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十五話 就寝前の一時

「それでこうなるんだ」

「ん〜、何がじゃ〜?」


 バンザイをしている鬼丸にパジャマを着せ、葛葉はじゃんけんの結果が予想外だったことに呟いた。


「はい、歯磨いて来て」

「うぃ〜なのじゃ〜」


 欠伸をしながら洗面所に向かう鬼丸の背を見て、葛葉は毎度のことながら思う。あれが鬼族最強の鬼の姿なのか……と。

 鬼丸の相手をしていると、わんぱくでヤンチャな妹の世話をしている気分になるのだ。


「今日は色々あったな〜」


 ほっと一息吐いて葛葉は座っていたベッドに倒れるように寝転がった。仰向けで天井を眺める。


「疲れた〜」


 三日もの馬車での移動に、短い時間ではあったものの戦闘をしてと、身体が根を上げるのも納得の一日だった。


「葛葉〜、終わったのじゃ〜」

「え、早くない? ちゃんと磨いた?」

「はぁ、わしを何だと思っとるんじゃ? いくらわしとてそこまで子供扱いはされたくないぞ?」

「自覚があるのならきちんとして貰いたいんだけど」

「嫌じゃ」


 プイッと顔を背けた鬼丸に葛葉はため息を吐いた。

 まぁいいかと納得しベッドに横になり、ふぅ〜っと一日の疲れを吐き出した。その時だった、モゾモゾと葛葉の掛け布団の中に入ってくる何か。


「……ねぇ、ベッドあるでしょ」

「何を言うとる、うぬはわしの伴侶なのじゃぞ? ならば同じベッドで眠りに就くのは必然じゃろうが」


 葛葉は何言ってんだこいつの顔で鬼丸のことを見る。

 なら二手に分かれる必要なかったなと、後悔して葛葉は仰向けになった。


「ん〜暑い〜」

「【ちょうどいい冷気(パーフィクトチリィ)】」

「なにこれ」

「名の通りじゃ。ちょうどいい冷気を特定の相手に纏わせる魔法じゃよ」


 そんな痒い所に手が届くような魔法があることに、葛葉はなんとも言えぬ顔を浮かべた。


「この世界ってさ、意味分かんないよね……」

「なんじゃ突然に……」


 元の世界の常識が度々通じたり通じなかったり、都合の良過ぎる今みたいな魔法があったりと、断然意味不明だ。

 まだキャベツが飛んだり、秋刀魚が畑で獲れたり、難易度SSSやらの世界の方が分かりやすい。


「ん、勘違いするでないぞ? この魔法はわしが作らせた魔法じゃよ。使えるのは其奴とわしのみじゃ」

「だとしてもだけどね?」


 だが毎度毎度おんなじようなリアクションをするのも疲れるか、と葛葉は瞼を閉じた。


「もう寝るのか?」

「ん〜明日もやることいっぱいだし眠いし」

「じゃあわしも寝るのじゃ!」


 ギュッと葛葉の身体に抱き着い鬼丸は幸せそうな顔で眠りに着く。葛葉も開いた瞼を次第に閉じていき、数分した時にはもうすでに夢の中だった。

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