四話 助かる為に
葛葉は悔しさで胸がはち切れそうになった。無力な自分に、救えない自分に。
「ははは、健気だなぁ……。けど、そんなん許されるわきゃねぇだろ‼︎」
そう言うとジャックはリーニヤの頭を踏み付けた、何度も何度も何度も。
するとリーニヤの頭から血が流れ出す。それは瞬く間に大きな血溜まりを作った。
「やめろッ‼︎ 殺すぞッ‼︎」
葛葉がこれ以上ないほどの殺意を込めて叫ぶが、ジャックはやめることはなかった。
それからしばらくして、ジャックは踏みつけるのをやめた。リーニヤの身体はピクピクと小さく痙攣する程度で、ほぼ瀕死だった。
「……どうして、どうしてこんな……」
非道なことができるのか、葛葉のそんな疑問も男達の凶悪な笑い声に掻き消されてしまう。
下半身丸出しの男がリーニヤの顔の上にかがみ込み、その汚い肉棒を口に捩じ込んだ。
それを皮切りに一斉にリーニヤに群がる男達。リーニヤの身体を道具のように扱い、ただ自分の快楽のために汚していく。
(……)
そんな光景を三十分ほど見せられた葛葉の心はすでに、感情を失っていた。
残ったのはリーニヤがどうなるかの心配のみ。
「まだ生きてるな? けど、もうこれは使えねぇなぁ」
ジャックは白濁液に染まったリーニヤを汚物を見るような目で見てそう口にした。
まだ息はしているが、その息は虫の息だった。
「おい英雄、最後のチャンスだ、情報を吐け。そしたら俺だけはこいつの命だけは補償してやる」
そんな提案をジャックは葛葉に突きつけた。が葛葉は即答しない、いや理解しているのだ両者の為の提案に見せかけた一方的な提案。
例え情報を吐いたとしてもジャックはリーニヤを殺す、吐かなければリーニヤを殺す。
こう言った場面で人質が僅かにも助かる可能性があるのは……。
「クロエ様は」
葛葉がその言葉を吐いた時だった、リーニヤが弾かれたように上体だけを起こして首を振った。
「屋敷、南館の3階……に、居るはず。そして力は……全属性魔法に、Lv.4相当の潜在能力……」
必死に顔を横に振るうリーニヤのことは見えている、だが、葛葉は情報を吐いた。
ジャックは不気味な笑みを浮かべて、リーニヤの髪を乱暴に掴み葛葉の下まで持ってきた。
「よかったな、オナホ。感謝しろよ? 英雄に」
最低な呼び方をしジャックは葛葉達に背を向けこの部屋を、今度こそ去っていこうとした。そんな時だった、
「じゃ、ジャックさん! こ、こいつらはどうします?」
小汚い男がジャックへそう尋ねたのだ。
「あぁ、用済みだからなぁ。お前らの好きにしろ」
ジャックは少しだけ悩み直ぐに答えた。好きにしろ、と。それを聞き届けた男達は目の色を変えて葛葉達を見やった。
だがリーニヤと葛葉はそんな事が起きているとは知らずに、葛葉は
「ど、どうして、話したんですか⁉︎ お嬢様が……!」
「……」
リーニヤから非難を受けていた。
それもそのはず、リーニヤは自分を犠牲にしろと葛葉に言っていた。なのに、葛葉はそれを破り情報を吐いた。非難されて当然なのだ。
葛葉は俯かせていた顔を上げて、リーニヤに謝ろうとした、その時だった―――。
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