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十五話 恩に報いる為には

衝撃の展開ですね!

「――ガハッ‼︎」

「……主……人?」


館から里に続く林道を抜け、次に目に入った光景は南を絶望させるに足る地獄だった。

大剣に腹部を貫かれ、口から血を流し、何故立っているのか分からない姿の和が、そこに居た。

自分で大剣を引き抜き放り投げる。ボトボトと腸が地面に落ち、地面に真っ赤な花が咲く。


「……親、父‼︎」


腸をぶち撒けてもなお、和は目の前の敵には目もくれず、途切れさせながら呟いた。

刀を握り、前を見据える。


「おうおう。鬼という名にふさわしき者なのだ」

「リリアルぅ〜アイツ食っていい?」

「よすのだ。美味しいところはもう無いぞ」

「そんなぁ〜」


和が相対している敵。二色に分かれる髪色とぐるぐるの目が印象的な少女。そして巨大なゴーレムにも似た魔物。

魔物は涎を垂らし和の事を見ていたが、少女に止められると、手に握っていた鬼族の里の住人を一口で食す。

グチャグチャと肉と内臓の咀嚼音が聞こえ、ゴキガキと次には骨らしき音も聞こえて来る。そんなことよりも南の耳には、今も食われた里の住人の助けを乞う声と断末魔が残っている。


「ならば、あそこの小娘を食えばいいのだ」

「……いいの〜」


ニヤリとリリアルという人物が笑みを浮かべ、南を指差し言う。魔物は涎を更に垂らしながら、南へとのしのしと近付いていく。

ふと、南は気付く。

何故……自分の脚は震えているのか。怖いから? 死にたく無いから? 分からない。……何故、震えているのか。手に持っていた大鎌を落とし、目の前の――絶望を体現したかのような――魔物は南を掴み取ろうと、腕を伸ばした。が、風が吹くと同時に魔物の手首が飛んだ。


「……はぁ……はぁ」

「見事なのだ。流石は私が認めた奴なのだ」


息を切らし、今にも倒れてしまいそうな和が南を庇うように目の前の敵二人を睨み、刀を向ける。

斬られた手首は既に回復しており、和や南を絶対に殺すと言う表現を浮かべる。


「……いや、もう良いのだ。ゴール、食って良いぞ」

「やったぁ‼︎」


そう、魔物が喜んだかと思った瞬間、目の前から魔物が音もなく消え見失う。次には誰かに押されて、地面に倒れ込む。

同時に、グチャッ‼︎ バキボキブチュバチュと何かが潰え、ひき肉を捏ねるような音が数十秒聞こえた。

視線を地面から後ろへ向けると、血の海の上に立ち口から腕を覗かせ、髪を摘み持っている頭。


「――あぁ」


和の頭だ。

そう認識したと同時に、南の中で何かが切れる音がした。


「……――っ!?」


生き残りのゴブリンエリート達に指示を出していたリリアルが、突如溢れた魔力に気付き振り向くと、大鎌を持ち角を生やし胡乱な目の南が立っていた。

瞬き一つ、後方に居た部下三人の首から上が消える。


「……チッ! これだから鬼族はっ!」


角を顕現させた鬼族は、魔王軍幹部を持ってしても面倒臭いと言わしめる程で、油断すれば直ぐに殺される。

リリアルは南を手で作った輪の中に収め、自身のスキル――テレポートを発動させる。

南の身体が淡く発光し、一瞬にしてその場から消えた。


「――っ」

「……どうかしたの?」

「ねぇ……お母さん。お願いがあるの――」

読んで頂き、ありがとうございます!

再会もせずに退場って……和が可哀想ですね……。

多分きっと回想シーンに出させます。(きっと、うん多分きっと)

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