかな。
で、恒例の謎スキル〈粘動体〉。
たぶん種族特性と個体特性やろうけど、どんな感じ~?
―――――
〈粘動体〉
特殊な粘液でできた身体。水玉ともいう。
生命力に満ちあふれ、無限の可能性を秘めている。
だが今は小柄で非力。動きも遅い。
○種族特性
【水属性】火、風、土とならぶ、4大元素の1つ
・被水属性ダメージ:1/2
・被土系統ダメージ:4倍
・水系統魔法:強化(小)
【下位粘体族】
・打撃耐性:被ダメージ1/2
・被風系統、闇系統ダメージ:2倍
・水分によるHP回復:被水属性ダメージを上書き
・状態異常耐性:【毒】【火傷】等、一部の状態異常が軽減される。
・聴覚および触覚:少し鋭い
・嗅覚:やや鈍い
○個体特性
【体質:虚弱気味】他者からの信頼度が減少
・やせ型:知力・器用の成長率が微増、筋力・敏捷の成長率は微減
【その他】
・味覚:やや鋭い
―――――
ほえ~……こら強い。ほんで面白い。
けどダラダラ見とる場合やないから、1つだけ。「聴覚および触覚:少し鋭い」てことは、振動に敏感なんかな?
やとしたら……地面とか空気の揺れ方で敵が分かる、とかあるかも。
まあ知らんけど。
「お2人さんお2人さん、はっさくにおすすめのスキルとk」
「まず〈鑑定〉」
「あと〈召喚魔法〉やなー」
「即答 !? 」
ボーゼとえすとに、食い気味に言われました。
「〈鑑定〉は必須として、【召喚】あったら移動が楽やで。特にお前」
「そーそー。兎、水玉、小鬼あたりが【召喚】の基本やからなー」
「へぇ~、そうなんか」
……ん !?
「……それ俺は喚ぶほう? 喚ばれるほう? どっち ?? 」
「まぁそら喚ばれるほうやろな。喚ぶほうは無理そうやから〈従魔法〉なわけやし」
「おいおい他人事かボーゼー? お前オススメの工人でも、大差ないやろー ?? 」
「いや、言うてあっちは人類やし、“キツい”で済むぐらいやからな?」
細かい話は分からん、から置いといて。とりあえず、従者に【召喚】されるタイプの主人になりそう。
俺、ギャグキャラやったんか……?
「はっさく、体育館裏は勘弁してな~」
「きゅい?」
「あるかそんなもん。ゲームやぞ?」
ボーゼが言い切った。珍しい。いやまあ、あったら怖いけど。
んで、えすとが口を開く。
「今さら何怖がっとんねん? “呼び出しィ? ワレ何様どい ?? 引きずって連れてきゃええやろ !! ” とか言うて突っぱねた奴がよー」
「お~怖、誰がそんな偉っそ~なことを……」
「「数年前のお前じゃい !! 」」
あ~、そんなん言うたっけ。しかも
「問題児が先生気取りけ? 大きなったのぉ !? 」
てオマケつけて。担任の先生の目の前で。
……我ながら最悪やな。その辺の不良気取りよりヤバない? 何しとんねん……
けどあれ小学生の頃やし、ケンカの最中でキレとったからな~…………参考にならん。
まあ要らん話は置いといて、や。
「あと何かアドバイスある~?」
「どれどれ……お、SPがたんまり。ボスでも倒してったか?」
「……へぇー面白、こんなスキルあるんや。ほなこっち入れとけー」
…………………
……………
……
結果こうなりました。
―――――
SP:4
――(中略)――
スキル:7
〈縄 Lv.2〉〈火魔法 Lv.4〉〈生活魔法 Lv.6〉〈召喚魔法 Lv.1〉
〈採取 Lv.3〉〈調合 Lv.2〉〈鑑定 Lv.1〉
(控え:3)
〈危機察知 Lv.1〉〈精神強化 Lv.1〉〈人類共通語 Lv.1〉
(種族:5)
〈水魔法 Lv.5〉〈物理耐性 Lv.2〉〈光合成 Lv.4〉〈消化促進 Lv.3〉
〈粘動体〉
―――――
「「ほな、これを踏まえて……」」
「……お前ら謀ったな~? 俺らを実験台にしよって」
「「HAHAHA、何を今さら」」
「こ~の野郎~」
ゆる~い茶番や。ありがとうねぇ。
閑話休題。
◇
ヒマ潰しと称して、「柑橘類」を外部検索させられました。THEミカn……何でもないです。
なあボーゼ、強制されたら“ヒマ潰し”違うねんけど~?
いや、たしかに「はっさく」て柑橘類あるけどさ~。
俺食うたことないし、8月1日のほうの「八朔」のつもりやってん。
ほな、何でそんな作業させられたんか。
「名前、“あまなつ”と“こなつ”でええか?」
「きゅう!」
「きゅお」
正解は越後s……“スライムの名付けに使うから”でした。
ボーゼの名付けを見届けてから、次はえすとが名付けを始めた。
「ほなお前らは“ブンタン”、“ポンカン”、“デコポン”でー」
「きゅきゅ!」
「「きゅえーい」」
無事終わったみたい。お疲れ~。
で、無駄話を足しとく。ボーゼの従者は兎のレティシアさんに、プチスライム2匹。全員雌です。
イケメン関西人はゲーム世界でもモテるそうです。 ……どうでも、ヨシ !!
