十七話 銃だらけの秘密基地とか最高だよね
「―――うっひゃ〜すっごいね〜」
と緋月は葛葉の作業部屋に入るなそう感嘆の息を漏らした。壁に飾られている三丁ほどのショットガン。作り掛けのアサルトライフル一丁と、部屋の中央に飾られている一丁のアサルトライフル。
そして机の上にはグロックシリーズや、ハイキャパ。ベレッタなどの有名なハンドガンが並べられていた。
「そうですよ、褒めて下さい。作るのにかなり時間掛かるんですからっ!」
てっへんと胸を張り褒め言葉を要求してきた葛葉に、緋月はよしよしと、近場の椅子に乗り立ち上がって、葛葉の頭を撫でるのだった。
「もはやジョンウィックだねぃ〜。……今回の護衛任務で使うんだね?」
「……はい」
護衛任務ならどう考えても対人戦だ。対人戦で銃火器を使うこと、それは、
「ボクは何度だって聞くよ……人を殺す覚悟はあるのかな?」
人殺し。魔獣や魔物ではない、自分とおなじ人を殺すのだ。そして葛葉はとっくの昔に。
「覚悟は決めてます」
はっきりと返答した葛葉に、緋月は椅子の上でかがみ込み、真顔で見つめ続けた。ジーッといつまでもいつまでも。そして唐突に終わりがやってきた、緋月が椅子から降りて、近場にあったリボルバーを手に取った。
そしてシリンダーを出し弾が込めてあるか確認し、手首をクイっと振り装填するスナップロードをし、ハンマーを起こし、引き金に指をかけながら、葛葉へ銃口を向けた。
「……こうなった時。君には引き金が引けるかい?」
緋月は状況を作ったのだ。無抵抗な敵に銃を向ける状況を。こんな状況になったなら、葛葉は問題なく。
「寸分の狂いなく」
「……なら問題ないや!」
ピリついていた雰囲気が一変し、緋月の表情が綻ぶ。覚悟の強さを測る擬似的な試験はどうやら終わったらしい。
緋月がリボルバーを葛葉へ、親指を支点にし半回転させて渡した。葛葉はそれを受け取り、シリンダーを出して弾丸を抜いた。
「危ないよ、葛っちゃん? 弾は抜いとかないと!」
「……ですね」
ここは葛葉だけの部屋だったため油断をし過ぎていた。銃の薬室に弾を入れたままなど、ルーキーを通り越してただのバカだ。
スネークでも呆れて小石を投げるほどだろう。
「にしても緋月さん……」
弾を抜き六本全てあるか確認している最中、緋月のやけに手慣れた手付きのリボルバーの扱い方に、葛葉は疑問を浮かべた。
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