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二十一話 来訪のメイド

 葛葉が一階を降りたと同時にガンガンとドアノッカーが鳴らされた。


「はいはーい」


 鳴らされたドアノッカーに適当に返事を返しつつ、サンダルを履き葛葉が玄関の扉を開けた。ガチャっと扉を開けた先には一人のメイドと執事、その後ろに豪華な馬車が止まっていた。


「お初にお目にかかります! アダルバート・アリステア・アイシュリング公爵が使用人筆頭―――アキと申します! 以後お見知り置きをっ!」


 葛葉の視線が眼前にいるメイドに戻ると、メイドは見事な作法で自己紹介を終えた。

 フリフリと獣の耳、尻尾が動き回り、葛葉の感じた第一印象は大型犬だ。


「始めまして、(わたくし)もアダルバート様に使える執事のイサオと申します」


 メイドの次には白髪の執事が、メイド同様に完璧な作法でお辞儀をして自己紹介をした。

 そんな二人に葛葉が面食らってしまい、少しの間を開けて、


「あ、中へどうぞ。お疲れでしょうし、飲み物用意しますね」

「これはこれは、ご親切にありがとうございます」


 二人を中に入れ案内をしようとした葛葉が後ろを向いた時だった。音もなくいつの間にか葛葉の背後に居た五十鈴とほぼゼロ距離で目と目があってしまった。

 それに何故か五十鈴の顔は不満気だった。葛葉が驚いて五十鈴の前からササっと捌けると、葛葉と変わってメイドと執事をリビングへ通した。

 そして葛葉へ向き直り、


「葛葉様、葛葉様は私の存在価値を潰す気ですか?」

「……え? いや、そんなこと……」

「なら、家事やお客様の対応は全部お任せください!」


 ムスーっと五十鈴が不機嫌な理由が理解出来た葛葉はクスッと笑ってしまった。

 分かった分かったと返事を返し、葛葉は五十鈴の背中を押しながらリビングの中に入ろうとした。


「葛葉さーん、私準備できましたよー」

「わしも出来たのじゃー」


 すると二階から律と鬼丸の声が届いてきたのだ。

 手ぶらな鬼丸と少量の荷物を手に持った律が階段を降りてきた。


「じゃあリビングに集合ね、五十鈴は終わってる?」

「はい、完璧に」


 葛葉のその問い掛けに五十鈴は即答した。五十鈴の指指す玄関には小さな荷物が数個置かれていた。


「うっ、私だけかぁ……」

「なんじゃあ、葛葉よ。グダグダじゃのう」

「お荷物が居るからね〜」


 葛葉以外の全員の準備が終わってることに葛葉は肩を落とした。一応パーティーのリーダーなのに……と。


「―――ね〜! それってボクのこと〜?」


 と二階からさらに声がしてきた。目を向ければ緋月がジーッと葛葉のことをみつめていた。


「手荷物くらいですかね」

「いや、荷物なのは変わってないじゃん!」


 葛葉の訂正した言葉にも緋月はプンスカと機嫌を悪くした。がすぐに顔を綻ばせ、タタタッと階段を飛び降りては葛葉の前に着地し、笑顔で、


「行っといで。対応はボク達がするからさ! 早く準備してきなよ!」

「……っ。はい、それじゃあお願いします! ……律、五十鈴。二人をお願いね」


 階段を急いで登ろうとした葛葉がピタッと足を止めて振り返り、律と五十鈴に目を向けて、そう念押しするのだった。

 そんな全然全く信用されていないと知った緋月と鬼丸は一度顔を見合わせて、


『なんじゃそりゃあ―――‼︎』


 と憤慨するのだった。

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