十六話 戦闘開始
ノーカンです!
―――それからしばらくして、律がクロエ達を引き連れて戻ってきた。
戦闘メイド達は皆武装して、非戦闘メイドはクロエの部屋に匿ったらしく、今は被害を気にせずに戦えるとのことだった。
「……そんな、お父様が……⁉︎」
クロエは父親の凶行に口を覆った。
誰も、実の父が国を滅ぼしかねないことをやっていると聞いたら、同じ反応になるだろう。
その衝撃的な事実にクロエは固まってしまった。護衛のアキ達がクロエを優しく宥めるが、クロエはただ茫然とするだけだった。
「とにもかくにも、今はアイシュリングを止めるべきだよ。戦うしか、ないんだよ」
茫然とするクロエに緋月は改めて口にした。
非情なのは理解している、葛葉とそう年の離れていない少女に言っていいことではない。
(ボクも腐っちゃったなぁ〜、大義のため……。可愛い子に辛い思いさせちゃうなんて……)
クロエの表情を見て緋月は胸が張り裂けそうな上断腸の思いも感じていた。
「じゃあ作戦の概要を話すね」
それでも緋月は戦うことを選択する。それが、この世界での生き方だからだ。
人道、正義、大義。これらを怠って仕舞えば、この世界では人として居られないからだった―――。
―――それぞれが配置につき、物陰から剣聖を含めアイシュリングを見て居た。
戦いは一瞬で決めなくてはならない。
「天輝く不穏の一等星、眩き無限の綺羅星。与えよう、我が天地開闢の音を聞け、其は絶望の音色だろう」
詠唱が終わった瞬間、周りの空気が何倍にも重くなった錯覚がその場にいる全員に訪れた。
それはクローンの剣聖達、アイシュリング達も例外ではなかった。
「『天地開闢の星屑―――ッ‼︎』」
突如鬼丸の纏う雰囲気が一変し、空からは無数の小惑星―――数メートルから数十メートルほどの小惑星―――が降り注いできた。
鬼丸が自身と剣聖達との距離を殺し金棒を振りかぶって、振り下ろしたその時だった。
無数の綺羅星が剣聖達に降り注ぐ、それら全ては綺麗に剣聖に直撃していった。
だが大半のは真っ二つに切られたり、細切れにされたりと攻撃が相殺されてしまう。
そんな光景を目の当たりにしても、緋月達は作戦通りに動き出した。一体五人で襲い掛かった。
緋月と鬼丸は一対一で戦えるため一人で戦うが。
鬼丸の攻撃で倒せた剣聖は四体、残り六体。緋月と鬼丸のおかげで残りは四体。
過剰な戦力で緋月達は剣聖に奇襲を掛けた。
すぐさまその場は戦場と化した。
量で掛かった緋月側だったが、奇襲を受けたはずの剣聖達は最初のうちは劣勢だったが、今やどんどん巻き返していっていた。
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