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十三話 銃床で殴られたら重傷

 ―――ガンッガンッと何度叩いても結界は傷一つ付かなかった。銃を試そうと何度も思ったが跳弾の可能性があり無闇に撃つことは不可能だった。

 一般メイドの二人では可能性すら無く、今動けるのは葛葉のみなのだ。


「な、何が起きてるんでしょうか……?」

「ずっとこのままじゃ餓死しちゃうよ〜!」

「……」


 葛葉の隣でリーニヤやキリヤの二人は好き好きに物を言う。主にリーニヤだが。

 悪戦苦闘しても敗れる気配がない結界に葛葉が諦め掛けた時だった。ヒュー、という音が何処からか聞こえてくるのだった。

 葛葉が周りを見回したその時、空から放物線を描き何かが飛来してきたのだった。

 それは葛葉のすぐ隣を通って地面へと刺さった。


「……ぁ」

「ぇ……」


 葛葉とリーニヤの視線がその飛来物へ向かった。

 飛来物は地面に刺さっていた。()()()()()()()


「―――ッ‼︎」


 葛葉はすぐさま武器を構えた。


「……う、そ」


 だがリーニヤは力無い声と、立ち上がることすらできない足で倒れた人物にズリ寄った。

 既に大量の鮮血が芝生を真っ赤に染め上げてピクピクと痙攣している倒れた人物―――キリヤだった。


「き、キリ……ヤ……?」


 眼球を貫き脳を貫き後頭部の頭蓋までも貫いた槍は、切先を地面に埋めていた。

 ズーっと重力によってキリヤの頭は槍の持ち手を貫通したまま下がっていた。

 即死。それは誰がどう見てもそうだった。


「―――ひゃははは‼︎ 兄者さすがっス‼︎ 百点、いや二百てんっスヨ‼︎」


 ゾロゾロと槍が飛んできた方向から柄の悪い男達の集団が歩いてきていた。それぞれ武器を持って。


「……あなた達は‼︎」

「おいおい、あれが英雄なのか⁉︎ こりゃ傑作だ!」

「まだまだガキじゃねぇか‼︎」


 怒りに打ち震える葛葉を無視し、馬鹿笑いしながら男達の集団は立ち止まった。


「俺でも殺せそうだなぁ?」


 舌なめずりと共に自身の武器(えもの)に手を置いた時だった。その男の方を強引に強くグイッと寄せて、それを阻止した、また新しい男。


「―――やめろ。生捕りだ」

「……ぁ? チッ」


 気性の荒そうな男ですら舌打ちだけで退かせたその男に葛葉は最大限警戒した。


「手荒な真似はしたくない、大人しく着いて来い」

「ふざけるな! お前達の目的は何だ‼︎」


 葛葉は珍しく感情的になって男達へ怒鳴るようにそんな問いを投げ付けた。


「問答をするために来たわけではない。素直に来れないのなら、ここで」


 スッと男は肩に掛けてあった銃を構えた。

 緊張が走る。葛葉は太腿のホルスターに手を伸ばそうとするが、男の鋭い視線にそれは遮られてしまう。

 そんな時だった、キリヤの亡骸を抱いていたリーニヤが顔を上げて男達を見たのだ。


「……やる」


  ボソッとリーニヤは何か呟いた。


「……してやる!」


 立ち上がり般若の如し顔で両拳を握り締め走り出そうとしていた。


「リーニヤ‼︎ 駄目っ‼︎」


 走り出したリーニヤに銃口が向けられ警告もなしに、男はトリガーを引き絞った。

 次の瞬間、葛葉がリーニヤを突き飛ばし数発の銃弾が肩へ当たってしまった。

 二人して倒れるが葛葉は痛む肩を抑えながら抵抗しようと顔を上げた次の瞬間だった。

 ドゴッと首の後ろを銃床で強く叩かれ葛葉の意識が朦朧とし始めたのだ。


「うっ⁉︎」


 朦朧とする意識の中聞こえたその声と蹴る音。


「おい!」


 どうやら男達がリーニヤの腹部を蹴ったらしかった。その威力にリーニヤは嘔吐し、涙を流した。

 そして葛葉同様リーニヤも銃床で強く叩かれ、意識を手放すのだった―――。

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