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十二話 掟は破るためにある……ってばっちゃが言ってら

 珍しく緋月は余裕が無さそうに叫んだ。

 悪魔召喚。それは禁忌の呪法。

 王都、王城に存在する不動図書館『永久(とこしえ)』に封印され秘匿された本達がその最たる例で。その中でも悪魔は、特A級の警備がなされているのだ。

 なぜなら、悪魔一匹で国が滅んでしまうからだ。といってもそれは悪魔貴族などの位の高い悪魔だ。


「魂を捧げ願いは叶うだろう。私は全てを捨てて、全てを得る」

「チッ。あの詠唱じゃ」


 最上位悪魔が召喚される可能性が高い。


「葉加瀬ッ‼︎ 手荒で行くよ‼︎」


 繋げていた通話魔法をそう言い残して切り、緋月はスカートの中から大剣を取り出した。そして切り掛かった。

 ガキィィン‼︎ 緋月の大剣は突如影から飛び出して来た何者かに受け流されてしまった。


「っ、剣聖⁉︎」


 それはここに居ていいはずがない、『剣聖』と呼ばれる少女だった。

 白髪の髪を揺らし生気のない目で緋月のことを真っ直ぐと見て来ていた。


「どうしてここ……いや、クローン‼︎」


 ここに剣聖が居ることの合点が行き、緋月が剣聖へと切り掛かりに行ったが、またしても剣聖は緋月の攻撃を受け流した。


「まぁ〜ったく、やってくれんじゃん‼︎? ヒントが何一つなかったのに、次々とこんなの出して来ちゃってさぁ‼︎」


 緋月は大剣をナイフのように扱い剣聖との間合いを気にしながら何度も何度も切り掛かった。

 剣戟の音が部屋の中を支配するが、その中でも悪魔召喚の儀式は進められていた。

 緋月の焦燥が高まっていたそんな時だった、ドンッと緋月の大剣が剣聖にクリーンヒットしたのだ。だが剣聖は剣で直撃を避けていた。


「ボクがそんな程度で! 止まると思ってんのかいッ‼︎ てね⭐︎」


 大剣の柄を両手で持ち思いっきり剣聖の華奢な身体を吹き飛ばした。ドガンッそんな音共に剣聖の身体は壁に深く減り込んだのだった。


「っ、はぁ〜っ! あとは……」


 悪魔召喚をしているアイシュリングのみだと歩き出したその時だった。

 壁にめり込んだはずの剣聖が緋月に切り掛かったのだ。


「っ‼︎」


 咄嗟に防御し間一髪のところで剣聖の剣を弾いた。

 剣聖はそのままアイシュリングを守るように緋月の前に立った。


「行かせないって感じ?」


 剣聖は緋月のその言葉にキッと鋭い視線を向けて答えた。ふと剣聖の背後を見た緋月は目を見張った。

 ゾロゾロと出てくる人影。

 それは全て、


「剣聖……⁉︎」


 一糸違わぬ全くの同一人物が十人も出て来たのだ。


「……一体、どんだけタブーを起こせば気が済むのぉ〜?」


 この世界でもクローンは倫理の問題で禁止されている。技術は持っていても人道がそれを防いでいたが、やはり狂人にはルールは通用しないらしい。

 本物の剣聖を知っている身からすれば、今目の前にいるのは身体のみ完璧にコピーされた剣聖としか思えないのだ。そして、本物を知っているからこそ、


「ボクは【戦帝(鏖殺者)】になれる―――ッ‼︎」


 キッと緋月はいつ振りかの本気(マジ)モードに入った。その時だった、


「緋月さんっ‼︎ 外が―――って、どういう状況なんですか⁉︎」


 大慌ての律がやって来たのだ。そして緋月に何かを伝えようとして、緋月が相対している存在達に気が付いたらしい。


「見ての通り! それでどしたの‼︎」


 説明なんかしてる暇はないが、超簡単に説明をして緋月はこちらの事情お構いなしの剣聖のクローン達と戦い始めた。

 何人もの剣聖が連携して攻撃してくるがそれらを華麗に避け受け流し、そして一体一体処理していく。

 余裕綽々の緋月は律に訊き返したのだった。


「葛葉さんが‼︎」

「っ‼︎」


 それは緋月の心を乱す最大の弱点。


「―――っ‼︎ まずッ!」


 動揺が顕になり大きな隙が生まれた。

 その隙を剣聖のクローンは逃さない。緋月の身体に剣聖の刃は無慈悲に迫り、そのまま剣は緋月の身体を貫くのだった―――。

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