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十六話 無表情っ娘の微笑みは国宝級

 あの無表情で声に抑揚がないシオンの考えを理解するには、相当な付き合いがないと不可能だろう。というのが葛葉の結論だった。


「私、仲良く出来るかな〜……」


 一抹の不安に葛葉は思わず口から不安が漏れてしまった。今のところは慣れる可能性は極めて低い。

 ほぼ初対面の時に葛葉が悪いとは言え、ナイフで脅されて居るのだから。仲良く慣れるビジョンが浮かばないのだ。


「……十年も一緒なら、すぐに仲良く成れるのに、アキは成れてないんだよね」

「そうです。どうしても仲良くしようとすると、遠ざかって行ってしまうのです!」


 十年一緒に居たとしても仲良くは成れず、ただ一方的に声を掛けるだけの日々。迷惑がられて居るのでは? と葛葉はふと思ってしまった。


「ま、とりあえすは仕事しよっか」

「はい! そうですね!」


 クロエの部屋の前に着いた二人は気を新たに、葛葉が扉を開いた。

 扉を開けすぐに二人は固まった。


『……え』


 二人は困惑して居た。それはなぜか、それは紅茶の香りを楽しみティーブレイクをするクロエの横で、微笑みながらクロエの寝巻を用意するシオンが居たからだ。


「・・・―――っ⁉︎」

「あら」


 シオンが速攻で顔をそっぽに向け、クロエは葛葉達の存在に気が付き、シオンの顔を覗き込んだ。


「あらあら、可愛いですわよ〜?」

「っ。そ、そんなことは」


 クロエだけが見ることができるシオンの赤面顔。葛葉とアキは最初の微笑みのせいで一生固まったままになりそうだった。


「あれ〜どったの〜?」

「どうかしたんですか? お二人とも」


 扉のところで固まり、立ち止まって居る葛葉達の後ろから、遅れて戻ってきたアヤカ達が声を掛けてきた。


「……こ、国宝を見ました」


 アキが絞り出すように声を出して思いを口にした。

 律達のようなS級美少女達に囲まれて居る葛葉も、先ほどの微笑みはとても可愛らしく美しく目に映ったのだ。


「ま、またいつか見られますわよ」

「そうですね」


 クロエの言葉に葛葉は頷いた。シオンがまた微笑むことが出来るようにしたいと、思って居るのだから。


「……じゅ、需要ありませんよ」


 まだ動揺が抜け切らないシオンがそう言うが、クロエが「需要しかありませんわよ?」と言い、葛葉も納得し首を縦にゆっくりと振った。


「く、クロエ様っ。入浴しましょう」

「まだいいですわ〜」

「いえ、しましょう!」

「……必死ですわね〜」

「クロエ様っ!」


 必死なシオンにニンマリとクロエの顔がご満悦になり、その分シオンの必死さは募っていった。

 そんな光景を見て居た葛葉達は、


「シオンさんがあんな顔を……」

「新鮮だねぃ〜」

「可愛いです!」

「写真撮りたかった」


 それぞれ好き勝手言う葛葉達の足下にナイフが結構なスピードでぶっ刺さった。

 葛葉達がナイフから視線を上げると怖い顔をしたシオンがジーッと見てきていた。


「ツンデレだ」

「ツンデレですね」

「ツンデレだね〜」

「え、あ、え?」


 そんなシオンをツンデレ認定しニヤニヤするアキ以外の三人。アキはどうやらツンデレ知らないようだった。

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