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十四話 日頃の行い、大丈夫ですか?

「それではお決まりしましたら、アキに申して下さい。本日はお風呂の次に、お夕飯、就寝になります。明日の朝からメイドとしての業務を覚えてもらいますので」


 事務的に淡々と答える猫耳メイドに葛葉や緋月は難儀な顔をしていた。

 感情がないのか表情も全く変わらず、真顔で話す猫耳メイドに他のみんなも同様だった。

 すると猫耳メイドは身体を180°回転させ、部屋を出て行ってしまった。


「・・・でー、どうするー?」


 猫耳メイドが出て行った後数秒して緋月が葛葉の顔を見てそう尋ねてきた。


「とりあえず、緋月さんと私は同室じゃないですもんね〜」

「ぁ……そでした」


 完全に忘れていたのか緋月がこの世の終わりみたいな顔をして、床に倒れ涙を流しながら思い出すのだった。

 すると鬼丸がざまぁと緋月の頭上で笑みを浮かべた。


「じゃあ緋月意外はじゃんけんで決める?」

『・・・?』


 葛葉の考えるのが面倒くせと言う顔と、唐突に突き出された手に律と五十鈴は困惑した。

 鬼丸はやる気満々で拳を突き出したが。


「……あれ、二人とも知らない感じ?」

「あの、その……『じゃんけん』って言うのですか……? 全く……」

「わ、私もです」


 五十鈴の説明に律は小さく手を上げて首を縦に振った。


「えぇ、ここにきてこの展開……?」


 葛葉は苦笑を浮かべて、そういやここ異世界だったと肩を落とすのだった。


 〜少女説明中……〜


「どう? 分かった?」

「は、はい!」

「完璧に」


 律が分かってるか怪しそうな顔で首肯し、五十鈴は自信満々で首肯した。

 ならいいかと葛葉がじゃんけんのポーズを取り、掛け声と共に手を動かした。


「じゃあ……最初はグー。じゃんけん! ―――ぽん!」


 葛葉がグーを出すと、五十鈴がパー、律がパー、鬼丸がグーと見事に2:2(にーにー)で分かれたのだ。


「とりあえずメンバーは決まったけど……緋月さんと一緒になりたい?」


 見事に分かれたはいいが問題は、今も床に倒れて泣いている緋月と相部屋になるかどうかだ。

 葛葉自身はどうでも良いので三人に尋ねると、鬼丸が分かりやすく不機嫌になり、五十鈴と律が渋い顔を浮かべた。


(流石〜)


 日頃の行いが悪過ぎて、天使のようにチョロ……甘い律でも顔を顰めるほどだった。


「じゃ、ここは代表者じゃんけんで」


 このままでは醜い押し付け合いになってしまうので、葛葉が先ほどと同様のやり方でと呟きながら手を出すが、


「ふっ……みんな出そうよ、流石に……可哀想じゃないけど、せめてね」


 誰一人として手を出しはしなかった。


「わ、涙が」


 ふと床に目を向けると、足元に水が迫っているのを確認して、葛葉が驚き水の出所を探すと、それはすぐ近くにあった。

 流していた涙の量を倍にして泣く緋月の姿が。


「……自業自得ですよー」

「うんっ……自重するね……うぅ……」


 緋月が泣きながらそう言うと葛葉は、あははと苦笑を浮かべるのだった。


「じゃ、行くよ!」


 葛葉が手を出して三人の顔をそれぞれと見ると、渋々三人も手を出して渋々じゃんけんをするのだった。

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