二話 連携
魔物の量は大体百匹くらいの量が一斉に襲ってきてるような感覚です!
草原の真ん中にある街道を行く、三つの人影。人影は草原に生息している、魔物達の襲撃をあしらいながら、目的地に向かう。
「葛葉さん? 今日のクエストは何なんですか?」
「んーとね……あっ、あった」
葛葉の後ろを歩いていた律が、葛葉の肩をポンポンと叩き急にクエストに連れられている理由を尋ねた。元々、律は今日はのんびりするつもりだったのだ。だったのだが、急にクエスト行こうと言われたので、のんびりするのを辞めクエストに同行しているのだ。本当にのんびりするだけのつもりだったので、別に渋々とか嫌々とかでは無い。
「これこれ」
「……一角獣の討伐、ですか?」
「そうだよ〜。五十鈴の盾の耐久性の確認と、私自身のちょっとした実験を兼ねてね」
「そうだったんですか。でも一角獣ってLv.1の上位ですよね? 私達だけで大丈夫なんですか?」
律の憂も最もであった。葛葉や律、五十鈴はまだ駆け出しで初心者の冒険者だ。まぁ葛葉はLv.1の中級位の冒険者だが。中級と初級二人な構成が、ほぼLv.2の魔物に勝てるわけが無い、のだが……。
「大丈夫だよ、実質Lv.2が居るし」
盾を担ぎ一番後ろを歩く五十鈴に、顔を向ける。律は、え? と言ってポカーンと口を開けたまんまにし、葛葉と五十鈴を交互に見る。律は勿論のこと、五十鈴が鬼化したことは知らないし、その時の強さも知らない。
「ささ、ちゃちゃっと終わらせよっか」
律を放置し、葛葉は大股で目的地へと歩き出すのだった。
———それから数十分後
植物型の魔物から放たれる、種子の弾丸を頭を弾丸の通る場所から少しずらし、全て回避する。同時に葛葉は、掻き消えるように植物型の魔物の懐に入り込み、逆手に持っていたナイフを下から上へと切り上げた。紫色の血が噴き出し、雨のように地を染めていく。終わったと安堵したのも束の間、ドォン‼︎ という凄まじい音が鳴る方に葛葉は目を向けた。そこには、盾で一角獣の突進を止めている五十鈴の姿があり、力はどちらとも互角なようだ。
「葛葉さん! また魔物が!」
後方、弓で魔物を倒していた律の声に、葛葉は律が指で指す方向へ視線を向ける。そこにはゾロゾロと弱い魔物が大量にこちらに向かってきている。
「なんか多く無い!?」
「や、矢がもう無くなりそうです!」
「ま、まずいなこれ!」
葛葉が魔物の群れに駆け出し、このまま律の援護と共に群れを撃破しようと思っていたら、律の悲痛な声が聞こえてきた。流石に援護なしでこの量はキツい。Lv.1の中級と言っても数には負けるし、葛葉の戦い方は相手の考えていることを読んで戦うという、考え無しな魔物には通用しないのだ。
「残りはっ⁉︎」
「あ、あと八発です!」
とそう言うと同時に、律は矢を放ち魔物の脳天に一発かました。
「……分かった! 五十鈴ー! もう少し耐えてー!」
「は、はい!」
一角獣と力比べでギリ勝っている五十鈴、援護射撃が出来なくなりつつあり近接戦闘に移行しようとする律、目の前の魔物を狩りながら指揮をする葛葉。かなりギリギリで均衡が保てている状態だ。
読んで頂き、ありがとうございます‼︎
今日は早いですねー。