十六話 意味なんてない、ただ見たいだけだっ!!
「……ふふん、気になっているんだろう? 葛っちゃんの服の露出度合いが‼︎」
「っ⁉︎ なっ!?」
「ふっふっふっ、分かるさボクには」
緋月はふくみ笑いと共に葛葉の後ろ姿を見やった。そして唐突に首肯し、律へ語り始めた。
「なにも露出だけがすべてじゃないんだよ!」
「ギルド長さんがそれ言いますか⁉︎」
今までの行いと、たった今の発言が合致しなさ過ぎて逆に凄いとしか言えなかった。一昨日、葛葉に逆バニーを着せた人物とは思えない。
「かー、分かってないねーりっちゃんは。……あの露出の少なさなのに、チラチラと見えてしまう太腿っ。……勃起不可避でしょ」
「……」
熱く語り出したと思えば、急に真顔になり律に向き直って耳を疑うようなことを口にした緋月。
律はその発言にまたもや何も言えなくなってしまった。
「まぁでも、みんなに着てもらったのはダミーなんだよねぇ実は」
律が絶句していると、緋月はいきなりカミングアウトしてきた。
その言葉に律は間を開けずに聞き返してしまった。
「え、そうなんですか?」
「そそ。それはなんの変哲もないただのメイド服」
律の着ている服の生地を触って確認した緋月は、ついでにと律のメイド服のスカートを捲りパンツを拝見。なるほどと呟き、ちゃっかりと目に焼き付けていた。
「今回は護衛任務だからね、戦いに向いてるメイド服を作らせてあるさ」
「そ、それは今どこにあるんですか?」
「んー、公爵家。あっちに着いたら着せてもらうってことになってんよ〜」
「なら私たちに着せた意味ってあるんですか⁉︎」
ヘラヘラとしている緋月に、律は自分の格好を見て詰め寄った。なんせこんなにも恥ずかしい思いをしているのだから。
「もち、意味あるよ。……メイド服が似合うかどうかのね!」
グッと親指をピンッと立て緋月は自信満々の顔でそう言ってのけた。
律が数秒唖然として、じゃあと言葉を吐いた。
「普通のメイド服でよくないですか?」
「いや、よくないね。やっぱり美少女のドエロい姿は見たいや」
「純度100%の変態じゃないですか!」
と二人がそんなやりとりをしている間に、葛葉達先頭は、
「二人とも〜。着いたよ〜」
「早うするのじゃ‼︎」
屋敷の前に着いていた。
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