表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【偽典】関西人とツッコむ! VRMMO ~この辺、“鬼”がよぉ育つ~  作者: あいお明
[序章]“ファンフリ” を 知ろう !
1/46

prologue

 長編、初投稿です。

 よろしくお願いします m(_ _)m



 ◇


 息できんまんま、頭と体が(あつ)なる。

 でも手足は指先から冷えよる。


 ヤバい、(おぼ)れる! ……て(とこ)で、左腕を引っ張られた。


「【洗浄(クリーン)】! 大丈夫ですか !? 」

「ゲホゲホ……ありがとうございます、大丈夫です」


 あるゲームの中。

 ここはスタート地点、いわゆる“始まりの街”の都心や。

 その広場の噴水に、俺は頭から突っ込んだ。ほんで、近くにおった兄ちゃんに助けてもろた(とこ)や。



 そこに、「ぴろーん!」て間抜けな音がして、通知が来た。


《Lv.2になりました》

《〈体力強化〉がLv.2になりました》

 etc……


 ……え?

 そんなんでレベル上がるん !? ええの? 偉いさん ???



 ……「お問い合わせ」しとこ~。



 ◆


 時を戻そう、1か月半ぐらい。

 梅雨(つゆ)(どき)の朝。県立高校の教室で、俺は友達と話しとった。

 30人学級の廊下側、後ろから3列目。その机を囲む男3人。その1人、席の主が聞いてきた。


「なあ北条(ほうじょう)、お前も“ファンフリ”やらへん?」

「ふぁんふり? ゲームやっけ……?」

「そうそう、フルダイブ型V(バーチャル)R(リアリティー)M(マッシブリー)M(マルチプレイ)O(オンライン)ゲーム」

「フルダイブ型バーチャルリアリティー……何て?」


 席の主、山本(やまもと)洋希(ひろき)。島出身の変態的ゲーマーや。

 格闘ゲーム(かくげー)上手(うま)すぎて、県内やと(かな)(もん)が……北部に1人だけ、おってらしい。



 ……うん。世界、広いな。



 数学研究部(すーけん)て名前の、実質ゲーム部員でもある。

 あと、ゲーム配信もやっとるんやて。見たことないけど。



 1本2時間? ()(ぎょう)か ??



 ほな聞こか、山本のありがた~い説明(おことば)。まず、フルダイブ型VRMMOとは……


 ざっくり言うとVR、つまり仮想現実の世界に、大人数が同時に飛び込んで遊べるゲームやぞ~……てのを、短くまとめてそう言うんやて。


 100人来ても大丈夫! どころか、目指せ同時に1,000万人(いっせんまん)! て話らしい。



 (けた)やば……



「オ~……ニホンゴ、難シイネ~。“マッシブリー”トカ初メテ聞クワ~……」

「何でカタコトやねん?」

「ソンナン、気分ヤデ?」

「はいはい……」


 もうやめとこ。



「オー、俺モ初メテ聞クネ、“マッシブリー”」

「お前もかい。てかあんな一緒にやっといて……?」


 割り込んできた3人目、徳久(とくさ)駿平(しゅんぺい)の一言に、引き気味の山本。



 ……1個ツッコんどこ。


「徳久、取扱説明書(とりせつ)読んだ?」

「HAHAHAHA、失礼やな研志(けんじ)、俺がそんなん読むと思うか?」

「「どや顔で言うことか……」」


 山本と2人でツッコむ。

 はい、こういうヤツです。自覚があってよろし……いや良くはない。

 取説は読め、さすがに。


 もっと言うと、野球部の細マッチョ。自他共に認める脳筋やったりもする。


 やからって()めたらアカンで? これでも世間的には“文武両道を地で行く優等生”や。

 “頭でっかちのヘボ北条”な俺より、よっぽど凄いから。


「出来へんまんまとか嫌や、できるまでやったる !! 」


て言うて、脳筋を勉強にも向けた結果がこれや。

 (えら)い。あと体力は正義。


 あ、そうそう。ウチの学校は市内有数の進学校や。一応、俺ら全員バカではない、てことで。



 アホなことは大好物やけどな!



