五話 カフェってかファミレス?
ギルド長室を出て行った葉加瀬は真っ直ぐ寄り道をせずに、ギルドを出た葉加瀬の行先は、
「カフェだったか〜」
ここら一帯では有名なカフェだった。
ここのカフェのおすすめ商品はコーヒーで、サイドメニューの数も豊富。普通に昼食を食べにくる者も多い人気店だ。
「どうします? 入るんですか?」
「朝だけどまあまあ人も居るしねぇ、よし! 入ろう!」
緋月に尋ねると、緋月はしばし考えて決断した。
葉加瀬が入って行ってから三分後。葛葉達もカフェの中へと入るのだった。
「いらっしゃいませー!」
店内に入るとすぐさま店員に歓迎されるように迎えられた。
猫の獣人の店員は元気溌剌に、数を数えて、
「三名様ですにゃ? それじゃあこちらにどうぞですにゃ〜」
適当に空いている席へ葛葉達を通すのだった。
大きな声で対押されるため葉加瀬に気付かれそうで、葛葉達はビクビクするが、葉加瀬の座る席からは入口は死角となるため気づかれては居ないようだった。
「いちいちワッペン外す必要ありました?」
「もっちの論だよ葛っちゃん、お店に迷惑が掛かっちゃうじゃん?」
通された席に座り葛葉は対面する緋月に、胸に付けていたワッペンをわざわざ外した理由を聞いた。
その葛葉の疑問に返ってきたのは至極真っ当な答えで、葛葉は少々瞠目してしまった。
「空いてるはずの席なのに座れなくてお客さんを座らせられないなんてなったら、営業妨害になっちゃうよ」
「な、なんじゃこいつ。急にまともなことを言いよって」
葛葉の心の声を代わりに言ってくれる鬼丸。葛葉ははぁとため息を吐いて、ワッペンを胸に着けるのだった。
遠目で、葉加瀬の座る席を眺めているが特に変化は起きなかった。
葉加瀬はここに入ってから注文したコーヒーをゆっくりと飲みつつ、片手で一冊の本を読み進めていた。
「徹夜明けなのによく読めるねー」
「眠くないんでしょうかね」
「なんか注文して良いかの?」
きちんと葉加瀬を眺めている葛葉と緋月。の横で鬼丸はメニュー表を開きながら葛葉に訪ねてきた。
葛葉は鬼丸へ目を向けて、メニュー表を見遣った。
そこには色々なメニュー名が載っていて、どんな物かも説明書きがなされていた。
「これじゃ! これが食いたいのう!」
鬼丸が指差し食べたいと言うのは『日替わりパン・本日おすすめ品・肉汁溢れる肉厚濃厚ダレビーフバーガー』という物だった。
「マクド○ルドかな?」
そのメニュー名を見た葛葉が真っ先に思い真っ先に出てきたのはその言葉だった。
そして鬼丸は異世界でそうそう聞かなそうな注文を店員に頼むのだった。
「少々お待ちさーいにゃ!」
注文を聞いた猫耳店員は踊るような軽やかなステップで引き返し、厨房の中へと姿を消していった。
「ん〜葉加瀬、動きそうにないなー」
「……本読み終わるまでは動かないんじゃないですかね?」
ふとずっと観察し続けてる緋月に目をやると、緋月は報告のように葉加瀬の様子を葛葉へと話した。
葛葉も葉加瀬へ目を向けた。
足を組みコーヒーをちびちび飲みながら、ゆっくり本に書かれている文字を読み進める葉加瀬。
目の前のこと以外眼中にないのか、周りには一切目配せすらしなかった。
「ん〜ボク達はどうしようかー?」
「本でも読みます?」
「嫌じゃ!」
やることがなくなってしまい暇を持て余すことになってしまったが、葛葉が笑顔で「本を読むこと」を提案するも、活字嫌いの鬼丸によって却下されるのだった。
「ボクは構わないけどねー」
嫌なのはどうやら鬼丸だけのようだった。
嫌がる鬼丸をどうにか説得しようと試みる葛葉を眺めていると、ふと今日の朝に自分が珍しく新聞を買ったことを思い出した緋月は、早速『虚空庫』から取り出すのだった。
「……え。新聞、ですか?」
緋月が取り出した物に葛葉は、まるで目の前で落雷でも起きたような、宝くじが当たったかのような、信じられないと言う顔で驚いていた。
「葛っちゃん? ボクのことなんだと思ってる?」
「え、能天気バカですか?」
「なんか聞くたんびに酷くなってる気がするんだけど、これ気のせい?」
色々と酷い葛葉に緋月は、今までの似たような発言も思い返して真っ直ぐに葛葉を見て首を傾げるのだった。
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