四話 異世界での銃って……
対戦車ライフルなら……。
射撃の反動に痺れる手と、銃の射撃音にキーンと耳鳴りがし、葛葉はただ硬直することしか出来ない。銃は打ち慣れない限り、耳栓かなんかを着けてないと鼓膜が破れそうな感覚に陥る。
「……ぐっ。こ、こんなことで、自分の考えがあってたって証明できても……嬉しくないよぉ〜‼︎」
ガバメントを放り投げ、葛葉は再び走り出す。冒険者達が避ける理由は今の光景の通りで、その銃弾をも弾く硬い外骨格が面倒で、ほぼ魔法攻撃しか通用しないからだ。まぁゴリ押せば、魔法を使わなくとも倒せるが……昆虫はとにかく群れを成すことが多く、ゴリ押し後に新手と対峙した時は死を覚悟しなくてはならない。
「葛葉さーん‼︎ こっちに来てくださーい‼︎」
木から降りて、昆虫型の魔物とは別の魔物と対峙してい律が刀を振り回しながら、葛葉に声を再び掛ける。既にほとんどの、第一陣の魔物達は死滅しており、残すはこの昆虫型のみだった。
「わ、分かったよ〜‼︎」
葛葉は一刻も早く、この昆虫達を倒して欲しかった。律は珍しく、虫や蛇などが嫌いでは無いタイプであり、さっきも何体かは倒していた。葛葉はスピードを上げて、律の下に猛スピードで走り寄る。葛葉のスピードに昆虫は離れんと、昆虫達もさらにスピードを上げ始めた。
「は、早っ! もうっ‼︎ しつこ〜いっ‼︎」
猛スピードの葛葉に追随する昆虫共に、葛葉の堪忍袋の――嫌悪による我慢の限界が超え――緒が切れたのだ。葛葉は破片手榴弾を三個創り出し、安全ピンを抜きレバーも取り外し、空中へ手放すように投げる。三〜四秒し、爆発音が響き、同時にドサドサと魔物が数匹地面に落ちる音が聞こえてきた。
「……うっそぉ!?」
硬い外骨格があるとは言え、比較的少ない腹部等辺で爆発し、尋常じゃない速さで刺さる破片を喰らってもなお飛ぶ昆虫に、葛葉は涙目になりながら叫ぶのだった。だが、少しの足止めにはなった。葛葉と律の距離はもうほとんど無い、そのまま葛葉は律の隣を通り過ぎた。
「あとは任せて下さい!」
律はそう言うと、刀の柄に手を掛け、右足を前に出し体を前傾姿勢にし左足を引く。あとは律の持っている刀が届く範囲内に、魔物達が来るのを待つだけ。よくある抜刀術だ。
「……――っ‼︎」
そして勝負は一瞬で決した。
律の攻撃範囲内に侵入した魔物達は、律の音速の様な刀に一刀両断され、身体が思い出したかのようにズレ落ちる。一瞬の出来事に葛葉は瞠目した――。
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対戦車ライフルならドラゴンだろうとワンパンっしょ!