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七話 昔々

 それから五十鈴からのお許しを受け外食に葛葉と鬼丸は出かけた。

 軽めのもの探すためメインストリートをぶらぶらと歩いて早くも10分経とうとしていた。

 鬼丸と手を繋ぎ横並びで歩くのも今となっては普通になって、普段一人で歩いていると違和感を覚えてしまう。


(依存してる……?)


 と衝撃を受けるものの、いやいやと思い直して適当な飲食店を探す。


「ん、あそこ……」

「むむ? 昨日行った店じゃな」


 見覚えのある店を見つけ、反応する葛葉に、目を細めて見る鬼丸がトンと掌に拳を当てた。


「あそこにするのかえ?」

「んー、いや。他のところにしよっか、別のところも行ってみたいし」


 この街に住み始めてから少しは経っている。が未だどんな店があるのかは葛葉は知らない。

 新しい発見を求めるのも悪くはない。


「とか思いつつ、ずっと家にいるの私」


 前世の時から何ら変わりない事実に、成長してねーと思う今日この頃だった。


「あ、あそことかどう?」

「むぉ〜よいかもしれんのう」


 葛葉が指したのは洋風のお店だった。

 鬼丸が頷いたため、葛葉は早速そのお店へと足を運ぶのだった。

 店のドアを開けると、ふわっといい香りがやってきた。美味しそうだなと店の中に入って一番に感じ、葛葉は期待に胸を膨らませた。


「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」


 すると男性店員がやってきて人数を確認してきた。

 葛葉は指を二本立てて応えると、男性店員はすぐに席へと案内してくれた。


「こちらメニューとなります、お決まりでしたらお声掛け下さい、それではごゆっくりどうぞ」


 丁寧な接客に感謝しつつ、葛葉はメニュー表を開いた。


「ほ〜フレンチ系か〜、これとか良さそう……」


 メニュー名をみてものを想像しつつ選んでいると、鬼丸が


「わしはこれがよい」


 と鬼丸がメニュー表を葛葉へ向けながら差し出してきて、メニュー名を指指した。

 何ら問題はなさそうなメニューだったが、一つだけあった。

 結構高かった。


「うぅん、いいんじゃない……?」


 冒険者稼業で稼げてはいるが無用な出費は良くない。

 と言う考えの葛葉にとっては少々高いが、鬼丸のためと思えば全然出せる金額だった。


「なら私も」


 少しだけいいものを食べるかと、注文する品を決めるのだった―――。

 ―――メニューを決め店員に注文してから15分ほどで料理は届いた。

 葛葉と鬼丸は早速食べ始めた。


「……あっ、ねー鬼丸〜」

「何じゃ?」


 目玉焼きにフォークに刺し食べようと口を大きく開けていた鬼丸に声をかける葛葉。ピタッと鬼丸は静止し、葛葉のことを見た。


「サラマンダーのことで聞きいたいことがあるんだよね」

「あぁそんなことか。ふ、何でも話すがよいのじゃ」


 食べれるのを待っていた鬼丸はパクッと一口で目玉焼きを食べ、葛葉の聞きたいこととやらを待った。


「どうして鬼丸はそんなに知ってるの、魔獣のこと」

「……わしのことなのか?」


 とサラマンダーのことについて、だった話が、いつのまにか鬼丸の話に変わっていた。


「気になっちゃって」

「う、う〜む。大した事ではないのじゃがなぁ……封印される前、旅をしておったからのう」

「え? そんな余裕あったの?」

「あったのじゃよ、その時期が」


 意外な言葉に葛葉は驚き、鬼丸は昔を懐かしむように顔を上げるのだった。

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