 で、また山本の説明。“ファンフリ”は、最近話題のゲームや。

 正式には「FANTASIA(ファンタジア) OF(オブ) FREEDOM(フリーダム)Online(オンライン)」て言うねんて。

 ちょくちょく広告見かけるわ。


 “中世ヨーロッパ「風」の世界で、気ままな第2の人生を!”てのが売りらしい。

 魔物を狩るもよし、よそ様と戦うもよし、旅に出るもよし、ものづくりや趣味に没頭するのもいいね……


「“よし”で揃えろやそこは……」

「知るか。文句は運営に言え」

「まさかの公式!」


 ちなみに、運営会社は「ファンタジア・インテリジェンス本舗(ほんぽ)」てとこ。

 某大企業の子会社らしい。


「……そこ、元祖とか本家とか総本家とかあるん?」

「和菓子屋か! さすがにそらないやろ。知らんけど」

「「知らんのかい……」」


 いやまあ、知っとるほうが怖いか。その高校生、何者?

 身内か…… ??



 閑話(かんわ)休題(きゅうだい)



「まだ今月中やったら、第2陣の抽選に間に合うからな。さあ始めよう!」


 おや ?

 やまもと の ようす が …… ?


「な~徳久、明日雪やっけ?」

「研志、マジレスすると快晴」


 それはそれで……梅雨て何やっけ?


「だうんろーどなーう!」

「「“飛ばせない広告ごっこ”やめい !! 」」


 山本、壊れる。

 ……話戻そか。


「そんなにおもろいんか~……ほな親に聞いてみるわ」


 万単位のカネが絡むし、未成年の自己判断(おれひとり)では決めれんわ。

 あと電気代とか、要相談やろ?


「それがええ」

「……誰目線なん?」


 うんうん……て、腕組んで(うなず)く徳久に一言。


「ヤター」

「「お前は早よ帰ってこい」」


 山本には2人でツッコミ入れといた。日本製(こくさん)(さと)せば直る……?



 ◇


 家帰って親に聞いたら、あっさりOKが出た。

 抽選当たったら……本体は早めの誕生日プレゼント、VRゴーグルはおまけ。ソフト代だけは小遣いから出してや~、て話でまとまった。

 ええんかそれで~……て思うやん? さすがに(オカン)が条件つけてきたわ。


「この先の定期試験で、もし1科目でも赤点取ったら、ゲーム機本体は没収~!」


やて。

 ゴーグル? ソフト? 本体なければただの箱……ですが、何か ??


 ほんで、その次以降、赤点なくなるまで返さん、とのこと。

 まあ高校やからな、赤点続いたら最悪退学やし……


「てな感じで……あなたの、ゲームを、没収します。理由は、お分かりですね?」

「学生の本分はあくまで勉強、て話よな。それすっぽかして遊び(ほう)けるぐらいやったら、学校やめて働けや……てとこ?」


 中学の先輩方とか、同級生に一定数おるんよな、そういう人……


「せやな。覚悟の準備を、しといてください」

「「「「何段階前やねん ?? 」」」」


 ツッコミに、急に(オヤジ)と弟妹が乗っかってきた。ビックリした~……


「まあ、“働けや”いうても、理想論やけどな。今日び中卒で就職とか、だいぶ厳しいらしいし……」


 ちなみに、「没収はキツくね?」て(おも)た人、大丈夫っす。残念ながら当然の理由が、俺にはあります。


 小学校の頃の話です。お恥ずかしいことに、あの頃俺はアホでした。

 特にゲームとか、勝負が絡むとやらかしまくりで……。「父のノートPCで半日間、延々ソリテ○アしてた事件」とか、「友達とのバトルに負けてキレて、徳久家のコントローラーを1台ぶっ壊した事件」とか……とにかく酷い北条、な話がゴロゴロと。



 安心してください、クソガキですよ……



 徳久家の件はホンマに申し訳ない。俺のキレっぷりを見て笑い転げとった徳久本人が、俺よりボコボコに怒られとったし……。


 そんな感じで、信頼度上げすぎてん……アカンほうにな!

