八話 弾は装填無しで無限に打てちゃいます、最強ですね
「……っ。命尽きる最後まで、この身懸ける! 『命懸け―――ッ!』」
下唇を噛み締め、ヒバナは詠唱を唱えた。
「―――っ、来た! 私も本気っ、出してくよ〜!」
ヒバナの全身を淡い光が包み、目に見えて傷が癒えていった。それを見たアヤカがホッと一安心すると、ゲーム機を弄った後にボタンを押した。
するとまたもや光がアヤカの身体を包み、すぐに霧散した。光が消えると銃を二丁持ちする軍服姿のアヤカが居た。
「制限解除!」
二丁の銃をガンスピンさせながら声を大にしてそう叫ぶとアヤカは銃口をヒバナへ向けた。そして躊躇なく引き金を引き切ったのだ。
するとその二丁の銃から、どう考えてもおかしいだろと思えるほどの、大口径の弾丸が飛んでいったのだ。
その弾丸は特殊結界を抜け、そのまま屋敷の壁へ当たった。当たった箇所は半径10㎝ほどの穴が空いた。
「わ!」
弾丸を目に負えない速度で避けたヒバナがアヤカの背後に回って剣を振るったが、既のところでアヤカはそれを避け、引き金を引いた。
大砲のような音かなり大口径が飛ぶ。だがヒバナはそれを見切り、最小限の動きでそれらを避け、攻撃を仕掛ける。
二人の入り乱れの戦血が始まった。アヤカの撃った弾丸は全て見切られ避けられる。
「っ」
「く」
ヒバナの攻撃が空振り地面にぶち当たる。すると地面が断割し破片が飛び上がり砂埃が発生する。
視界不良の中でも二人は戦い続ける。もはや特訓というには次元が違う光景に、葛葉は言葉を失っていた。
「これが私の専属メイドですわ!」
えっへん! と腰に手を置いてドヤ顔でそう言うクロエに、葛葉は苦笑を浮かべた。
なぜなら、頼るべきは自分自身という考えを持っているクロエが、アキ達のような実力者に守られるだけとは考えられないからだ。
そう考えると葛葉とのあの戦いは。
(手加減されてた……?)
と疑ってしまう。
(……にしてもこれで冒険者になってないって)
憶測は置いておくことにし、葛葉は目の前の現実に息を漏らした。
「冒険者ならLv.4か5かな。……化け物だよもう」
と実際地形を変えるほどの攻撃をしてることに、やっぱ化け物だ、と再びつぶやいた。
「ヒバナさんの……私の魔法よりも威力高い気が……」
葛葉の『紅焔鎧』を遥かに凌駕してそうなヒバナの魔法に「うぇ」と何とも言えぬ顔をした。
「アヤカさんのも……あれSAAなのに」
先ほどから銃口から飛び出すのが対物ライフル以上なのだ。
「少林サッカー並みに意味わかんないんだけど」
まさしく異常だった。
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