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四話 ドレス作り

すみません、だいぶ遅くなりました。

……明日はきっとその日の内に投稿できるかと思いますので、待っていて下さると、モチベが上がります!


 ―――翌日―――


 朝食を食べ終わった頃に緋月が訪ねてきた。

 昨日宣言した通りにドレスを仕立てるためにアトリエに向かうのだそうだ。


「……あの、偏見なんですけど」

「んー?」


 ふと葛葉は今までずっと思っていたことを、先頭を歩く緋月へと尋ねた。


「ドレスを仕立てるお店がそこら辺にホイホイあると思えないんですけど、ここ異世界ですよね?」


 ドレスの仕立てをする店がそうそうあるわけないと言う偏見。だがあながち間違いでもないかもしれない。

 この世界は葛葉の世界とは違い、文明が中世ほどだ。ならばそんな時代のドレスと言ったらさぞ高級品だろう。それなのに仕立て屋がこの街にあると、とても思えなかった。


「んーその通りっちゃその通りなんだけどねぇ。まぁでもここくらいだよ、仕立て屋があるの。大抵王都にしかないから」

「逆になんでここにはあるんですかね?」

「連れてきたからだね!」


 とそこで葛葉は色々と、緋月や葉加瀬がこの街に革新を与えていたことを思い出した。

 今更この程度で疑問を持っていたらキリがなくなってしまう、そう思うのだった。


「貴様らの無鉄砲さには飽き飽きさせられるのう……」

「結果良ければ全てよし、それがボク達のポリシーさ!」


 軽快に笑い緋月は片手でピースするのだった。

 無鉄砲なのは緋月だけなのだろうとその笑顔を見て、葛葉は呆れた顔でまたまた思うのだった。




 連れてこられたのはそれはまぁ簡素な建物だった。

 それを目の前にし葛葉達は疑惑の目を向けるのだった。


「弘法筆を選ばずってね。職人はどんなところだろうと最高な仕事をしてくれるさ」


 緋月の説得に嫌疑は晴れぬが納得した葛葉達は、緋月に背中を押され、その建物の中に入っていく。

 扉を通った後に広がる光景は、


「……」


 言葉を失い、目を奪われるような豪華絢爛なドレスの数々だった。

 そんなドレスの飾られている建物の中でモゾモゾと蠢くピンク色の何か。

 ガサゴソと音を立てて何かをしていた。


「メイ〜お久〜」

「―――ん〜? あ〜、ひーちゃんだぁ〜。久しぶり〜」


 ピンク色の何かに近付き声を掛けた緋月。するとピンク色の何かが顔を上げて、声を掛けてきた緋月を見やると、物凄く落ち着きのんびりとした優しい声が発せられた。


「ん〜、ひーちゃんのお知り合い〜?」


 緋月の後ろにいる葛葉達を見て、ピンク色の何かは緋月に尋ねる。と緋月は微笑みながら


「ボクぁね、この子達とハーレム結婚するんだっ。だから、結婚式のためのドレスを"ッ―――⁉︎」


 根も葉もない嘘もしくは妄言を口にする緋月に、葛葉と鬼丸が殴り掛かった。不意打ちに気付かず、緋月はそのまま建物の外へ殴り飛ばされるのだった。


「あら〜。……結婚するの〜?」

「しませんっ!」「誰がするか!」


 真に受けてしまったのかそう聞いてくるピンク色の何か―――床にまでベッタリつくほどの長髪の女性に、二人は声を荒げて否定するのだった―――。


「―――私は〜、見ての通り〜ドレスを作るのが専門の〜お洋服屋さんで〜す。メイって〜いいま〜す」


 水色のエプロンの胸あたりに付けられているネームプレートを引っ張り名を紹介するメイ。

 が同性だとしても目がいってしまうほどの巨峰に三人は目を奪われていた。


「ん〜、お客様達の〜お名前〜を、聞いても〜いいですか〜?」


 首を傾げそう言ってくる名によって正気を取り戻した三人は、一息ついてから、


「えと、あのじゃあ私から。……鬼代葛葉です、よろしくお願いします」

「は〜いよろしくね〜。ん〜葛葉ちゃんだから〜、くーちゃんって呼ぶね〜。お次は〜?」


 長い前髪の中にある笑顔と懐かしい呼び名に葛葉は何も言えなかった。


「わしは鬼丸と言う。わしに出会えたことを光栄に思うが良いのじゃ!」


 傲慢な鬼丸の自己紹介を受けて、メイはしばし鬼丸を見つめてから手を叩き、


「まーちゃん、うんっ、まーちゃんが似合う〜」

「なんと⁉︎」


 予想外な反応に鬼丸も予想外な反応になってしまった。


「それでそれで〜?」

「……私は、葛葉様の一の従者。五十鈴と言います」


 綺麗なお辞儀と完璧な作法で自己紹介をする五十鈴に、メイは近付き、


「ん〜良い子ちゃんだぁ〜。可愛い〜、五十鈴ちゃんだから〜、すーちゃんね〜」

「あ、あのっ……」


 ぎゅーと抱き着いた。

 五十鈴は抱かれてしまい、その巨峰に顔が拘束されて虚しい抵抗をするだけだった。


「くーちゃんにまーちゃん、すーちゃん。全員覚えたよ〜」


 三人の顔をそれぞれ見て、メイは前髪の向こう側で微笑んだ。


「それで〜今日はどうしたの〜?」


 そしてすぐさま三人がここにきた理由を尋ねる。

 葛葉様は迷うことなく答えた。


「王都で、王宮で笑われないようなドレスを仕立てて貰いたいんです。どうか、お願いします!」


 頭を下げ全力で願い乞う葛葉。その傍では五十鈴と鬼丸もだった。

 三人の覚悟を察しメイはコホンと咳払いをしてから、


「分かりました! お客様のご要望通りの品をお作りさせて頂きます〜」


 今までのほんわかゆっくりな声から、ほんわかでありゆっくりでありつつどこか芯のある声に変わっていた。

 とそこで、作り始める前にメイは葛葉達に振り返って、大事なことを尋ねた。


「オーダーメイドと〜セミオーダーって言うやり方が〜あるんですけど〜、どうしますか〜?」


 その尋ねに、葛葉は顎に手を当て思案する。

 オーダーメイドのセミオーダーではだいぶ金額が変わってくるだろう。四人分のオーダーメイドは財布がだいぶ軽くなってしまう、故に、


「セミ―――」

「フルオーダーメイドで!!」


 セミオーダーを選ぼうとした葛葉を遮り、緋月が勝手に決めてしまうのだった。

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