「異世界で狼獣人に転生した俺、魔物を従えてハーレムを作りま拳骨ゥ !!? 」
腹に拳骨を受けて、えすとの詠唱は破棄されました。
……そうそう、えすとの所は全員雄らしい。小兎のダイスくんと、プチスラ3匹。
「ホモォ……げへぇッ !? 」
「お前ら仲ええな~……」
即やり返した2人。これがホンマの痛み分け。試合終了。
ちなみにウチはとがのが雌、はっさくが雄。バランス、ヨシ!
ところでスライムの性別て何? 彼ら“性別なし”と違うん…… ??
◇
……とか言うとるうちに、周りの空気が変わっとる。
「「「『きゅきゅ、きゅきゅ、きゅきゅきゅ』」」」
「「「『きゅえきゅえきゅえーい、きゅえきゅえきゅえーい』」」」
…………………
……………
……
ここは「アインツ市・中央広場」。石造りの街の、平和な昼下がり……やったはず。
ところが、見渡す限りのスライムらが、体を上下左右に伸び縮みさせて踊っとる。何か呪文でも唱えるかのように、一斉に鳴きながら。
もちろん、はっさくとかブンタンくんらも混ざっとる。
……ん !? 通知来た。何事……?
《従者「はっさく」他が「????」を召喚しました》
《召喚対象は他者の配下です。上位者の許可を得るか、上位者を配……許可されました》
「何これぇ……?」
とか言うとる場合やなかった。
噴水の、女神像の上に、地面と平行な魔法陣が浮かんどる。そこから空に向かって、黒いウニョウニョが出てきた。
ウニョウニョと細長かったはずのそれは、徐々にモニョモニョ……ボヨボヨ……ブヨブヨと形を変えながら大きなっとる。
膨張が止まる頃には高さ2m、幅2.5mぐらいの、巨大な焼き饅頭みたいになった。何でか蛍光色の緑に光る真っ黒け、やけど。
あと、触手伸ばして何か持っとる。あれは~……ペット用の食器?
「てけり・り~?」
んで変な鳴き声やの~、禿げタk…… !?
何これ、気分悪い……。しゃがんで……も、アカンな……
《抵抗に失敗しました。状態異常【気絶】、回復まで約55秒……》
《従者「とがの」が抵抗に失敗しました。状態異常【気絶】、回復まで約5分……》
本日2度目の【気絶】。しかもとがのまで !? な、何や?
何が起きとんねや ?? 範囲攻撃 ???
「……ケガとかないな。おら起きろー」
えすとの声がして、また肩を揺さぶられる。カウントダウンの数字が、一気に減っていく。
「きゅいきゅい~?」
「きゅきゅ? きゅ」
「きゅうきゅう……?」
はっさくらの声もする。けどボーゼの声がせぇへん。
「……ぷう?」
ダイスくんは大丈夫か。けどレティシアさんの「ぴすぴす!」も聞こえん。大丈夫やろか……?
「く゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ゛!! 」
「へあぁ~ッ !? 何なに何 ?? 」
誰のか分からん悲鳴で、飛び起きた。
声したほうを見ても、何もない……いや、青白く光るサイコロ飛んどるわ。
誰かやられたっぽい。何やらかしたんや……
「てけ! てけり・り~」
あ、謎の黒い生き物さんが、魔法陣の中に戻りよる。
「「「『きゅきゅ、きゅきゅ~』」」」
スライムらの、熱烈な見送りを受けながら。てかめっちゃ手ぇ振られとんな。
ホンマに何者……?
「……おう、お前ら大丈夫か?」
「俺は別状ない。ジンジュは?」
「へあッ !? 」
せやった、俺【気絶】したんやったな……
「たぶん大丈夫。痛いとか気分悪いとかはない」
「さよか。はーよかった……いやまだやな。兎起こしたり」
「「あっホンマや……」」
無事を祝うには早かった。まだ【気絶】しとるレティシアさんととがのを起こしたろ。
「大丈夫か~?」
◇
幸い、20秒ほど揺すったったら、2羽とも目ぇ覚ました。
「ぴすぴす !? 」
「ふす……?」
「「「あぁ……よかった……」」」
拙者特に何もしてないけど、今日もお疲れ~。
「……いやホンマ疲れた。もう出たないわ~、今日は街から」
「「 せ や ろ な 」」
午前中の、リアルの用事で疲れとったとこにこれや。もうやる気もクソもあれへん。
とにかく座りたい。静かな所で一休みしたい。てなわけで……
「図書館行かせろください、他に何もなかったら」
「おっけー」
俺の提案、というよりお願いに、えすとは即賛成した。ありがとうねぇ。
けどボーゼは一瞬考え込んだな? コイツに本はマズかったか…… !?
「あっスマン、その前に冒険者組合寄らせて。明日の予定を、な」
「「りょーかーい」」
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
次回更新は2/20(木)頃の予定です。図書館再び。
このクソ寒い時に、何で“はっさく”の話してるんでしょうね……
※作者の腕が悪いだけです
【追記】一部加筆/修正しました
(2025/06/29)
ちょっとだけ説明をば……
――Tips:ファンフリの使役系魔法――
〈従魔法〉その場で魔物を仲間にする。
【長所】
・MP消費が少ない(=使える人が多い)
・専属契約(=従者と仲良くなりやすい)
【短所】
・移動が面倒
・あとエサ代が……
〈召喚魔法〉魔物を呼び出して仲間にする
【長所】
・移動が楽(【転移】が組み込まれているため)
・強力な魔物を仲間にしやすい
【短所】
・MP消費が多い
・重複あり
〈傀儡魔法〉人形を操る
【長所】
・MP消費が少ない(=使える人は多い)
・専属契約(忠誠心? はピカイチ)
【短所】
・まずは人形を作るところから……(使いたい人が少ない)
and more......