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TS化転生っ娘は、ちょっとHな日常と共に英雄になるため、世知辛い異世界で成り上がりたいと思います!  作者: んぷぁ
第七部 一章——帰ってきた我が家、安らぎの日々——
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十話 朝は土下座と共に?

 葛葉が目を覚すとベッドの隣で宥める緋月と、土下座をして頭を下げる律が居た。


「……何してるの?」


 寝返り打って先にあった光景、葛葉は眠気眼を擦りながら二人へ問いただしていた。


「いや〜ボクは全っ然怒ってないし、不快にも感じてないんだけどねぃ」

「いえっ、ギルド長さんに失礼なことわしたんですから当然ですっ!」

「……?」


 噛み合わない二人の言い分に、葛葉は緋月のことを見た。すると緋月は大して不機嫌でもなかった顔を破顔させて話し始めた。

 緋月が起きて二度寝しようとした時、律がやってきて、そのまま律と葛葉にギュウッと挟まれサンドウィッチにされたことを。


「……律。本人も言ってるけど、多分気にしてないてか、絶対嬉しかったと思うよ?」


 実際に顔をに出ている。


「で、ですが‼︎」

「律! こっちおいで」


 優しく語気を強めて葛葉は律を呼んだ。律は一瞬悩み、緋月と葛葉を交互に見てからズイッと葛葉へ近寄った。

 そして葛葉に向き直ると、


「ていっ」


 パチンとデコピンをさせられ「あぅ」と情けない声を出しながら体をのけ反らした。


「律の謙虚さは美徳だけど、度を過ぎれば人によっては『うざっ』て思う人もいるかもしれないの。それに律は突っ走っちゃう癖があるから、人の話をよく聞いて行動しないと!」

「っ」


 指を立て優しく叱る葛葉のことを眺めていた緋月は瞠目しつつも微笑みを浮かべるのだった。

 そんな時だったコンコンと部屋の扉がノックされたのだ。葛葉と律、緋月の視線が扉に向かい、葛葉が出ようと身じろぎするが、緋月はそれを手で静止させ、扉に向かった。


「はーい……って、葉加瀬じゃん」


 緋月が扉を開けた先に居たのは、コーヒーカップを手に持った葉加瀬だった。


「あぁ起きてたか。ん、二人も起きたか……三人ともお風呂に入るといい、髪がボサボサだよ」


 三人を見た葉加瀬は自分の髪を指差し三人の髪がボサボサなことを伝え、それじゃあと言い残し、部屋を去っていった。


「それだけ言いに来たんだ……」


 博士がさった後、緋月がボソッとそんなことを呟いた。そして振り返り髪の毛を触る二人の手を取り、


「さ、お風呂入りに行こっ!」


 大浴場に向かうのだった―――。

 ―――ガラガラと引き戸を開けるとムワッと湯気が全身を包み視界を白くさせた。


「む! 葛葉じゃあ!」


 大浴場の中に入ってきた三人を見た誰かが声を上げた。タッタッタッと走ってくる足音がして、すぐにガシッと葛葉の身体に鬼丸が抱き着いてきたのだった。

 鬼丸が抱き着いてくる衝撃を身体を後ろに後退させることで、衝撃を殺し、すっ転ぶことなく葛葉は鬼丸を受け止めた。

 葛葉のお腹にすりすりと頬擦りをしながら鬼丸は嬉しそうに文句を垂れ始めた。


「もう、昨日はどこにおったのじゃ‼︎ わしの近くを離れる出ないぞっ、寂しいではないか!」

「いや、ずっと近くで飲んでけど……?」


 飲んでは居たが一緒には飲んでいない。葛葉は葉加瀬と一緒に飲んでいた。


「葛葉様、おはようございます」


 鬼丸がギャイギャイ騒いでいると、遅れて五十鈴がやってきた。

 「律様も緋月様も」と他二人にもちゃんと挨拶して。


「……葛葉様。鬼丸様、随分と寂しそうにしてましたよ?」

「五十鈴?」


 葛葉に抱き着く鬼丸のことを見た五十鈴が葛葉に目をやり、鬼丸を援護した。

 葛葉は「五十鈴は鬼丸の味方になった」とそうそう無いことに驚き、当の鬼丸自身も不思議に思い五十鈴のことを見ていた。


「それはそれはもう……。寂しいと言って私に甘えてきましたから。……赤子のように可愛らしかったですよ」

「五十鈴っ⁉︎」


 と五十鈴の唐突な冷笑と共に繰り出された暴露に鬼丸が衝撃を受け、葛葉もなぜか衝撃を受けていた。

 そんな葛葉の視界の端では律が緋月の体を洗うと懇願する光景があった。


「赤子のように私の胸の中で眠る姿はとても愛らしかったです」

「やめるのじゃー‼︎」

「とっても可愛かったですよ」

「い、五十鈴、鬼丸が泣いてるから……」


 冷たい笑顔で繰り出される事実の数々。

 鬼丸は一筋の涙を流し地団駄を踏んでいた。


「鬼丸様、これに懲りたら浴場では走らないで下さい。よろしいですね?」


 キッと向けられる視線に鬼丸はブンッブンッと首を縦に振るのだった。

 教育の仕方が恐ろしい五十鈴に葛葉は苦笑するのだった。


「でも鬼丸の教育としてはいいかも?」

「葛葉⁉︎」


 無慈悲な二人に鬼丸は驚き口をあんぐりとさせるのだった。

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