四話 じゃあ挿入ね(9mm口径をマガジンに)
―――自己紹介が終わると早速、葛葉にはメイドとしての修行が待っていた。
紅茶の正しい淹れ方や、クロエヴァの後ろを歩く時の歩幅や速度、目線は一定でキョロキョロはしないなど。身だしなみを常に整え、メイド服には皺がつかないように心掛けられた。
そんなこんなしていると、時間は既にお昼時となっていた。
「も、もう無理ぽよ、依頼キャンセルしたい……」
弱音を吐き机に突っ伏する葛葉をアキが優しく背中を摩ってくれる。アヤカは相変わらずゲームで、ヒバナはクロエヴァの昼食の準備をしに行っており、シオンは窓ガラス越しに空を眺めていた。
「頑張って下さい! 最初が踏ん張りどころですよ!」
励ましてくれるアキのみがこの場では唯一優しい。
「がんば〜」
と形だけは優しくしているが、ゲーム機を弄ることに夢中で目すら向けないアヤカ。
葛葉は小さくため息を吐いて伸びをした。
メイドの仕事はまだまだあり、今まで葛葉が熟していた仕事は午前の分で、次からは午後の仕事になるのだ。
「あの〜午後って何するんですか……?」
午後に仕事があるとしか聞いていなかった葛葉は、耳や尻尾をフリフリと揺らすアキに尋ねるのだった。
アキがその葛葉の問いに反応し、より一層嬉しそうに尻尾を振り、葛葉の問いに答えた。
「簡単ですよ! 特訓です!」
「……へ?」
アキの予想外の言葉に葛葉は気の抜けたような声を漏らしてしまった。
「特訓……?」
「はい!」
眩しいほどの笑顔に葛葉が顔を腕で覆うと同時、今まで一言も発していなかったしシオンが口を開いたのだ。
「私達はクロエ様を護るメイド。日々鍛錬して、いつでもクロエ様を護るのが私たちの存在意義」
「そ、そこまで……⁉︎」
シオンの言葉に葛葉は驚きを露わにした。
葛葉は「特訓……? 特訓かぁ……」と二日連続で行われる特訓にとほほと口にして、葛葉は太ももの何もないホルスターに手を添え、『創造』を使った。
すると一瞬で左脚のホルスターにナイフが収まり、右側のホルスターには拳銃が収まった。
「わぁ〜凄いです凄いです! 今のなんなんですか⁉︎」
葛葉が午後のためにスキルを使ったことにアキが驚き興奮気味に詰め寄ってきた。
押しにはあんまり強くない葛葉が「えっと〜」と困惑していると、
「―――本当に今のはどうやったの〜? それに……これグロック26だね? ちょっとあっちのお部屋でお話ししなぁい?」
葛葉の側でしゃがみ込んではスカートを捲ってホルスターに収められている銃をマジマジと見て、アヤカはほほうと顎を摩り、ナンパ師みたいな口調で葛葉の手を取るのだった。
読んで頂きありがとうございます!!
ちなみに葛葉のパンツは今回は白です!
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