二話 最強の鬼
正直言って助け求めるほどの子なの?
木の葉の間から陽光が差さり、森を照らす。薄暗い施設とは全くもって違う、色鮮やかな世界。
「……久々じゃの〜。ふむ、空気は悪くなってるかの?」
鼻で深呼吸をし、目一杯に五百年ぶりの外を堪能する鬼丸は、少し汚染された空気に顔を顰める。
だが、この森は変わらず。五百年前と同じ緑で溢れている。
「……む? ふふふ、どうやら盛った雄共は、わしを雌だと思い込んでるようじゃな」
無数の足音と共に、影が鬼丸を囲み鼻息を荒くする。
獣型魔物や人型魔物、多数の魔物に囲まれ鬼丸は口角を上げる。なぜなら、久々の血湧き肉踊る、生死を賭けた戦いが出来るのだから。
「うぬら全員。誰に欲情したか……存分に理解させてやるのじゃ」
手を広げて、ゆっくりと閉じるように虚を潰す。それは威嚇にもならないはずなのに、その場にいる全魔物が怖気付き、後退りしてしまう。
今、目の前に居るのは相手にしてはいけない存在だと、本能が逃げろと訴えかけ、性浴が消える。
ジリジリと後退り、逃げる魔物が殆どの中、鬼丸に襲い掛かってくる魔物がいた。
「ほぉう。わしに怖気付かないか……面白い」
襲い掛かってきたのは、普通ならこの山に居ない筈のオーガた。強化固体でLvは6以上。普通固体で5と同等かそれ以上。
そんな魔物とは露知らず、鬼丸はパキポキと音を鳴らしながら拳を作り、飛び掛かかるオーガの腹目掛け、拳を放った。
見事にクリーンヒットし、鬼丸の拳はオーガの腹を突き破り、後ろに控える魔物や木々を薙ぎ倒す程の衝撃波と爆風が発生した。
「……あっ‼︎ やり過ぎたのじゃっ‼︎」
流石に衝撃波で地面は抉れてないが、自身の足下の地面は小さなクレーターが出来ている。久々の戦闘でやり過ぎた、ならしょうがないが、鬼丸の場合連戦でもこの威力の攻撃を繰り出せる。
もはやサ○タマとしか言いようが無いが、攻撃を喰らえば勿論怪我はする。(攻撃を与えれる武器や力があれば)
それに敵をワンパンなどは流石に出来ない。(なお、ドラゴンや自分より格上の相手に限る)
だからまだサ○タマのパクリでは無い!
「んー」
木々が根こそぎ飛ばされ、森に一筋の道が出来上がってしまった。昔はよく、こうやって加減ミスってしまって怒られていた。
懐かしい思い出に頰を綻ばせる。
そして足音を立てずに逃げようとする魔物達。何故か動かず笑顔の、あの怪物に気取られないよう、慎重に……慎重に……パキっ! とそんな音がした次の瞬間、
「何逃げようとしてるのじゃ〜?」
殺気に満ち溢れた目に、既に握っている拳。魔物は直ぐに逃げようとするが、瞬時に頭部を潰され息絶える。他にも魔物が逃げ始め、鬼丸は、
「そうか……次は鬼ごっこかのぉ!」
そう解釈し、逃げ惑う魔物達を鬼の形相で追いかけ始めるのだった……。
読んで頂き、ありがとうございます!
あ、あまりにも強くしすぎてしまった。どうにか強さを調整したいと思います。