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九話 身も心もポカポカと潤って

すみません、きちんと投稿出来てませんでした……。

以後気を付けます!

 ―――泣き疲れて葛葉に体重を預けて眠りそうだった葉加瀬を起こし、葛葉は風呂に入るのだった。

 五十鈴達は一時間前に出ていたらしい。脱衣所には替えの服やタオルが既に置いてあった。

 どこまで行って五十鈴には頭が上がらない。


「葉加瀬さん、足元気をつけて下さいね」

「うん……」


 まだポヤポヤと眠気が残っている葉加瀬。服を脱がすのも葛葉が担った。完全にお姉ちゃんになっていた。

 ふらつく葉加瀬をどうにか共に移動しバスチェアに座らせた。


「……葉加瀬さん、シャワー掛けますよー」

「ん〜?」


 半目でどこを観ているのかわからない葉加瀬。

 そんな葉加瀬の目元を手で覆い、頭から適温に設定したシャワーを掛けるのだった。

 葉加瀬は葛葉達とは違い髪が短いネオウルフヘアなため、髪が浴場のタイルに付くことはないと安心して濡らすことが出来た。


「シャンプーしますよー?」


 シャワーをシャワーフックに戻して、シャンプーを用意し葉加瀬に声を掛けてから一思いに一気にわしゃわしゃと頭を洗う。

 何気に人の頭を洗うのは初めてかもしれない。


「床屋とか美容室の人ってこんな感じなんだ」


 自分以外の人の頭を洗うと言う新鮮な感覚に、どこか興奮してしまう葛葉。

 前世の記憶を頼りに美容室の人のように気持ちよくなるよう、頭を洗っていく。

 1〜2分して泡を洗い流していく。この際は目元を覆えないため葉加瀬には何度も目を瞑るよう言い聞かせた。


「よし、あとは……」


 シャンプーが終わりまだまだある頭洗いの工程に葛葉は一息を吐きつつ、粛々とやっていくのだった。

 暫くして、葛葉は身体の泡をよくよく洗い流して湯船に浸かりにいく。湯船にはすでに洗いを済ませておいた葉加瀬が肩まで浸かっていた。

 葛葉は足先からゆっくりとお湯の中に身体を入れていく。

 葉加瀬の隣に座り、きちんと肩まで浸かった。

 ふぅ〜っと息を吐くと、一日の疲れが抜けていくような感覚がした。

 まぁ主に緋月の所為による疲労なのだが。

 葛葉があの憎たらしくも愛らしいあの顔に、心の中で中指を突き立てていると、ピクッと隣の葉加瀬の身体が動いたのだ。


「……ん」

「おはようございます」


 瞬きし完全に目が覚めた葉加瀬は状況確認をする。

 葛葉とその他の周囲を見回して。


「迷惑かけちゃった?」


 恐る恐ると言ったふうに葉加瀬は顔を青くして葛葉へ尋ねてきた。

 葛葉は首を横に振り答えた。


「そんなことないですよ、緋月さんに比べれば!」

「……比較対象がおかしい気がするのだけれど」

「でも、本当にそんなことなかったですよ?」


 葛葉の言葉に疑念を抱く葉加瀬に、葛葉は念を押して答えた。

 実際のところそこまで苦ではなかった。


「……?」


 とそこで葛葉は気が付いた。葉加瀬がチラッチラッと葛葉のことを見てはソワソワしていた。

 そんな葉加瀬に疑問符が浮かぶが、葛葉は自前の察しの良さで、葉加瀬が何にソワソワし、何をして欲しいのかを導き出した。


「葉加瀬さん、いいですよ。私はいつでもウェルカムですから」


 両手を広げ葉加瀬より小ぶりな胸を張って葛葉は聖母のような、慈愛の女神のような微笑で葉加瀬のことを受け止めようとしている。

 葉加瀬は長い沈黙の後、スススーと移動してきては、ギュッと葛葉の華奢な身体に抱き着くのだった。


「……すごく安心する」

「そう、ですか。嬉しいです」


 抱き着いて離れない葉加瀬とは暫くこのままが続いた。

 二人は姿勢を変えてゆっくりと話し合うのだった。葉加瀬が葛葉の股の間に座り、葛葉がその身体を抱き締める形で———。

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