八話 規制音は銃撃のように
「他のこと」
「護衛依頼を完遂すること、でしょ?」
現在進行形で取り組んでいる護衛依頼。
確かにと葛葉はひとまず目の前の問題を片付けるべきかと納得した。護衛依頼を始めてから一週間経つが、特に目立った変化はないし、怪しいことも起きていない。
平和な日々が続いている。
「ささ、もう遅い時間だし寝る準備をしとかないとだよ?」
「……はい。そうですね、明日もメイドの仕事がありますもんね」
「板についてきたねぇメイドが」
葛葉の仕草一つ一つがメイドと化してきていて、緋月はフフッと小さく笑った。
「そんな緋月さんはちゃんとメイドしてるんですか?」
葛葉の隣で笑みを浮かべていた緋月が、虚を突かれ「うぇっ?」と変な声を出してしまった。
メイドしているのかという葛葉の問いに緋月は腕を組んでうーんと悩み始めた。
「わがんない」
「……よく一言笑えましたね」
「いやいや、それは葛っちゃんが可愛くて微笑ましかったからさ!」
「なんだかもう緋月さんにそう言われても何も思わなくなりましたよ」
緋月が葛葉にお世辞を言うのはもう定番と化して来ているので、葛葉は本当に何も思わなくなってしまったのだ。その言葉に葛葉はえ? っと口にすると、
「じゃあ、○○○とか○○○を○○○○したいとか言っても、|○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○《ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ》………こんな感じに言っても何も思わないの?」
「流石に引きますよ?」
放送禁止用語というか口にしただけでも警察がすっ飛んできそうなことを平気な顔でつらつらと並べる緋月に、葛葉は流石に危機感を覚えた。
「いつかプレイしたいね!」
「もしかして私に殺意向けてます?」
言える範囲としてはダルマ拘束絶頂地獄プレイ等の中々にハードなR18系大人遊びをしようと、緋月は澱みない満面の笑みで、一緒にしようと持ちかけて来たのだ。
危機感どころか命の危険を感じた葛葉は、『創造』で思わずナイフを造ってしまったことに驚くのだった―――。
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