十八話 【英雄】は見捨てる事は出来ない。
本物の銃撃って見たいですねー。
そんなこんなしていると、遂に剣戟が鳴り響き、魔物の咆哮が大気を震わせる、戦場たどり着いた。
三階建てのビル並みの巨体の魔物と、二色が綺麗に分けられている頭髪の少女が、鬼と戦っていた。
「後ろに回るのだっ‼︎」
少女に言われた通り、魔物は鬼の後ろに回り、鬼を挟んだ。二人同時に攻撃を繰り出そうとし、空振りに終わる。
そして直ぐに空からは無数の、魔力塊が降り注ぐ。
「チッ! 魔法が使えないからって魔力の塊を作って、攻撃に転じさせるなんて……相手にとって不測なしなのだ――ッ!」
少女が笑みを浮かべ、鬼に手を翳す。すると、空間に歪みが生まれ丸い縁の形を成す。そこから現れるのは剣の切っ先だ。
同様の物が何十何百と現れ、鬼に向かって一斉に様々な剣が飛んでいく。そのスピードはかなり速く、まるで新幹線のようであり、擦りでも食らえば一溜りも無い。
飛来する剣を鬼は手で掴んだり、掌で受け止めたりと、傷をも顧みない防ぎ方をする。
出血しかなりの量の血が地面へと落ちてくる。
だが、鬼は顔を歪めるでもなく無表情に、無感情に、虚無に、ただ一つの感情だけが読み取れる。怒りだ。底無しの怒り、天地を裂くような怒りだった。
「……チェックなのだ」
剣の弾幕と魔力塊の弾幕が打つかり合い、相殺しあう。そんなのが数分続いた頃、少女が呟いた。
その呟きを聞いてい葛葉は、鬼に視線を向ける。次の瞬間、突如現れた魔物が鬼に拳を振り下ろしていた。
「――ッ‼︎」
そして――パン! パン! と乾いた音が響いた。と同時に、
「ぐぁああああああ⁉︎」
魔物の叫び声が大地を揺るがした。
葛葉が撃った二発の弾丸は、魔物の目を撃ち抜いており、鬼への攻撃も空振りに終わる。
異世界の魔物の皮膚や鱗が硬いと言っても、粘膜はどうすることもできない。だから狙った。
だが、勿論これは一か八かの賭けだった。あんな遠くにいる動く物体に、今までエアガン以外ロクに撃ったことのない葛葉だ。当たるとは思わなかった。
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なんか五十鈴ちゃん強くない? って思ってるんぷぁです。まぁ巫女の系譜という、バフが掛かってるので……。