二十二話 ヒーローは遅れてやってくるってね。
自分が葛葉の立場だったら転生直後に死んでますね!
「そんなんあり!?」
ショットガンの弾を全弾斬り捨てるメイドに、葛葉は驚愕し素っ頓狂な声をあげてしまう。と同時にメイドが下から上へと刀を振るう。葛葉はウィンチェスターでガードするが、刀をガードした衝撃で少し中に浮き、指がじんじんする。
(や、ヤベェ……こいつ強すぎるだろ⁉︎ 序盤にこんな強敵と戦うなんてどうなってんだ!?)
最もであるが、それも運命だ、嘆いてる暇はない。
直ぐに体勢を整え、ショットガンでの射撃を再開させるが、二発三発撃てども全て斬り刻まれる。足止めにもなりゃしない。
「これで」
とうとう間合いがゼロになり、何しても葛葉が死ぬ詰みの状態。首から下を斬られても再生できるが、首から上を斬られると即お陀仏だ。
葛葉のスキルも万能って訳では無い。想像のほうは自身の体限定だが、怪我をしても元の怪我をしてない状態を想像すれば、無かったかのようになる。だが、代わりに激痛に襲われるのだ。
頭を今直ぐにでもカチ割りたくなるような痛みに、何か芋虫かムカデか、何かが頭の中を這い回ってる感覚もしてくる。かなりデメリットがやばい。創造は、メリットは大きいがデメリットもそこまで大したことでは無い。使い続けると怠くなる、これだけだ。
要するに、スキルはまぁまぁ強いけど、代償がデカいって事だ。首切られても、元状態に戻すなんて、マジモンの化け物だろ。
(全く……異世界での二回目の人生はもう終わりか)
目を瞑り、斬られる覚悟は決まった。あとはメイドの振るう刃が、痛く無いように一太刀で切ってくれることを願うだけだ。
そう思ってた時、
「――ボクの可愛い葛っちゃんに、手を出すなっ‼︎」
声と共に木々の間から、小さな影が飛び出し葛葉とメイドの間に大剣を振りかざす。砂煙が舞いまたしても視界が悪くなる。
「大丈夫かい!?」
飛び出してきた小さな影――緋月は地面に刺さった大剣を引き抜き、尻餅ついた葛葉に手を差し伸べる。
いつものような緋月の影はなく、頼りになる緋月がそこには居た。
葛葉は緋月の手を取り立ち上がる。
「……遅いですよ」
「ふふーん、ヒーローは遅れてやってくるってね!」
読んで頂き、ありがとうございます!
祝‼︎ 毎日投稿二ヶ月行きました!
でもまだまだこれからも投稿していくので! これからも読んで頂けると幸いですっ!