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TS化転生っ娘は、ちょっとHな日常と共に英雄になるため、世知辛い異世界で成り上がりたいと思います!  作者: んぷぁ
第六部 五章——少し過激な過激バトルスターティン!——
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二十八話 肝臓を撃ち抜かれたらいかんぞう! あははは

「まだっだ‼︎」


 男はナイフを抜き葛葉へ振るった。ナイフは葛葉の腹部をスッと裂くと、後に一線の切り傷ができた。

 ツーッと血が流れる。

 だがそれほど深くは裂いてはおらず軽い出血で終わってしまった。

 男が致命傷を与えられなかったことに歯噛みするが、葛葉が銃を再度構えたことですぐに動いた。


「くっ!」


 凄まじい銃声ののちに男が隠れた木製の遮蔽物の角が大きく削り取られてしまった。

 大口径な葛葉の銃弾は一発一発が致命傷になりある危険は弾丸である。

 そして葛葉は後ろに交代しながら床に落ちていた拳銃を拾った。これでほぼ始まりと一緒になってしまった。


「一進一退過ぎねー?」


 変わり映えのしない戦いに男は辟易するのだった―――。




 ―――襲撃者達の猛攻を退けたクロエ達は現在、安全そうな一室に立て籠っていた。

 戦闘メイドも最初沢山いたが、今となってはアヤカ達を含めた二十七人しか居なくなっていた。

 そのことにクロエが罪悪感を感じていると、ふと目が五十鈴に向いた。

 扉を少しだけ開き辺りの様子をしているようだった。

 五十鈴が居なければここまで来れなかったし、あの時に死んでいた。


「葛葉、大丈夫かな」

「っ」


 ピタッと扉の向こうを見張ってた五十鈴が反応した。

 クロエの漏らした声に五十鈴は焦燥感を感じていた。五十鈴が思っている以上に葛葉の身を案じているのだ。


(気配はあった……けど、今はどこにいるのか……分からない)


 葛葉の強烈な気配が突如なくなり、五十鈴はかなり焦っていた。葛葉のみに何か起きたのでは無いのかという不安が。

 だが共に安堵もしていた。正面玄関の前で(たむろ)していた襲撃者達の気配も消えたのだ。

 今、正面玄関に敵はいない。

 逃げるならば正面玄関だ。

 だがその道中が険しい。疲労困憊の中、仲間を失いガタ落ちの士気では辿り着けるかどうかだ。

 どんなにクロエを思っていたとしても、生物である異常、感情を殺すことはできない。

 目の前で親しかった人が死ぬ光景はとてつもないストレスだ。

 だとしても、五十鈴はクロエを逃すしかない。それが五十鈴に与えられた使命なのだから―――。




 ―――当たらない銃弾を何発撃っただろうか。

 律は引き金をとりあえず引き続けた。だが相手に当たる気配は一切なく、気が付けば相手を見失ってしまっていた。


「葛葉さぁん……」


 こんな時、葛葉が居れば直ぐに解決してくれるだろうが。今、葛葉はここにはいない。

 銃の扱いに関しては、さしもの律でも一兵卒らしい。と思っていたその時だった。

 木陰の中で光る何かを確認したと同時に身体に衝撃がやってきたのだ。


「っ」


 よろけて両手を地面に着き腹部を抑えた。するとポタ……ポタと滴り落ちる血。

 次第にそれは量を増していき、律の腹部は真っ赤に染まってしまった。


(あ、これ……不味いです)


 不覚にも律は撃たれてしまったのだ。

 押さえていた手を退けて傷口を見ると、そこには風穴空いていた。背中に手を回して腹部と同じ位置ぐらいを触ると……。


「か、貫通、してますね……」


 綺麗に風穴が空いていた。


「うっ……」


 込み上げる嘔吐感に口を抑えるが、その鉄のようなキツイ匂いに口を開け吐いてしまう。

 ビシャッと吐いたのは大量の血。


「……っ、不味い……ですよ、これ……!」


 自分に言い聞かせるように律は呟きを繰り返した。


「でもっ!」


 痛む腹部を片手で押さえつつも律は銃を手に取った。

 こんな程度の痛みと傷で諦めるのは、目指す領域を諦めるのと同義。


(葛葉さんなら、傷だらけでも立ち向かいます!)


 例えそれが葛葉が望むことでなくても。


「私は成りたいんです‼︎」


 律は銃床をガッチリと肩に固定させ、片手の筋力のみで3.1キロを構え照準を安定させた。

 痛みと無理な体勢と悲鳴を上げる腕の筋肉のせいで、ぶわっと律は嫌な汗を掻いた。

 だがそれも引き金を引けば終わる。

 痛みで冴えた目が捉えるのは移動する人影。先ほどのように無闇には撃たず、ジーッと獲物が止まるのを待った。

 そして好機が訪れる。

 人影の脚が止まったのだ。


「……まだ、です」


 撃つのは人影が移動できなくなるような場所である。ジーッと待ち続けてその時は来た。


「っ!!」


 息を短く吸ってから引き金を引いた。

 撃針によって弾は銃口から射出された。クルクルと回転しながら空を切り飛んでいく銃弾は、一瞬にして人影の足首を射抜くのだった。

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