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十一話 自分の能力の強さ

普通なら強いのに……。

「痛たたた……」

「これまた手酷くやられたね……」


防具は土塗れで、葛葉の白い肌には点々と青い痕もあり、特訓の厳しさがひしひしと感じれる。今は葉加瀬に手当をしてもらっていた。椅子に座らされ、上裸に剥かれた葛葉は怪我のところに塗り薬を塗られている、葉加瀬の細い指がこそばゆい。


「取り敢えずは……こんなものだろう」

「ありがとうございます」


机の上に乱雑に置かれた、応急処置道具を葉加瀬は手際よく片付けていく。葛葉の身体には、絆創膏がかなり貼られている。包帯だったらミイラと同じになっていたろう。


「スキルを使えば……」

「前にも言ったが、あまりスキルや魔法を使った治療はダメだと」


道具を片付け終わった葉加瀬は、二度目となる忠告を葛葉に告げる。実際に葛葉は葉加瀬の言っていることに納得はしている。なぜなら何度も経験しているのだから。先の戦いも、十二時間戦い続けた時も、魔物の攻撃からの傷をポーションやスキルで回復をしていた。だが回復魔法やポーションは応急処置に他ならない。回復魔法の場合は、大魔導士くらいの者なら行き過ぎた治療になる。ポーションならエリクサーで無くてはならない。


「でも……このくらいのかすり傷なら」

「……君の場合は大怪我が多すぎる。感覚までもが麻痺してるかもだよ?」

「――うっ、それは流石に……」


言い過ぎでは? と言おうとし出掛かっていた言葉を引っ込める。最近はちょっとした怪我したらスキル使えばいいって思えてきてしまったのだ。自分ならまだしも、他人の怪我でもだ。


「……どうやら経験があるみたいだね」

「……うぅ、自重します……」


この前、傷だらけでギルドに戻ってきた冒険者達を見て、葛葉は「スキルで直せばいいのに」と思ってしまうほど、自分のスキルに頼り過ぎていた。というか葛葉のスキルは、回復魔法やポーションとは全くの別物。あれらは傷口を塞いだり、全快させたりと元々のコンディションにはならないのだが、葛葉のスキルは別だった。なんせ、手足を失っても想像で失っていないと思えば、失う直後の手足のままなのだ。傷だってそうだ、傷を負っていないと想像するだけで、傷は無かったことになるのだから。


(……あれ? 思えば十分チートでは……?)


そう、チートなのだ。目を瞑れば、寝起き眼で見れば十分チートと言わざるおえないが……。


(あ、違う。チート能力はデメリットなんてないもんね……。このスキル使った時は毎回、脳が焼き切れたって錯覚するほどの痛みがあるんだし!)


デメリットがあるのだ、葛葉のスキルには。脳への負担がヤバ過ぎる『想像』と状態異常とも言える吐き気や目眩、五感のバグがあり回数制限もある『創造』この二つは、性能は良いのにデメリットがあってチートと言えないのだ。


「さて、もうお昼だね」

「……はぇ〜早いですね〜」

「……普通じゃ無い?」


葛葉の特訓は毎回一時間半ほど。戦いに専念しているとはいえ、これほどまでに早く時間が経つ感覚は葛葉は味わったことがない。事務仕事をしていた葉加瀬にとっては遅いくらいだが。


「この後はどうするんだい?」

「この後ですか? う〜ん……特には」

「うん、それが良い。午後は身体を休めた方がいい」


間をあけ、葛葉は予定のないことを葉加瀬に告げると、葉加瀬は小さく微笑み首肯しながら言うのだった――。

読んで頂き、ありがとうございます‼︎

おかしいですねー。

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