四話 油断大敵
寝台の上で目が覚めた葛葉は布団をガバッと退かした。すると、
「……」
逆バニー服の自分の身体があった。
「……そのまま寝ちゃったんだ」
服装を見て葛葉は頭に手を当てた。いつもの服装も中々にクレイジーなのだが、この服装に限ってはクレイジーのその先を行っている。
布団から出た葛葉はクローゼットに向かい、何着もあるいつもの服(私服用)の一着を取り出し、姿見の前で着替えるのだった。
着替え終わり部屋を出ようとして、
「あ」
寝台の上に積み上げられた色々な服に気が付いた。
「……皆んなが持ってたやつかな、これ」
積み上げられた服はあの時男性冒険者達が持っていたものであり、普通なものもあれば、緋月と同レベルのもあった。
「普通以外全部燃やそっと」
そう言い分別して葛葉は今度こそ部屋を出ようとして、
「―――そら酷いジャマイカー、葛っちゃん?」
当分聞きたくなかった声に呼び止められてしまった。
渋々嫌な顔を我慢して振り返ると、窓の縁に腰を下ろした緋月が居た。
「おーっと、嫌な顔だねぃ? そんなにボクのこと好きなのかい⁉︎」
我慢したつもりができていなかった嫌な顔を見た感想がそれなことに、葛葉は若干引き、ため息を吐いた。
「何の用ですか? 私、緋月さんとは当分、口も聞きたくないです」
「えぇーッ⁉︎ なんでぇ⁉︎」
「なんでもクソもありますか? まだお酒が抜けてないなら、魂抜かしてあげますよ?」
ニコッと珍しく葛葉が可愛らしい顔したというのに、緋月は顔を引き攣らせて、
「あはは、遠慮しとくね!」
と断るのだった。
「それで? 本当になんのようなんですか?」
「んぁ、特になんにも? ただボクが葛っちゃんの近くに居たいだけだよぉ」
葛葉が銃を創造し脅しながら尋ねると、緋月は素直に話し始めた。が内容は特になかった。
ただ今まで離れていたから近くに居たいだけという、相手が違っていれば可愛らしい理由だったが。
「……なら早くそう言ってくださいよ」
「んふふ、やっぱり葛っちゃんだね、いじりがいがあるよぉ〜」
「昨日のはもうやりませんからね!」
そうあらかじめ釘を刺す葛葉が、緋月の見ている物を見て、はぁとため息をまた吐いた。
「でも、なんだかんだ最後は甘えさせてくれるんでしょ〜? やっぱり葛っちゃんはママだよ! よし、ドスケベ子作りケダモノせ○くす、しよ!」
「しよ! じゃないです!」
そう言ってハート目で迫ってくる緋月を押し返し、葛葉は頭に拳骨を入れた。中々いいのが入ったなと確信すると同時に、バタンと緋月が気を失って床に倒れてしまうのだった―――。
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