七話 未練なき世界
遅くなり、申し訳ございません!
――翌日――
カチャカチャと食器とフォーク、スプーンやナイフが当たる音が響くギルドのレストラン。そこで葛葉達は朝食を取って居た。
律が美味しそうに運ばれてくる料理を食べ、葛葉と五十鈴は一口一口味って食べている。
律は大食いキャラみたいだ。
「は〜幸へふ……!」
「ちゃんと噛んでる?」
秒で無くなっていく料理に目が釘付けになり、ほぼ飲み干してそうな律に不安が入り混じった声で問う。
五十鈴もどうやらドン引きのようだ。まぁ、朝から大盛りの洋食をパクパク平らげる人物がいたら、そりゃ誰だって引くだろう。
店員も「この人どんだけ食べるのっ!?」て顔してたし。
「食べ物はいくら食べても良いんですよっ!」
「流石にいくらも食っちゃダメでしょ……」
日替わり朝食ランチを食べ終わり、注文し出されたコーヒーを手に取り口に持ち運びながら、律の発言にツッコミを入れる。
朝から元気があるのは良いことだが、少しは周りの視線も気にしてもらいたい。
視線が一点に集まり、周囲の人々の「何だあの子」という目が連れである葛葉や五十鈴にも向いており、かなり恥ずかしい。
「……? 二人ともどうしたんですか?」
「……いや、何でもない」
顔を俯かせ、恥ずかしそうに縮こまる二人の様子に気が付いた律が、はてな顔でそう聞いてくる。
律には自覚が無いのだろう。自覚があったら、二人の様子に合わせて食べるのを辞めるとかあっただろう。でも、平気で食べ始めたのだ。
(ま、まぁ個人の自由だし……周りに一々合わすのなんて疲れるしね)
葛葉はそういう周りと一緒というのが大嫌いの、ひねくれ者だったのだ。特に嫌いな言葉が、一人は皆の為に皆は一人の為に、この言葉を聞くだけで虫酸が走る。
何も端から誰かと関係を持つのが嫌いと言っているわけでは無い。そいう考えを惜しくつけようとする、そんな奴が嫌いなのだ。
人は必ず誰かに助けて貰わねば、産まれないし育たないし生きていけない。助け合いで人は大きくなっていき、現代の科学力や社会を築き上げたのだ。だが、皆と一緒、そんな考えが人を孤立にさせるのだ。
(……本当、この世界に来れてよかった)
実のところ葛葉はあの世界には、もう飽き飽きして居たのだ。退屈な日々。大学に行こうが、楽しくも無い時間を過ごすだけ。家に帰っても別にやる事はなし。唯一の希望は義母と妹の存在だった。
でも、もうあの世界には行けないし、帰れないのだ。どっちみち、いつか自分で命を絶ってたかもしてない。なら最期に、誰かを救えたのなら良かったと、葛葉の死は無駄じゃ無かったとそう思えるのだ——。
読んで頂き、ありがとうございます!
遅くなりましたが、無事毎日投稿が続けれて良かったです!