五話 瞬き厳禁?
「今のは私のスキルですよ、あとスカート、もうそろそろ下ろしてくれませんか……?」
アキの問いに答えた葛葉は、足元にしゃがんでスカートを捲っていたアヤカに、頬を赤らめながら止めるようにも言った。
緋月のように自分の欲求のためにやっているわけではないと分かってはいるが、いつもの癖で、唐突に捲られると蹴りそうになってしまうのだ。
「……好きなんですか? グロック」
「ん〜私は〜大艦巨砲主義とトリガーハッピーだからさーあ?」
「それあんま自分では言わないんですけど」
とりあえずやばい思想持ちの人なんだなと葛葉がそう認識し、グロックに手を添えた。トリガーハッピーされないように。
「あぁ安心してよ〜。グロックの口径じゃ全然私好みじゃないからね〜、それに装弾数も少ないしさ〜」
「安心できないですけど⁉︎」
一番危ない人種だ! と葛葉がアキの後ろに隠れて、今後この人の前で銃はあんまり使わない方がいいかと決意した。
先ほどから展開される二人の会話について行けずに、疎外感を感じてしゅんとするアキが、自分の背中に隠れる葛葉に説明をば、とそう求める目を向けるのだった。
午後、葛葉達は昼食から戻って来たクロエヴァと共に決闘場へと向かった。
皆各々使い慣れている武器を手に持っていた。
「そうですわね最初は……アキとシオンですわよ」
クロエヴァが二人の名前を呼ぶと、シオンはナイフを手に、アキは長剣を手に。
二人は闘技場の中心に向かって歩いていく。
「よく見ていなさい。私を守ると言うことがどれほど大変かと言うことが」
相対しているシオンとアキ。葛葉が見る準備を整えて固唾を飲み込んだ―――。
―――アキは毎度毎度、シオンと特訓をするために相対すると思うことがあった。
(怖い……)
目の前の友が、今はただの狩る側となっているのだ。
「て、手加減、よろしくね」
「……」
駄目元でアキは手加減を頼むがシオンは反応すらしない。勝負を一瞬で決めるために、ものすごい集中力でアキのことすら視界に入っていないのだ。
そうしていると、ヒバナの声で、
「よーい、始めっ‼︎」
戦闘訓練の開始の合図がなされた。それと同時だった、目の前からシオンが消えたのだ、
アキがキョロキョロとしていると、ナイフを構えながら天より降りてくる一つの影。シオンだ。
シオンが跳躍し数秒の対空時間を経て、天より降り立って来たのだ。
アキが咄嗟に着地の硬直を狙い長剣を振り向き様に横薙ぎに一閃した。
「……っ」
だがシオンの姿はまたしてもそこにはなかった。
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