十一話 呼ばれて飛んできて葛葉ちゃ〜ん♡
なんとも言えぬ顔で葛葉は口をモゴモゴさせて鬼丸をどう送り届けようかと思っていると、
「へい、葛葉よ。わしは彼奴を誘き出す良い方法を知っとるぞ」
「……良い方法って?」
元々の原因は鬼丸なんだけどね、と喉まで出掛かった葛葉だったがそれを抑えて、鬼丸のいい方法とやらを尋ねた。
「うぬが……『緋月さん、今来てくれたらご褒美にエロメイドがエッチなご奉仕してあげます』と言えば飛んでくるじゃろうて」
「絶対に言わないし、よく言ったね鬼丸も!」
まさかの鬼丸からの予想だにもしなかった言葉を言われ、葛葉は驚きつつもツッコミを入れるのだった。
「いやいや、これが効果的じゃろうて」
「なにか大事な物を失う気がするのは私だけ?」
「何を言うとる、いざとなった時はわしも混ざってやるのじゃ」
ホッと一安心した葛葉だったが鬼丸の唐突の裏切り発言に、は? と口を開けて固まってしまった。
「安心せい、失うのはわしもじゃからな!」
「何する気⁉︎」
鬼丸は爽やかな表情を浮かべるが吐く言葉はどれもそれには似つかわしくない。グッジョブと突きつけてるくせ手を叩きたくなるが、葛葉はそれをグッと堪えてため息を吐いた。
「……でも、それしか方法ないかぁ」
他にも方法はあるにはあるが、鬼丸の提案したやつの方が圧倒的に手っ取り早いのだ。
すぅ、と葛葉は大きく長く息を吸って、
「緋月さんっ! 今来てくれたらご褒美に、エロメイドがエッチなご奉仕をしてあげますよ!」
途中途中声が小さくなったりしたが葛葉は見事に言い切った。
が肝心なところの声が小さいので緋月に聞こえるわけがなく、
「―――へぇい! お呼びかな? くずっちゃぁん‼︎」
来た。
「あら、随分と遅かったですのね」
「す、すみません……。思いがけないトラブルがあったので……」
乱れた髪を片手で整えながら部屋に入ってきた葛葉。その頬が少し赤くなっており、たははと苦笑する葛葉。
そんな葛葉を見て、クロエはムラっときた自分に驚き胸に手を当て、首を傾げたのだった。
「クロエ様、後は私達がやりますのでお部屋でお休み下さい!」
寝具の隣の椅子に腰掛けていたクロエにそう声を掛けたのはアキだった。
「えぇ、任せましたわ」
アキの言葉にクロエは頷いてから席を立ち、アキや葛葉、アヤカに後のことを任して部屋を後にするのだった。
葛葉は皆がお辞儀をしているのを見て、急いで自分もお辞儀をして見送った。ガチャンと部屋の扉が閉まり皆んなが頭を上げる。
葛葉は厨房から貰ってきた果物や飲み物が乗せられているお盆を静かに寝具の隣の机に置いた。
読んで頂きありがとうございます!!
緋月は葛葉が呼べば、たとえ地球の裏側にいても「葛っちゃんに呼ばれた気がする!」といって葛葉の下に駆けつけます、カッコいいですね。
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