二十四話 強がりな女の子
ロリババアは最高だよね。
肩を小刻みに震わせ、笑いを堪える小さな影が薄暗い施設の壁に伸びていく。ポタ、ポタと水が垂れる音が薄暗い施設へ、響き渡る。
「ふっふっふっふ! ふわーはっはっはっはっ――うっ!? ゲホ、ケホゴホコホっ」
高笑いをする幼女は、高笑いのせいで器官に唾が入ってしまい、咳き込んでしまった。
「コホ、コホ……ふぅ。全く魔王軍め、実に良い仕事をしてくれるのぉ」
割れた硝子が散乱する床を、裸足で動き回る幼女。だが、硝子の破片が刺さることは無い。この幼女に攻撃を与えるのならば、同等のLvか神器出ないと不可能なのだから。
「わし、完全復活なのじゃ‼︎」
ブイサインをしながらそう言う。その後幼女は飛び跳ねたり走り回ったりと、本当に子供のような仕草をする。
「さて、そろそろ行くとするかの……の前に、何か着んといけんのじゃ」
施設を見回し、服になりそうな物を探していると、幼女の目にある物が入り込んだ。
それは着物だった。赤と黒が主で、豪華絢爛という言葉がよく似合う代物だ。売れば五十万は下らない程の高級品だ。
「おぉ、懐かしいのぉ。何年ぶりじゃ? ふむふむ、そういえばざっと五百年ぶりじゃな!」
硝子の向こうにある着物を取るため、硝子をぶん殴る。すると、パリン‼︎ とは言わずに、硝子が粉々になり霧散した。
幼女は壁に掛けられた着物を手に取り、それを手慣れた手付きで羽織る。すると着物が縮んでいき、幼女の身体とピッタリになる。
「うーむ、久々の感覚なのじゃ〜」
着物をスリスリと愛おしそうに頬擦る幼女は、まるで新しいおもちゃを買い与えられたかのようだった。
「さて、久々の服も堪能したことじゃ。久々の地上で 暴れまわるとするかのぉ!」
ドラゴンのような目を見開かせ、口角を上げ露わになる無数のギザギザの歯。その姿はまさに鬼そのもの。
絶滅戦争時代、各種族から恐れられた最強の種族であり、同時に最強の傭兵集団を率い戦争に挑んだ、鬼族の巫女。
名を鬼丸と言われている。本当の名は謎のまま、本人しか知らないのだ。
鬼王鬼丸と言われ、相対した敵は皆トムとジェリーのように足を車輪のようにして、一心不乱に逃げ出すほどの強さを持っている。
そんな鬼丸のLvは12。もう、インフレが激しいって次元では無い。もはやバグだ。
「久々の戦なのじゃ‼︎」
笑顔のまま、鬼丸は地上へと続く階段を登っていった――。
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次回からはこの子が主人公に救われるヒロインです!