一話 心機一転!
これで本当の百合が書ける‼︎
小鳥達の囀りが聞こえる晴れた朝。快晴の空に羽ばたく何十羽もの鳥達が、地面に影を写す。街にも喧騒が溢れ出し、夜が明けたことを街中に知らせる。
「――様」
「ん〜」
「葉様。起きて下さい」
「んにゅ〜、まだ深夜一時〜」
「もう七時ですよ?」
葛葉の体を揺らし、寝惚けている葛葉に優しく接する五十鈴は、はぁと一息吐く。葛葉のパーティーメンバーになってまだ数週間。律はイマイチだが、葛葉のことは大体理解している。
「葛葉様は、本当に朝が弱いですね……」
「ぅゆ〜」
顔をトロトロに蕩けさせ、先から何かを呟いているのか唸ってるのか、葛葉はとにかく朝が弱いのだ。
「……ん」
「あ、起きましたか?」
「んー……うん」
先程までの幸せそうな顔ではなく、今はいつも通りの澄まし顔になっている。葛葉は上体を起こし、欠伸と背伸びをしながらベッドから降り、カーテンに向かって歩く。朝の穏やかな風が、身を包むように優しく吹く。そして、昨日何かあった気がとそう感じる葛葉は何も思え出せない、何か大切なことがあったような気がしたのだが。
「コーヒー淹れ終わりました」
「あ、ありがと〜」
「今日はクエストするんですか?」
「うん、まぁね。試したいこともあるし」
五十鈴が机にコーヒーカップを置き、葛葉は椅子に座り熱々なコーヒーをフーフーと冷ましてから一口啜る。が猫舌な葛葉には物凄く熱かった、いや淹れたてだから熱いのは当たり前なのだが。
「試したいことって?」
「ん、んー難しいなー説明が……。そうだね、私唯一の希望の光を見に行くってとこだね」
キザっぽく、椅子の背もたれに腕を掛け葛葉は言うが、五十鈴にはちんぷんかんぷんだった。数秒葛葉は同じ姿勢をキープしていたが、次第にプルプルと震え出し頬を紅潮させ、涙目で五十鈴に向き直る。
「……反応くらいはしてよぉ」
(……可愛い)
五十鈴は不本意ながらも――葛葉を慕い仕える思いと反した感情を抱きつつも――ついついそう思ってしまった。
読んで頂き、ありがとうございます!!
第二部第二章! 長いようで短いような……。
前書きで書いた通り、これで百合が書けますね! のは良いんですが……女の子っぽくしないとですね。
これからも頑張りますので、ぜひこれからも読んで下さると、幸いです!