一話 それぞれは戦ってる
さあ、とうとう第六部最終章ですね!
少し過激なバトルの幕開けです!!
―――発火炎が廊下を照らし銃声が廊下に響いた。三発の弾丸は真っ直ぐと異世界の侍へと飛んでいった。
「律様‼」
だが既の所で弾丸は鋼鉄よりもはるかに硬い盾によって弾かれた。
防御のために立てていた盾を、次は鈍器のように持ち替えて鬼の子は銃を持った兵士に立ち向かった―――。
―――入り乱れの剣戟の中、緋色の軌跡を残す少女は剣聖と紙一重の攻防を繰り広げていた。
「あー‼ もうっ! 一対四なんて卑怯だぞ‼」
目の前の攻撃を避けるとすぐさま間髪入れずに他の剣聖の攻撃がやってくるのだった。
そんな余裕の無い戦いに流石の緋月も、どうやら身体にくるものはあるようで、ゼーハーゼーハーと荒い呼吸の状態がすでに数分続いていた。
「っ、……わわっ‼ ―――おっとと、あわ、ちょ、まっ、な、ふざ……ぁあ、こなクソぉー‼」
攻撃を交わし交わし交わし続けるも、剣聖の連携技は留まるところを知らず、緋月の身体はいつ両断されてもおかしくなかった。
余裕があまりにもなさ過ぎて、緋月はただただ文句を垂れつつ攻撃を避け続けるだけだった―――。
―――あちこちから聞こえてくる雄叫びと剣戟の音を聞きながら鬼丸は、巨岩のような目の前の男と相対していた。
「まさか、わしとの力比べで一時的とは言え、わしに勝るとはのう……。お主、何者じゃ?」
「……。なぁ、お嬢ちゃん、俺は子供を痛ぶる趣味は無いんだ。だから、大人しくどっかに隠れてくんねーか?」
鬼丸を前にして男は困ったような顔を浮かべてそう提案してきた。―――が、鬼丸はその提案を聞き届けて、
「わしが子供じゃと? ククク、笑わせてくれるのう。ふぅ……―――死ね」
瞬間、鬼丸の姿が掻き消え男の顔面の前に居た。拳に目一杯の力を貯めて突き放とうとしていて、男も咄嗟に拳を握った。
巨岩のような男と鬼丸の身長差は五倍ほど。そんな高身長全身ムキムキマッチョメンの男に放った鬼丸の拳は、届く前に男の拳によって防がれてしまった。
鬼丸の身体が吹っ飛び屋敷に激突、壁を突き破りながら奥まで転がっていった。
「終わりか……嫌だな、今回の任務は」
男がその様を最後まで見ずに勝利を確信して背中を向けたその時だった。男の身体が吹っ飛んだのだ。
「―――っ⁉」
何が起きたのか理解が追いつかない男が起き上がり振り返った先には余裕そうな鬼丸がニヒッと笑みを浮かべて居た。
「いやはや、全く……ちと平和ボケし過ぎてたようじゃなぁ……わしとしたことがのう。して、小童、まだやるのかのう?」
男はその鬼丸の目線に、ゾワワっと全身の鳥肌がだった。だがそれは生物の持つ本能的な恐怖。
捕食者を前に被食者はなす術がない、出来るとしたら無駄な足掻きだろう。
「さぁ、互いに楽しむとするのじゃ!」
ボキッバキッと鬼丸が拳を鳴らして笑みを作るのだった―――。
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