十八話 準備はいいか? 俺は出来てる
―――それから数時間後、葛葉は猛烈な眠気に欠伸をし姿勢をほんの少しだけ崩してしまった。
と同時にツンと右から腕を肘で突かれてしまった。
そして次の瞬間、目の前のクロエの部屋の扉が開いたのだ。中からは欠伸をしながら乱れた髪のクロエが出てきた。
「おようございますわ……」
「クロエ様、おはようございます」
シオンが慣れた手つきでクロエの手を取り洗面所へ着いて行く。眠気眼を擦りトボトボとクロエは歩くため、シオンは慎重に慎重に進んでいった。
シオンがクロエを洗面所に連れて行くと、葛葉達はクロエの部屋の中に入っていった。それはベッドのシーツを変えるためだ。
「葛っちーは〜、まずはお手本を見てもらおかー」
三人がベッドのシーツを剥がすのを見ていた葛葉にアヤカはそう指示を出した。
まだ二日目な上、昨日は朝の作業はしてなかったからだ。
「よ〜っし、じゃあ二手に分かれよかー。葛っちーは私とシーツを選択に出しに行こー。んで、ひーちゃんとアッキーは朝食準備ー」
「了解です!」
意外にも指示を出してテキパキと仕事をこなしていくアヤカに、葛葉はポカーンと呆けた顔でアヤカの横顔を見やった。
するとその視線に気が付いたアヤカがニヒッと笑い悪戯っ子のような表情を浮かべた。
「何々、葛っチーもしかして私に惚れちった?」
その言葉と顔に呆けていた葛葉は我に返って冷静に、
「そんなことないですよ?」
「あら、冷たい反応。もっと赤面してキョドリながら否定して欲しかったな〜」
「それはただの変な人ですよ」
葛葉の反応にちぇ〜っと残念そうにしてたアヤカが、して欲しかった反応を口にするが、葛葉は「いやいやw」と苦笑しつつツッコミを入れた。
「そうかなー?」
二人はそう仲良く話しながらクロエの部屋を後にした。
その後ろ姿を見ていたアキとヒバナ、ヒバナが早速朝食の準備をしようとアキに声をかけようとして、アキが頭を抱え俯いていたことに気が付いた。
ヒバナは「えぇ、この人何してるんだろー」という顔でアキのことを揺さぶった。
するとアキは震える手で、震える声で答えるのだった。
「い、いえ、な、なんだかアヤカちゃんと葛葉ちゃんが仲良くしてるの見てたら『うぐっ』て胸が抉られた感じがしました!」
混乱状態のアキが頭にヒヨコを浮かべながらも、どうにか言語化してくれた。
しかし、それを聞いたヒバナは少しの沈黙を経て、
(え、脳破壊されてる?)
心の中でそう思った。
(え〜……昨日仲良くなったばかりの英雄ちゃんとそこまで親密な関係になるぅ? 普通。脳破壊ってそんな簡単に起こるっけ……?)
N○R画像やレ○プ画像を見た訳ではないのに、脳破壊されてるアキに、ヒバナの心の中でのツッコミは止まることを知らなかった。
色々な思考を経た結果、一つの結論に至った。
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