表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
660/751

七話 考えたから

すみません!!

遅れてしまいました!

「―――こんな所に居たんだね」

「緋月さん……」


 夜天を眺めていた葛葉の下にやってきた緋月が声を掛けてきた。


「みんな心配してたよ」

「……怒られちゃいますかね?」


 みんな心配、の言葉にピクッと反応した葛葉は恐る恐る緋月に尋ねると、緋月は微笑みながら答えた。


「うんや。クロエが今日は休ませるって言ってたから、多分怒られないし、内容が内容だろう?」


 どうやら葛葉とクロエの会話内容に察しているのか、緋月は見透かしたように言ってきたのだ。


「君なら、考え込むだろうって思ったよ」

「凄いですね、緋月さん。……私のことをよく理解してますね」


 なんでもお見通しな緋月に葛葉がそう言うと、よほど嬉しかったのか破顔すると、すぐにドヤッと表情を変えた。

 そして真っ平らな胸を突き出し相変わらずドヤ顔のまんま、自慢げに語り始めた。


「ふふんっ。当然さ! ボクは葛っちゃんの全てを理解しているとも! そうっ、葛っちゃんの今日のパンツが白色ってことも!」


 前半は特に問題なかったのに、後半で一気に台無しになった緋月に葛葉は顔を向けた。

 最後がいつも余計なんだよなぁ〜、と思いながら緋月から目線を外すのだった。


「……それで? あの子の話を聞いて、こんだけ考える時間があったんだ。答えは出たのかな?」


 すると雰囲気をがらりと一変させた緋月が葛葉に問い掛けてきた。

 緋月の珍しい師匠タイムだ。


「……何も、出ませんでした」

「ん、そう。んまぁ、【英雄】だろうと誰だろうと、クロエの話は個人の問題だからね」


 葛葉の声のトーンから落ち込んでいるとそう思ったのか緋月はフォローを入れるが、葛葉は、


「緋月さん。【星を眺める者(スターゲイザー)】を救いたい(倒したい)です」

「……」


 緋月に葛葉の真意は通じはしない。そこまで理解してたらそれはただのエスパーだからだ。

 だから葛葉の上っ面だけの言葉だけを緋月は受け取った。

 魔王討伐に次ぐ、人類()いては世界に課された目標である邪竜討伐。七匹の邪竜の中でも群を抜いて強力な個体【星を眺める者(スターゲイザー)】。

 前英雄を殺した世界の敵。


「を倒したい……か。今の君じゃ、いや、今の二倍、三倍強くなったところで君には無理だよ」

「それでもです。クロエ様……さんの、悲劇の元は邪竜の所為です。だから、次の悲劇の犠牲者を出さないために、倒したいんです‼︎」


 緋月の顔は暗い。誰よりも【星を眺める者(スターゲイザー)】の強さを知っている緋月だからこそ、葛葉を止めるのだ。


「……邪竜は人の業そのもの」

「?」

「倒すにしてもまだ早いよ。今の君じゃ瞬殺されるし、封印はまだまだ保つはずだ。だから今君に出来ることはないよ。……そ、だからね! 他のことをするんだよっ!」


 諭すように葛葉にそう言うと緋月は顔を上げて、いつも通りの笑顔で葛葉にくっ着き始めた。

読んで頂きありがとうございます!!

面白いと思って頂けましたら、ブックマークと評価をお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