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十五話 チートで無双してみたい

ふっふっふ……この物語の主人公になった時点で、チーターにはならんのだよ。

カチャカチャと金属が音を鳴らし、暗い部屋を魔力灯が淡く照らし出す。空にはとっくに月が昇っており、街の喧騒も一部を除けば無くなっていた。いつもは騒がしいのに、今は何も聞こえない。この世界は夜を克服していないのだ。前世の世界は、夜は無く都会は常に朝だった。でも、この世界では常に朝なんて言う、おかしな場所はないのだ。元々イカれてた自律神経も、この世界に来たことで正常になりつつある。


「そう。そこをこうすれば、楽に出来るはずだよ」

「え、えーっと……おっ、出来た!」


カチンとちゃんとハマった音がし、葛葉は嬉しさのあまり立ち上がってしまった。今、葛葉は葉加瀬と共に銃の組み立てをしていた。葛葉のスキルで造れる銃は、前近代的な物ばかり。第一次世界大戦や第二次世界大戦の最中に作られた銃ばかり。この世界の魔物にはあまり有効ではないのだ。だから、部品から近代的な最新の銃を造ろうとするには、一から組み立てるしかないのだ。


「は〜……組み立てるっても、結局作れるのはハンドガンだけか……」

「……ライフルだと倍以上の部品を創造しないと駄目だけどね」


今目の前の机の上に、乱雑に置かれている部品の数を見ただけでもやる気が削がれるというのに、ライフルはどんくらいなのか。というか、ショットガンに比べれば少ない方じゃなかろうか?


「まぁ、結局銃火器がこの世界で無双することはないだろうがね」

「……ゆ、唯一のチートの可能性が……消え、た」


手に持っていた部品を落とし、ソファに倒れる葛葉の目には光が消えていた。チートと言っても、銃を使えたところで本当に役に立たないのだ。前の魔王軍幹部戦の時は、上手く弾を当てれたからよかったが、常時頭とか目とかに銃弾を的中させるなんて、葛葉にできるわけが……。


(……あれ? そうだよ。出来るわけねぇじゃん、じゃあ何であの時……)


とそこで、一つの可能性、チート足らせる可能性を見出した。スキル『想像』がもし、もし銃にも効果するならば、百発百中なのでは? カバッ! と立ち上がり葛葉は自分の手を見る。魔物も目や粘膜のところを固める事はできないはずだ、ならばそこを重点的に狙い撃ちすれば、銃だったとしても楽に倒せるのではないだろうか。


「……何か気付いたかい?」


葛葉の表情で察しがついた葉加瀬は、爛々と輝かせる目を見開き微笑みを浮かべている葛葉が何に数瞬悩み、何を思いついたのか知りたくなった。


「はい……! 明日、早速やんなくちゃ!」

「それは良かったが、まずは組み立てをしないと駄目じゃないかい?」

「……うっ」


その後葛葉は、何度か組み立てを間違え、また一からやると繰り返したのだった。結局完成に至るまでに、深夜になってしまった。組み立てを始めたのが十時。そして今が深夜一時。センス無いのかも、とそう思ってしまう葛葉だった。

読んで頂き、ありがとうございます!

これでもちゃんとした成り上がり系です!

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