 結果、徳久家の件から中学卒業まで、6年半ぐらい、俺はゲーム禁止されてました……。


 まあでも、いざ中学上がったら、俺らは“ゲームより部活とか塾”って感じで。「友達ん()集まってゲーム」みたいな時間、そもそもなかったな~。



 ……てなわけで、数年ぶりのゲーム、しかも初めてのフルダイブ。一体どうなるやら?



 たのしみ(・・・・)やな~……



 ◇


 とりあえず、期末試験は無事クリア。物理のベクトルがギリギリやったけど、セーフ!


 その後、生徒会選挙とか、台風で臨時休校とか、色々あった。


 バタバタしとるうちに夏休みになって、補習が始まった。実質、7月いっぱい午前中授業で~す。

 しかも赤点とか関係ない、進学校やから全員強制や。



 いや、夏“休み”の意味よ……



 で、抽選当たって、ゲームも届いた。あざ~っす。

 そんな7月末の朝、補習前の教室。


「お2人さんお2人さん、おすすめのプレースタイルとかある~?」

「ググれカ○」


 山本、今日も辛口。


「“検索結果がありません”やったけど、何か?」

「「でしょうね……」」


 はいDoubt(ざぶとん)! 公式情報がないだけで、検索結果はあったで? 10件ぐらい。

 まあ怪しい攻略サイトか、()散臭(さんくさ)いブログやったけどな。


 そして私は、見るのをやめた……



「んー……ほな“タンク”にせぇ。デカい盾持って、守りに徹するんや」


 ありがた~いお言葉……に、1個質問です。


「それ、だいぶ我慢せなアカンやつ(ちゃ)うん?」

「やからまず“我慢を覚えろ”て」

「アッはい、たしかに」



 あとはこう、


「ほな人間か“ドワーフ”って種族がおすすめ」

「この辺のスキル取っとけ」


みたいな話して、メモも(もろ)た。



 ありがと~。



 ◇


 補習終わって、昼過ぎ。家帰って、エアコン()けた、着替えた、飯食った。


 ほなゲームやろか、初期設定。



 ……て言うても、“ファンフリ”の初期設定は明日から。今日は本体の設定だけやな。


 とりあえず……水よし、トイレよし、戸締まりヨシ!

 ……VRの三方(さんぽう)よし(?)を確かめて、2階の自室へ。


 まずは箱開けて、中身を見る。本体、ゴーグル、ソフト……(そろ)とる、ヨシ!

 取説読んでから、電源入れて、ゴーグルして寝っ転がる。


『初期設「うわぁッ !? 」定を……めます。まず、以下の必要事項を入力してください』


 あわてて音量(ボリューム)下げ……すぎたから、ちょっと戻す。

 音デカいな~、びっくりしたわ……。


 さっそく身長・体重を入力。あと、“性別:男”も。これ地味に重要、たま~に間違われるから。

 なんか俺、“女顔”ってよ~言われる。で、喋ったら「声低っ!」てビックリされる(とこ)までがお約束。

 失礼なセットやな~……


 あと、VRの異性分身(アバター)て“地味に動かしにくい”そうで。俺はやめとく。


 他の項目は~……別にええか。座高て何やっけ? 腰回り(ウエスト)とかいちいち覚えてない……。



『身体スキャンが完了しました。身長168.2cm、体重54.6kg。座高……』


 春からちょっと増えたな、ええ事や。

 徳久には毎回心配されるけど、これでも1日3食、ちゃんと食うとるし。親戚筋では一番背ぇ高いからな?


 んな話、今どうでもええか。それよりソフト入れな。えーっと、これで……


『読み込みに2時間程度かかります。電源を切らないでください』


 おぉ、そんなかかるんかい。気合入っとんな~……宿題やっとこ。



 ◇


 で、2時間後。


『読み込み中です。残り約20分……』


 お~う、まだかかるか。ほな頑張れ。

 ……今朝のメモ見とこ~。



 ◇


 さらに20分。どないや?


『読み込みが完了しました』



 お疲れ~、ドーモアリガトウナノダ……



 お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m

 こんな感じで、(ゆる)~く(?)進めたいと思います。よろしくお願いします。



【追記】

・ブクマ、リアクション等ありがとうございます! m(_ _)m


・一部加筆/修正しました

(2025/08/03)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