八話 休息
題名良いの思いつかない……。
「はぁ〜……疲れた」
葛葉は一人、部屋の扉前に立ち、湿った髪にタオルを掛けながらそう呟くのだった。今はもうすっかり夜になっており、先程までの森とは違ういつもの部屋にいた。
「すごい量だったな〜」
テクテクとベッドに向かい、うつ伏せの状態でダイブし、身動きひとつしなくなる。今日のクエストは、いつも以上に苛烈で休むいとまも無く、今日一日だけでレベルアップしてしまうかと思った程だ。
「律も五十鈴も……疲れてそうだったなぁ」
比較的近い森だったので歩きで行き、勿論歩きで帰ってきたのだが、帰路は三人とも沈黙しながら帰っていた。連戦に続く連戦で、疲弊しまくりヘトヘトだったのだ。次からは近いからと言って歩きで行くんじゃ無く、ギルドが貸し出してる馬車を使おうと、そう心に決めた。――のが、数時間前。今はお風呂に入り、さっぱりして疲れを癒したすぐ後だ、疲れはあるが、少しは軽くなった。
「とりあえず明日は休みでいいよね……これ以上キツいクエストやってたら過労死するよぉ」
最近のクエストは、襲ってくる魔物の量が以前よりも多くなり、冒険者は皆ボロボロでよく帰ってくる。実際、葛葉達も毎回ボロボロで帰ってくる。
大きな怪我こそないが、それは常に気を引き締め、周りに視線を巡らせ、警戒を解かないからだ。葛葉達はよく森のクエストに行くことが多く、森での戦闘の殆どは奇襲がメインの白兵戦。小規模な物から大規模な物、剣と爪や牙などの武器を交える戦いだ、
「はぁ〜……はやく、現代武器のライフルかショットガンが欲しいな〜」
今葛葉が作れるのは殆ど一世紀前の武器達のみ。火薬銃じゃないだけマシだとは思うが。それに百年前の武器と言っても、今は片手で持てる拳銃が主。拳銃如きの口径で、異世界の敵は倒すことは出来ないのだ。防御力が低い、生身な魔物しか倒せない。硬い殻や皮膚を持ってたとしても、粘膜や生物という概念である以上、殻で守ることの出来ぬ場所、皮膚を硬くできぬ場所が存在する。そこに重点的に銃弾を浴びせ続ければ、倒せるが、
「次の魔物の相手があったりするからな〜」
問題があるのだった。魔物は弱い個体ほど群れるが、強い個体は群れない。だが、この初心者冒険者が集まる街の周辺地域に、単体でも十分に生きていける魔物はおらず、大体が弱い個体だ。
たまにイレギュラーが発生するが。
「……強くなるって、一体何なのかな〜」
ぐるりと伏せていた体を、仰向けにしため息と同時に嘆くのだった。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
今日は遅くなってしまいました。いつもですが。