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二十話 マウント合戦

すみません、23時投稿のはずが一時なってしまいました。ので、本日はこの投稿と、今日の分とで二つ投稿いたします!

「・・・え」


 緋月のメイド服と言葉に呆然としていた葛葉はすぐに一つの結論に辿り着いた。


「じゃあ私たち行く必要なくないですか?」

「なんでさ⁉︎ ボク一人なんて寂しいよぉ〜‼︎」


 自分の実力を分かっているだろうに緋月はすっとぼけて膝立ちで葛葉にガシッと抱き着た。


「寂しいとか関係ないですよっ、あっ、ちょっと!」


 グリグリと葛葉の脚に顔を埋め始めた緋月の頭を掴み、グググと引っ張り出す葛葉を他所に、五十鈴はティーカップを片付けながら葛葉にどうするのか尋ねてきた。


「葛葉様、どうされるのですか? 緋月様だけでも護衛は可能かと」

「そうだよね〜……」

「流石のボクでも完璧には無理だよぉ!」


 完璧じゃなければまだ護衛可能なのかよと葛葉が顔を引き攣らせた。


「でも、依頼を受けたからやるよ五十鈴!」

「承知しました。では出立の準備を進めてきます」


 五十鈴は一礼しリビングを後にしてしまうのだった。後に残った緋月と葛葉、二人はゆっくりと会話をしていた。


「あんがとね〜。ボクと一緒に行くって決めてくれて」

「いえ、別にいいですよ。流石に公爵家でちょっかいは出さないでしょうし」

「…………ソ、ソダネ」

「するつもりだったんですか⁉︎」


 緋月にとって葛葉への行いは場所もクソもないらしい。好きなところで好きなようにちょっかいを出すようだ。

 下手な口笛で誤魔化そうとする緋月の頭にチョップを入れ、葛葉も五十鈴同様に先ほどやっていた準備の続きをしにリビングを後にするのだった。




 緋月が二階のバルコニーに出て青空を眺めていた時だった、背後に鬼丸が突如として現れた。


「……あのさぁ。君って存在感すごいんだから急に来ないでくれるかな〜、反射で()っちゃうよぉ〜」

「ふっ、うぬ程度がわしを殺せる? おかしなことを言うのう、五百年早いわ」


 バチバチと二人の視線が交わると同時に空中で火花が散る、ような錯覚が起きてしまう。

 ゴゴゴと二人には謎のオーラがあり、いつ二人が戦いを始めてもおかしくはなかった。

 そんな時だった、

「……ま! ボクは昨日、葛っちゃんにちゅ〜しちゃったけどねぇ‼︎」


 グググと腕組みをしながら緋月は自慢気に身体を後ろへ反り鬼丸を盛大に煽った。が当然鬼丸にはノーダメージだった。

 なんせ鬼丸は、


「なんじゃ、まだそこまでしか行っとらんのか? 存外にうぬもヘタレじゃのう」

「な、何をぉ⁉︎ じゃあ君はどこまで行ったのさ‼︎」


 やれやれと肩を竦める鬼丸に緋月は突っかかった。

 緋月のその言葉を待ってましたと言わんばかりに、その問い掛けを聞いた瞬間に鬼丸の顔が悪い顔に変わった。

 ニヤリと邪悪な笑みを浮かべ鬼丸は、


「それはもう濃密なディープキッスじゃ」

「―――ッ!?」


 鬼丸の言葉を聞いた瞬間、緋月に電流走る。ガクッと膝から崩れ落ちた緋月は「ウソダ……ウソダァ……」と力なく呻くことしかできなかった。

 はーっはっはっと完全勝利した鬼丸は高らかに笑った。


「……アイツら」


 そんなバルコニーでの出来事を目撃していた葛葉は、大声で葛葉とキスしただの、わしはディープキスじゃだのと言っている二人に静かな怒りを露わにしていた。

 そんなことは露知らず鬼丸が高笑いしていた時だった。屋敷の敷地に見るからに豪華な馬車が入ってきた。


「……む、あれかの?」


 それを見た鬼丸は緋月を蹴飛ばし正気に戻させ、葛葉の気配がした所に向かい、後は勘で葛葉の入っているだろう部屋の扉を開けるのだった。


「葛葉よーおそらくじゃが、公爵家の馬車が来よったのじゃ〜」

「ん、本当?」

「あたぼうじゃ〜」


 鬼丸の知らせに葛葉はせっせと動かしていた手を止め、部屋を出て玄関に向かい始めるのだった。


「……葛葉も大変じゃな〜」


 忙しそうにしている葛葉を見て鬼丸はそんな風に思うのだった。

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