九話 べ、別にマシュの盾とかじゃないんだからねっ!
題名気持ち悪くてすいません!
「はー最近は暑くなってきたね〜」
「ですねー、まだ六月なんですけどねー」
「……今月は『ファイアドラゴン』が出現して、暴れてるみたいです」
「マジかよ……名前的に中級の魔獣なのに、自然に干渉するとか……」
世知辛い世界の魔獣は強いのだ。
律や葛葉の格好は――防具は――かなり肌の露出が多い。色白の肌が風に吹かれ、まぁまぁ涼しい。問題としては、街行く男共の視線と、羞恥心に潰されそうなことだけだ。
「やっぱり、外は歩きたく無い……」
「……はは〜仕方ないですよ。作った人がそいう趣味なんだって、そう割り切れば……」
「律ぅ、目ぇ死んでの気付いてるの〜?」
最初は笑って居た律の目は、真っ黒に染まり光もハイライトもクソも無い、宇宙の星が無いバージョンみたいだ。三人は適当に会話をしながら、前にお世話になった防具店へと向かう。
「五十鈴はどんな武器がいい?」
「……盾ですかね」
「武器じゃなくない?」
五十鈴の言葉に、葛葉はそう言ってやるが、思えば盾でも武器として使っていたアニメというか、キャラというか、ゲームというか、まぁキャラがいた……。
「……訂正しよう。盾は立派な武器だ」
「あれっ!? 言ってること違く無いですか⁉︎」
手のひらがクイックルワイパーな葛葉に、隣に居る律が驚き顔で珍しくツッコミを入れてきた。律のツッコミは新鮮だな〜。と思いつつ、葛葉は、
「私が想像する盾を詳細に説明しようか……」
頭の中にある盾を、五十鈴へと詳細に話し始める。
ペラペラとヲタク特有の、自分の好きな――得意な――分野の話になると早口になるという現象が、葛葉にも起きているのだ。
葛葉は妄想するのが好きなヲタクだ。他にも色んな趣味に興味を持っては、それを理解し楽しんだりと、色々なヲタクだったりしたが……。
早口になると足も速くなるらしい、どんどん律と五十鈴よりも歩くスピードを上げ、先に進んでしまう。瞼を瞑っているのに転ばない葛葉に、律も五十鈴もすれ違う交通人も唖然とする。
「で、結局何が言いたいかというとね。それは……攻守共に最強の武器が――あれ、二人とも遠く無い?」
閉じていた瞼を開き、左右を確認するも話していた五十鈴は居なく、律も居ない。後ろ確認するとざっと十メートル位のところに、2人は居た。
「葛葉さんが早いんですよー」
「ありゃ?」
そういえば前にも似たようなことあったな。とこの世界に来る前の記憶が懐かしさを孕み、フラッシュバックしている。
ついつい葛葉の悪い癖が出てしまった。
「……っと、着いちゃったな」
そんなこんなしていると、目的の防具店へと着いてしまった。一ヶ月前にこの防具を作ってもらい、その後も何かと武器等をここで買っていた。葛葉の場合、防具とおまけで貰ったナイフの修理が主だが。
読んで頂き、ありがとうございます!
武器にもなって盾にもなるって強いしかっこいいですよね!