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五話 八重樫君、それは"アリ"だ

緋月の苗字は八重樫です、皆さん覚えてましたか?

苗字なんてそうそう出てこないですからね

 ―――グツグツと沸騰するお湯と立ち昇る湯気。

 地獄の大釜のような釜が天井に簀巻きで吊るされている緋月の真下にあった。


「……ん、葛っちゃん……そこはっ/// ダメだよ、ボク達……師弟同士なのにっ///」

「オラァ‼︎  起きるのじゃあ‼︎‼︎」


 と強烈なパンチを喰らった緋月がパチパチと目を覚ました。

 そして自分の置かれている状況下を理解して、コーヒーを啜りながら外を見ている葛葉を見つけるのだった。


「……葛っちゃん、(たち)けて?」

「嫌です」

「即答っ⁉︎ ……あっ、ちょっと待ってよ! まだっ、まだ葛っちゃんの本当の気持ちを聞いてないよ⁉︎ ねっ⁉︎ だから落ち着いて下さいますよね、鬼丸様ぁ⁉︎」


 今、緋月の生殺与奪の権を持っているのは鬼丸だった。緋月を簀巻きにしたのは鬼丸で、その簀巻きに使った縄はいつでも解くことが出来るのだ。鬼丸なら。

 そしてこの部屋には鬼丸と葛葉以外に人はいない。


「……つまり、うぬはここで死ぬんじゃよ」

「なにも"つまり"になってないよ⁉︎」


 何にもどこからも続いていない接続詞を用いて、縛っている縄を緩めた鬼丸に、必死に顔を振って止めさせる。

 流石の緋月でも沸騰した釜の中に入れられて仕舞えば、十分で茹蛸になってしまう。


「紅くなるのは葛っちゃんと致してる時だけだっての! もぉ〜///」

「? また意味のわからないことを……」


 葛葉が緋月の発言に眉を寄せてため息を吐いた、本当に愛想が尽きそうになってしまう。


「鬼丸、流石にやめよっ……」


 冗談も程々にするかと思い、鬼丸を止めようと振り返った先には、鬼丸がただならぬオーラを醸し出していた。

 額には幾つもの怒筋(どすじ)が浮かび上がっており、間違いなく激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム状態だった。


「―――言うに事欠いて、まさかわしの逆鱗に触れるとはのう……‼︎ ―――死に晒せぇッ‼︎‼︎」


 握っていた縄を両手で掴み、緋月を振り回した後に釜の中にぶち込んでしまった。

 ザプンと大きなアツアツの水飛沫が上がり床がビショビショになってしまうのだった。

 そんな光景に葛葉が目頭を抑えて口角をピクピクと震わせるのだった。

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