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十六話 突入?

 屋敷から光が完全に掻き消え、辺り一体が静寂に包まれた深夜。

 月明かりに照らされる怪しげな影が屋敷の屋根の上を移動していた。

 素早い動いで移動し目的地に着いたのか立ち止まってロープを懐から取り出した。そして中庭の方へロープを投げた。

 近くにある出っ張りか何かにロープを巻きつけ、強度を確認し、ロープを手に持って中庭へダイブした。

 それは懸垂下降を彷彿とさせ、素早い動きで屋根から降りていく。四階から三階に階層が変わり、怪しげな影はタイミングを測り、壁を蹴って勢いをつけてとある部屋の窓ガラスへ突っ込んだ。

 ガラスの割れる音と床に着地する音が同時に暗い部屋の中に響いた。


「……」


 怪しげな影はベッドに横たわる二人へ向き直り近寄っていく。その時だった、怪しげな影の足下に転がって来た何か。

 影が床に目を向けると同時に、パッと光が瞬くと同時に耳を劈くかのような音がやって来た。

 そして次の瞬間、怪しげな影の背後で何者かが動いたのだ。気配を察知し、自覚聴覚を失った影だが咄嗟に手に持っていた剣を背後へと向けた。

 それと同時にパスッとパスッと、またしても光とうるさい程度の音がやってくると、後ろの壁に風穴を開けるのだった。


「ちょ―――」


 影が思わず手を挙げ降参しようとするが、何者かは影の手を絡め取りそのまま流れるように首に腕を回し、こめかみに円筒状の何かを押し当てた。

 そして耳元で低い声で、


「何者?」


 影にそう問うてきたのだ。


「っ、はぁ。……緊張を解しなさい、私は敵ではないですわ」

「ッ⁉︎ クロエヴァさ、様⁉︎」


 何者か―――葛葉は特徴的な口調と声に、怪しげな影の正体がクロエヴァなことに声を上げて驚いた。


「な、なんでこんなことを……?」


 すぐにバッと首から手を離し、こめかみに向けていた銃口も外して、葛葉は割れた窓ガラス等を見た。


「訓練のようなものですわ。もし、今の私がしたように実際に襲撃された場合、どう判断した解決するかの訓練ですわ」


 パンパンとクロエヴァは、自身の見るからに上品な服に付着したゴミを払いながら、今回のこの訓練の意図を葛葉へ話した。


「そ、そうですか……」


 葛葉は「だとしてもラペリンクって」とクロエヴァの行動力に苦笑した。


「……そう訓練ですのよ。……訓練、何を意味するかお分かりですの?」

「へ?」

 何か意味深なことを言い始めたクロエヴァに葛葉はキョトンと首を傾げた。

 何を意味するのか葛葉には全く見当がつかなかった。


「はぁ、仕方ありませんわね。……鬼代葛葉、あなたを私の専用護衛兼お世話給仕に任命いたしますわ!」

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